THE BEAT GARDEN 上京をテーマに書
き下ろした自伝的メッセージ、新曲「
光」の確かな手応えと自粛期間の先に
見えた希望の光

「こういう状況に感謝はしてないですけど、今この曲を出せることに感謝します」とUは言った。THE BEAT GARDENの生命線とも言えるライブを封じられ、出口の見えない自粛期間の先にようやく見えた、これは新たな希望の光だ。6月29日リリース、THE BEAT GARDENにとって初の配信シングル「光」は、上京をテーマに書き下ろした自伝的メッセージであり、これまで以上にJ-POP/歌謡曲の王道に接近したせつなくもメロディアスな抒情派ソング。リリース前から「歌ネット」注目度ランキング1位を獲得するなど、確かな手応えを感じる新曲について、近況について、そして今後の活動について、4人の本音を聞いてみよう。

――この2か月は、SNS企画をいっぱいやっていたでしょう。インスタでライブ配信とか。
U:インスタライブは楽しいです。今まで全国で握手会をやっていたので、コメントを見ると、どこのBeemer(※THE BEAT GARDENファンの呼称)なのかなんとなく名前でわかったりするんですね。“あー、北海道の人だな”とか。距離はあっても距離を感じずにできることに、あらためてこの機会に感謝してます。
MASATO:いい期間になりましたよね。
U:今まであんまりSNSをやっていなかったから。インスタライブもやってなかったし。
MASATO:疎かったんですね。時代についていけてなかった(笑)。今までライブに重きを置いてやってきたんですけど、こういう機会をもらったことで、そこで出会えなかった人とたくさん出会えたなと思います。
――これは配信シングルのリリース日、6月29日までの限定だけど。メンバー4人のソロ配信も面白かった。
U:REIくんなんて、毎朝8時に配信してるから。何時に起きてるの?
REI:6時半です。今までインスタライブをあまりやってこなかったところで、この期間にできないか?と思った時に、毎朝10分間みんなと場を持ちたいということで、「ストレッチを一緒にやりましょう」というのがきっかけですね。リリース日までは続けます。
MASATO:延長する?
REI:いや、一回終わらないと……。
U:ちゃんと寝たいよね(笑)。
MASATO:SATORUも、日またぎで毎日やってるしね。
U:SATORUはこの企画が始まる前からずっと、勝手にやってた(笑)。
SATORU:6月29日まで続けたら、50日ぐらい連続になるのかな。
U:SATORUは今一番忙しいんじゃない? 4人がリモートでゲームをやる企画をインスタグラムのIGTVでやっているんですけど、その編集をやってくれてるので。
THE BEAT GARDEN/U 撮影=横井明彦
上京したのにステップアップしていかない焦りがあって。“自分たちに原因があるんだな”っていうことを日々痛感するから、余計に苦しかった。
――インスタライブって、ファンの反応がダイレクトでうれしいでしょ。
SATORU:うれしいですね。ドッキリの映像も出したんですけど、“3人の素の感じを見られた”ってファンの人がすごく喜んでくれました。
――個人的には、MASATOくんの料理動画がすごくためになったな。“おーなるほど。うまそう”って。
MASATO:本当に人並みで、メンバーよりはできるというレベルですけど。上京した時に料理に凝ってる時期があって、メンバーをうちに呼んで料理を作ってあげたんですね。
REI:なつかしい……。
MASATO:みんな一人暮らしで、ご飯食べれないじゃないですか。僕は一応作れたので、料理を作ってあげたのをずっと覚えててくれてて、今回やることになったんですけど。楽しくやってます。おかげで、家で料理する機会が増えました。
――まとめると、ライブができない代わりに、SNSを使ってBeemerと繋がれる、ポジティブな期間だった。
MASATO:間違いないです。
U:新たなチャレンジを、今もなお続けてます。この記事が出る頃には発表されてると思うんですけど、初めてカバー動画をやろうと思ってます。あとTikTokとかも撮り始めてるので、それも見られると思います。いろいろチャレンジしようと思って、楽しくやってるよね?
MASATO:こんな楽しいことがあったのか!っていう感じで。なんで今までやらなかったんだろう?って。
U:いいことだよね。新たに知ってもらうきっかけにもなるだろうし、今のBeemerも楽しいだろうし。でもやっぱり、ライブはしたいですけどね。
THE BEAT GARDEN/REI 撮影=横井明彦
メンバーと出会って、みんなと東京に行って音楽で仕事をしたいと純粋に思えて上京したので。その頃のことを思い返しながら歌いました。
――ライブは1月の新木場STUDIO COASTのワンマン以降やってない?
U:やってないです。こんなに間が空くのは初めてです。
REI:新木場のあと、制作期間に入るタイミングでもあったので、もともと数は少なかったんですけど。とはいえ、なくなったライブもいくつかありましたね。
――結果的に、この4、5か月は制作に集中できた。
U:そうですね。REIが言った通り、もともと制作期間だったんですけど、そこで生まれたのが「光」です。最初は、“春から夏にかけてのバラード”をテーマに作っていて、この事態(緊急事態宣言)に入る手前、3月半ばぐらいにデモが上がって、僕とMASATOで作ったメロディが決まっていたんですけど。それを聴いていく中で、これから上京する人はたくさんいるから、そういう人に向けたメッセージはどう? という話になって。そこでMASATOが新しくメロディを考えてくれて、生まれたのが「光」ですね。
――それは、最初に作ったメロディとは違うもの?
MASATO:全然違うものになりました。もともと“春夏に向けたバラード”というテーマで作っていた中で、新しく“上京”をテーマにする時に、自分の中の思いが少し違っていたので。僕も関西から上京しましたし、もう一度上京ということや東京の街を見つめ直して、感じるままにメロディを作ってみました。なので、全然別物になったと思います。
U:意外と僕ら、“オーディションで選ばれたんじゃないの?”とか、そういうふうに見えがちというか、実は今の事務所に入る前に1年間通い詰めたこととか、知られていないことも多いので。正確に言うと、REIとMASATOが大阪からの上京組で、僕は埼玉から一度大阪に行って、二人と一緒に帰ってきて、そこでSATORUに仲間になってもらったんですけど。埼玉出身なので、東京にはもちろん行ったことはあったんですけど、このメンバーと一緒に活動していると全然違う東京に感じるというか、すごく遠く感じるというか。
MASATO:そうですね。
U:上京当時にいろんなライブを見に行ってたんですけど、今思うと100人いないぐらいなのにすごく大観衆に見えて、それなのに自分たちは、所沢の路上で6~7時間歌ってもお客さんが一人とかで。今も応援してくれている人がいるんですけど、その人しか立ち止まってくれなかったり、そういうことを思い出しながら歌詞を書いてましたね。
――上京の華やかな面じゃなくて、どっちかというと不安や恐れにスポットを当ててる。
U:そうですね。夢を持って出てきたのに、現実は全然だったので。ただ、東京は怖い街だというイメージが二人(REIとMASATO)にあるのを僕は肌で感じていたんですけど、そんなことはないんですよ。初めて事務所に行って社長と会った時も優しかったし、ライブハウスの人もいい人ばっかりで、なのにステップアップしていかないという焦りがあって。“つまり自分たちに原因があるんだな”ということを日々痛感するから、余計に苦しかったんですね。上京したことを後悔はしなかったですけど、“大阪で活動してたほうが良かったかも”という話を、夜中のガストで話したりとか、そんな思い出がありました。
――REIくんの、「光」に対する思いは?
REI:大阪から出て来る時、僕は19歳だったと思うんですけど、小さい時から音楽をやってきて、芽が出なくて、自分の中に葛藤みたいなものを感じている時に今のメンバーと出会ったんですね。出会う前から“東京に行きたい、東京で勝負したい”という気持ちはずっとあって、とはいえタイミングだったり、自分の気持ちになかなか整理がつかなくて。でもメンバーと出会って、みんなと東京に行って音楽で仕事をしたいと純粋に思えたので。メンバーの存在が心支えというか、自分の中で後押しになって上京して……というストーリーが自分の中にあるので。その頃のことを思い返しながら歌いましたし、歌詞の内容もメロディ感も含めて、自分自身に向けて歌える曲だなという印象はすごく持ちましたね。より一段と心がこもったところはあるかもしれないです。
――SATORUくんの中には、上京というイメージはあるのかな。
SATORU:僕は東京出身なので、正直わからないですけど、Uさんが大阪に行って、3人で帰ってきて、そこから3人の音楽を手伝うようになって。その時に、さっきUさんが言ってたみたいに、たとえば渋谷が、今まで友達と遊びに行ってた渋谷ではなくなったというか。強い意志を持った本気の3人が目の前にいると、友達と遊びに行く渋谷とは違って見えるんですよね。そういう状況がこの曲とリンクするし、3人が歌うことに意味がある曲だと思うし、曲が上がってきた時にはっきりとイメージが浮かびましたね。
――MASATOくんは?
MASATO:僕はド田舎者なので。滋賀県の中でも福井寄りの田舎で、上京しただけで有名人みたいな、東京はテレビの中の世界みたいな感じで、特に音楽をやっていると憧れの街じゃないですか。出てきた時は憧れとやる気だけで、何も怖いものはなかったんですけど、活動している中でいろんな葛藤があって……。今回の曲で“上京”というものを思い返した時に、メロディに一番表したいと思ったのが、僕個人の思いなんですけど、実家があるホームのありがたさ、帰れる場所があって良かったということで、上京することは憧れと同時にそのことを教えてくれたなと思っていて。なかなか夢が叶わないもどかしさとか、ふるさとを思ってしまうせつなさを、メロディで出そうと思いました。
――これから生きてゆく場所への決意の歌であり、出てきた場所への思いが詰まった歌でもあり。
MASATO:そうです。ずっと滋賀にいたらその大切さに気付かなかったと、すごく思います。
――そんなメンバーの思いを乗せて、Uくんが歌詞をまとめた。
U:そうですね。自分よりも上京というものを大事にしている二人の話も、東京に生まれたSATORUの話も聞いて、それぞれの思いがあることをすごく感じて書きました。この間ラジオで解禁したんですけど、聴いてくれたみんなが思い浮かべる“上京”についてメッセージをくれて、上京したことがない人も、今こういう状況だからこそ感じる人の距離感とかを書いてくれたのがすごくうれしかったですね。
――歌詞のイメージは渋谷なのかな? 109が出て来るから。
U:僕らにとって東京は、渋谷のイメージが強いですね。新宿は、路上ライブを2回ぐらいやったんですけど、2回ともイントロで音を止められたので(笑)。
――あはは。いい記憶がない。
U:渋谷には思い出がありますね。メンバーといると、不思議なもので、いつも見てるビルが高く感じるんですよ。なんなんだろう? “よし行くぞ!”っていう感じがめっちゃあったよね。
MASATO:あった。
U:所沢に住んでいたので、西武線で池袋を越えたぐらいから、みんな言葉数が減ってきて(笑)。“何か持って帰りたい”という気持ちで毎回ライブに挑んでいたので。それは今も変わらないです。ちょっとは慣れたんですけど、何か叶えたわけじゃないし、やっぱりまだ東京という存在がまぶしいという、そんな感覚ですね。
THE BEAT GARDEN/MASATO 撮影=横井明彦
4人とも作れる曲のタイプが違うので、お互いに刺激し合えてるんですよね。自分のいいところを出させてくれるので、僕は伸び伸びと作ってる感じです。
――“光”というワードには、いくつかのイメージが重ねられているでしょう? 都会のネオンの灯りでもあり、叶えたい夢の象徴でもあり。
U:歌詞に“光”というワードが五つ入ってるんですけど、さっき話したように、このメンバーで見る街の灯りが全然違ったように見えたという“光”があって。それと、自分が手に入れたい光、上京当時に思い描いていた輝く光というものと、東京に出てきたからこそ感じるふるさとのあたたかい光。そして、そこで自分たちを応援してくれている家族、友達、ファンのみんなを照らす光になりたいという光。でもそれは外からもらうものじゃなくて、自分自身が輝かないといけないということに気づいたからこそ、いつか自分の中に灯ってほしい光という、五つの光を書きました。それは意識したわけじゃなくて、話していく中で“いろんな光があるんだな”ということに気づかされたので。
――これ、けっこう大きいターニングポイントになる曲だと思うんですね。ここまではっきりとした歌ものバラードって、今までそんなになかったというか。
U:そうかもしれない。
――エレクトリックダンスロックから始まったTHE BEAT GARDENが、この先にあるJ-POPの王道や、歌謡曲の伝統とか、そういうものに向けて腹をくくって勝負してる感じがすごくする。
U:これまでの流れがある中で、今はメロディも歌詞も、ちゃんと歌謡曲として成立するものを目指しているので。それは前から言ってると思うんですけど、それこそ腹をくくって、割り切って、でもちゃんとトラックではオケで聴いてもかっこいいなと自分たちで思えるものと組み合わせるところが、本当に難しくて。
――そこそこ、まさに。そこは非常に難しくて、でも最高に面白いところだと思う。
U:うまく化学反応が起きると、すごくうれしいですね。今回はUTAさんにアレンジしてもらったんですけど。
REI:僕の周りにトラックメイカーがたくさんいる中で、やっぱり話に上がって来るのはUTAさんなんですよね。センスやクオリティも含めて素晴らしい人だよと聞いてた中で、「ぬくもり」で初めてご一緒させていただいて、今回2回目なんですけど。自分もトラックを作るのでわかるんですけど、歌謡曲のメロディにサウンドを落とし込んでいくのは本当に難しくて、我が出すぎてもダメだし、出なさ過ぎて僕らのカラーが出ないのも違うし。そこのニュアンスを話し合いながら、意見を出したりもらったりしながら作らさせていただきました。
THE BEAT GARDEN/SATORU 撮影=横井明彦
強い意志を持った本気の3人が目の前にいると、友達と遊びに行く渋谷とは違って見えるんですよね。そういう状況がこの曲とリンクする。
――サウンドのかっこよさは大前提として。もっと多くのリスナーの心をとらえるのは、やっぱり歌、メロディ、歌詞だと思うから。
U:自分たちも今はそう思っていて。でも過去の曲もライブでは活き活きとやれてるし、いろんな景色を見せることで、よりたくさんの出会いがあるかな? と思ってます。「光」はすごくいい曲だと思います。何回も聴いてます。
MASATO:でも難しいんですよね、この曲。うまく歌える人いるのかな? と思うので、いろんな人のを聴いてみたいですね。
――募集しよう(笑)。“「光」うたってみた”。
MASATO:本当に難しいと思いますよ。
U:歌えてますか?
MASATO:僕らですか? Uさんが?
U:俺だけうまく歌えてもしょうがないだろ(笑)。でも今、THE BEAT GARDENが歌謡曲寄りの曲を作り始めた段階で、MASATOがメロディを作るようになったのはすごく大きいと思います。楽しそうだもんね。
MASATO:めっちゃ楽しい! THE BEAT GARDENは4人とも作れる曲のタイプが違うので、お互いに刺激し合えてるんですよね。自分のいいところを出させてくれる、スタッフのみなさんとメンバーのみんながいて、“MASATOは歌謡曲、ハートフルな曲で”というのを任せてくれるので。僕の良さはそこだと思って、自分の作りたいメロディを伸び伸びと作ってる感じです。僕は完全にJ-POP育ちなので。
U:そうですね。でもMASATOが一番マイペースですよ。僕とかREIくんは“ライブのここでやる曲がないから作ろう”とか、すごいミーティングしますけど、彼はもう伸び伸びと。
MASATO:それは、理由は一つなんですよ。出てこないんです(笑)。まったく量産型じゃない。インスピレーションでできたものを、何日もかけて限界点を広げていくという作業をやるので、1曲できるペースがめっちゃ遅いんですよね。いろんな曲を聴いて勉強しながら、自分の曲はどうだろう?って見つめ直して、新たに試したりもう一度戻したりする時間が自分には必要なので。でも違うジャンルのものはみんなが作ってくれるので、“僕は本当にいい曲を1曲作ります!”みたいな気持ちでやってます。
THE BEAT GARDEN 撮影=横井明彦
――いいバランス。今後はしばらく制作かな。
U:そうですね。曲でTHE BEAT GARDENを知ってほしいというのが、今思ってることなので。とにかくいい曲を作りつつ、SNSでまだ僕たちを知らない人に今まで作った曲が届くように、カバー動画をやったりして、今好きでいてくれる人も新しく知ってくれた人も、喜んでもらえるような自分たちでいれたらなと思います。その前に、とにかく「光」を早くライブで歌いたいですね。
MASATO:歌いたい!
U:今だからこそ。この事態からいつ抜けられるかわからないけど、こういう状況に感謝はしてないですけど、悔しいですけど、でもこの曲により思い入れを持って歌うことができるという意味では、このタイミングでこの曲を出せることに感謝したいですし。今度みんなと会えた時に一緒に歌えることを、すごく楽しみにしています。
取材・文=宮本英夫 撮影=横井明彦

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