L→R デーモン閣下、宝野アリカ(ALI PROJECT)

L→R デーモン閣下、宝野アリカ(ALI PROJECT)

【デーモン閣下×宝野アリカ
(ALI PROJECT) インタビュー】
アニメがお互いを
うまく結びつけてくれた

デーモン閣下とALI PROJECTの宝野アリカという絶大なインパクトを放つ両名が、TVアニメ『八男って、それはないでしょう!』で初コラボレーション。同アニメのOPテーマ「時空の迷い人」はいかにして生まれたのか? このコラボレーションの行方は? 悪魔とゴスロリの女王が会談した。

よく分からないけど、
何かすごいことが起きている!

この組み合わせは、ありそうでなかったので驚きました。

閣下
“こんなのアリカ!?”って?(笑) インターネットでお互いのファンが驚いていたね。おしなべて言うと“よく分からないけど、何かすごいことが起きている!”という反応で。

もともと接点はあったんですか?

アリカ
まったくです。
閣下
こういう枠組みを考えたのはFlyingDogの石川プロデューサーで、オファーをもらったのが一昨年の暮れだった。

お互いに対してはどんな印象を持っていましたか?

閣下
ALI PROJECTには興味を持っていて、あの種類の音楽を自分で作るのは難しいが、いつか機会があったらやってみたい世界観だと漠然と思っていたのだ。
アリカ
私はNOVELAとかの様式美のハードロックが好きなんですけど、まさしく閣下のヴォーカルはハードロックじゃないですか。
閣下
他の種類も歌っているけどね(笑)。
アリカ
最初の印象がそういうものだったので、とても素敵なお声だと思っていて。でも、その時はまさかこういうコラボができるとは思っていなかったから、今は夢のようですね。

相思相愛状態だったわけですね!

閣下
それでもALI PROJECTは独自の世界観を持っているから、やたらと声はかけづらいよね。コラボレーションしたいと思っても具体的にどんなことをやるのかっていうところで足踏みしちゃう。そういう部分で、アニメがお互いをうまく結びつけてくれた。だから、“面白い話が来たな”というのが第一印象だったね。
アリカ
アニメが時空を超えた主人公のお話だから、時空を超えて現世に来たアーティストに歌ってもらおうというのが、最初のコンセプトだったらしいですよ。

実際に会ったのはいつだったんですか?

閣下
アリカ嬢が去年の11月に吾輩のステージを観に来てくださって。
アリカ
“ようやくお会いできましたね!”って。

文通相手と初めて会ったみたいな(笑)?

アリカ
あら、“文通”っていいですね(笑)。
閣下
歌詞をやりとりしていたわけだから、ある意味でそう言えるかも。♪ペンフレンドの二人の恋は〜って、大きな玉ねぎの下で会わないといけなくなるな(笑)。

ちょっと古い?

閣下
古いけど他に浮かばなかったんだな! 「カナダからの手紙」とか、もう古いのしか思い浮かばない(笑)。そもそも文通の歌なんて今はないだろ? Eメールならあるだろうけど。
アリカ
今の若い子は“文通”っていう言葉すら知らないんじゃない?(笑)

コラボレーション曲「時空の迷い人」はシンフォニックメタルですが、これは閣下からの提案ですか?

閣下
それも石川氏からで、我々の接点をどうにかこうにか探した答えがシンフォニックメタルだったらしい。でも、共通点で言うと、吾輩もクラシカルなものや様式美が好きだから、それはALI PROJECTにも感じるところで。ベースにはクラシックがあって、それをどれくらい激しくやるかとか楽器編成の違いがあるだけなので、かなりの接点だったと思うぞ。
アリカ
それに歌詞で描こうとする世界観の根底にあるものも、同じようなところにあるんじゃないかな。
閣下
あと、アリカ嬢は安易に横文字を使わないよね。それは吾輩も歌詞を書く時に気をつけていることで。まぁ、「時空の迷い人」にはちょっと入ってるけど(笑)。

閣下は作曲で苦労されたそうですけど。

閣下
女性ヴォーカルとのデュエット曲を作った経験があまりなかったからな。お互いの見せ場がなければいけないし、1番で吾輩が歌ったところを2番ではアリカ嬢が歌うとなった時に、どっちのキーに歩み寄るほうが良いかとか結構考えたね。サビのかけ合いにしても、ひとつ目のメロディーが着地する手前からふたつ目のメロディーが始まり重なり合うようなかけ合いを作ったんだけど、それも今まであまりやっていないことだった。

ALI PROJECTのメロディーとはかなり雰囲気が違いますが、アリカさんは閣下のメロディーを歌っていかがでしたか?

アリカ
確かに雰囲気は違うけど、基本はメタルだし、私も普段からシンフォニックメタルは好きで聴いているから、“これを歌えるんだ!”と思ってすごくワクワクしました。メロディーがシンプルな分、声を伸びやかに歌うことができたし、今までとは違うものが歌える楽しさがありましたね。私自身、レコーディングではデュエット自体が初めてのことだったし、しかもそれが閣下の曲だから、閣下に寄り添って歌えたらと思ってて。だからと言って、合わせようと変に意識したわけではなかったけど、結果的に声の相性がすごく良かったと思っています。

最後のロングトーンはすごいですよね。

アリカ
あれは閣下が先に録っていたので私も合わせて。
閣下
あと、歌詞の話をすると、それぞれがソロで歌っているところはそれぞれで書いていて。今話していて思い出したけど、サビは1番を吾輩が先行してアリカ嬢が合いの手で《果てなき》とか《まほろば》とゆったりしたメロディーを歌っている。でも、考えてみるとALI PROJECTの曲は細かい譜割でたくさんの言葉が入っているものが多いから、そこで4文字の言葉を考えてもらうのは、自分で発注しておきながら“難しかっただろうな”って思った。
アリカ
難しいというのはなかったですよ。

閣下としてはアリカさんがどういう歌詞を書いてくるか分からないですよね?

閣下
そう。それによって展開も変わったりするし。だから、あとで微調整したよ、辻褄が合うように。そうしたらアリカ嬢も直しちゃって、また合わなくなるっていう(笑)。今回の制作ではいろんな楽しいことがあったけど、吾輩は歌詞のやりとりが一番楽しかったところだな。
アリカ
私もそう! ALI PROJECTでは使わない言葉が閣下から来て、“ここにはこういう言葉が入るほうがイメージが広がるんじゃない?”とか、そういうことを考えながら言葉を紡ぐのは普段とは違う作業で新鮮でした。
L→R デーモン閣下、宝野アリカ(ALI PROJECT)
シングル「時空の迷い人」

OKMusic編集部

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