THE SxPLAY(菅原紗由理)

THE SxPLAY(菅原紗由理)

【THE SxPLAY(菅原紗由理)
インタビュー】
振り返るだけの
ベストアルバムじゃない

2009年のメジャーデビュ―以来、感情を揺り動かすヴォーカルで色彩豊かな数々の楽曲を世に送り出してきたTHE SxPLAY(菅原紗由理)。途中、菅原紗由理からTHE SxPLAY に改名して音楽の幅をさらに広げるなど、ひたすらチャレンジを続けてきた。その10年の軌跡を収めたベストアルバム『BEST OF 3650 DAYS』をリリースするにあたり、現在の心境について話を訊いた。

昔の曲が歌えない時期もあったけど
中国ツアーが過去の封印を解く契機に

今回のベストアルバムはファンの方の投票で収録曲を決められたそうですね。

私が10周年を迎えられたのは、スタッフさんもそうなんですけれど、やはりファンのみなさん…私は“CREW(クルー)”と呼んでいて、そのCREWがいたからこそだと思っているんです。だから、自分ひとりで10周年のベストアルバムの収録曲を決めるのもおかしいので、みんなに選んでもらおうと考えて。実は私自身も一票投票しているんですけれど、逆に一番悩んだかもしれないですね(笑)。

ご本人にとってはどの曲も思い入れがあるから選びにくいですよね。

一枚でこの10年間をギュッと詰めるのは、結構難しくて。さらに新曲も入っていますから、そういう意味ではCREWに選曲を頼んで良かったと思いました。

曲順は時系列ではなく、いろいろな時代が混在して並んでいますね。

ライヴをしてるような感覚で選んでいきました。ただ、デビューアルバム(2010年1月発表の『First Story』)に収録されているデビュー曲「キミに贈る歌」は頭のほうに入れたいと思っていて。さらに新曲を頭と最後に入れて、他の曲をギュッとはさみ込みたかった。あとは、“この辺りでバラードを聴いてもらおう”といったように、曲の流れを意識して作りました。私は“菅原紗由理”で5年、“THE SxPLAY”に改名して5年、ふたつを合わせて10年活動しているので、CREWには菅原紗由理の時の曲と、THE SxPLAYの曲をそれぞれで選んでもらったんですね。新曲を入れてちょうど半々ぐらいで入れたかったんです。

1曲目は新曲の「君とこの空の下で」なのですが、今なぜ、“変わっていく日々と変わらない思い出に揺られながらも前を向いて、明日はもっと素敵なんだと信じて歩いていく”という曲を書きたいと思われたのでしょうか?

これは“ベストアルバムに絶対に入れるんだ!”という気持ちで作った曲ではなく、たまたま作っていたらいい曲ができたんです。

10周年を意識して作った曲ではなかったのですね。

そうなんです。10周年の想いを込めて作った曲もあるんですけれど、逆にうまくいかなくて(笑)。今の気持ちでワーって作ったら、ちょうど10周年を思わせるような曲ができたんです。で、昨年の4月8日が10周年だったので、ワンマンライヴを行なったんですね。その時に昔のレコード会社のスタッフさんたちが遊びに来てくれて、“10周年企画で、また一緒にやらないか?”と声をかけてもらい、そこからベストの話が決まったんです。なので、“ベストを出すんだったら、その中に入れようかな”と思ったんです。

昨年行なわれたワンマンは菅原さんにとってすごく大きかったと。

はい。改名したあと、実は何年間かは昔の曲が歌えなかったんです。“私はこれまでこういう名前で活動していました”といったことを一切言わずに、今の自分を見てもらうことで勝負したい気持ちが強くて。周りのバンドメンバーからは“なんで昔のあの曲を歌わないの? 歌ったらいいのに”と言われていたんですけど、頑なに“いや、それは違うんです”と言い続けてて。だけど、2016年に北京で2カ月間、ひとり暮らしをしてツアーを回った時に、中国のファンの方やスタッフさんから“ぜひ昔の曲も歌ってほしいです”と言われたんですね。その時も“いや、それは違います”と言っていたんですけど、だんだん“こんなにも協力的に広めようとしてくれるスタッフさんやファンのみなさんがいるのに、なぜ私は歌わないんだろう? 自分の曲なのに”という想いになってきて、それで中国ツアーで少し歌ったんです。でも、日本のライヴではまったく歌ってこなくて。ようやく去年のワンマンライヴが10周年というのもあって、昔の曲を歌ったんです。

2曲目はデビュー曲の「キミに贈る歌」。好きな人への募る想いを歌った曲ですが、どんなふうに受け止めていましたか?

当時は、とにかく目の前にあることに必死に食らいついて何とか届けないと…という感じで歌っていた記憶があります。今改めて聴くと、本当にひたすら真っ直ぐだなと思いますね。“ここの部分、大丈夫かなぁ?”といった危うい歌い方をしてるところもまた味になっているので、それはそれでいいのかなと(笑)。

1曲目が「君とこの空の下で」で2曲目が「キミに贈る歌」という新曲と一番古い曲がつながっているから、もっとギャップがあるのかなと思ったんのですが、「キミに贈る歌」の菅原さんも大人っぽく、あまり差異を感じなかったのでびっくりしました。

改名してから数年は結構尖っていたんですけれど、最近はようやくやわらかく大人になって(笑)。だから、「君とこの空の下で」と「キミに贈る歌」の境目があまりないのかもしれないですね。改名した頃のそれまでと真逆に進んでいたものが、徐々に合体していく方向になったんじゃないかと思います(笑)。1周回った感じですね。「君とこの空の下で」は別れの曲ではあるんですけど、大切な思い出から決別するというよりは、自分の過去と向き合いってひとつになり、また一緒に新天地に歩いていく…この曲はそういう意味になったんじゃないかと感じています。

デビュー当時を振り返って、どんな思い出がありますか?

3曲目の「君がいるから」と8曲目の「Eternal Love」は『ファイナルファンタジーXIII』のテーマソングと挿入歌になった曲で。中国に行った時も、私を知ってくれたきっかけがそこからだった人が多かったんです。新宿のアルタ前でゲームの発売記念ライヴを行なったり、オーケストラをバックにしたライヴなど、その曲を通してすごくいろいろな経験をさせてもらって。当時は“テーマソングと挿入歌が決まったんだ。嬉しい!”みたいな感じだったんですけど、徐々に“すごい作品に関わらせてもらってたんだ!?”と分かりました。

自覚すると怖くなりますよね。

そう! 自覚すると“よくあんなに飄々としていたなぁ”って(笑)。

当時、歌詞に関してはどのようなこだわりがありましたか?

デビューする前は歌詞や曲を作ったこともなかったので、素人が徐々に羽を生やして、実践で学んでいきました。だから、まさに最初の5年の中で歌というものを学んでいったところもあって。当時のスタッフさんからしたら、私が“いや、ここの歌詞は〜”とか言っていると、“いやいや、まだ分からないところがあるでしょ”と感じたと思うんです。すごく強気だったし、怖いことをしていたと思うんですけど、ひたすら真っ直ぐだったから仕方なかったんでしょうね(笑)。
THE SxPLAY(菅原紗由理)
THE SxPLAY(菅原紗由理)
アルバム『BEST OF 3650 DAYS』

OKMusic編集部

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