鷲尾修斗×遊馬晃祐×佐藤信長が初演
のアドリブや舞台裏を振り返る 舞台
『レイルウェイ』~Take Off~インタ
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利用客が少なく、廃線の危機に直面したアットホームな鉄道――関西電鉄。

そして現世はアイドル戦国時代……どこにでもいる手軽な「アイドル」という存在。
これらが合わさりひとつのエンターテインメントが生まれた。
舞台『レイルウェイ』は劇団ホチキスの米山和仁が脚本・演出を手掛けるオリジナルの演劇で、昨年2019年2月に全11公演が上演された。
2.5次元作品へも多く出演している俳優がメインキャストとして出演していることや、キャラクターの性格や設定が2次元的な要素もあり、2.5次元ファンにも観やすい作品だ。そのようなテーマ性のみならず、キラキラしたアイドルを見ることができるライブパートや、お芝居パートでのアドリブの多さなどが話題となり、公演数を重ねるたびにその熱量も大きくなっていった、舞台『レイルウェイ』の第二弾公演が決定した。
今回は、作中のアイドルグループ「RAILWAY」より、第二弾続投キャストの鷲尾修斗、遊馬晃祐、佐藤信長の3人に前回公演の振り返りと次回作への意気込みを聞いた。
【舞台『レイルウェイ』~Take Off~ あらすじ】
『あの高い場所(ところ)で、“輝く”ために……』
廃線の危機を乗り越えた関西(せきにし)電鉄。
起死回生のために、生まれたアイドルグループ「RAILWAY」の活動が順調かと思いきや、八雲・蛭子は、それぞれの道を歩むことに。
そんな時、関西電鉄と、格安航空会社スモモエアラインとの共同プロモーションの企画が上がる。
スモモエアラインは、大型新人アイドル「FLIGHT PLAN」と広告契約を結び、
大々的なプロモーションで人気を得ているようだが……。
そして、「FLIGHT PLAN」のセンターが、まさかの「アイツ」?!
生き残りをかけたアイドルバトル??
熾烈な戦いがここに開幕!?

オリジナルのアイドルをみんなが受け入れてくれて、そして再び戻って来れるっていうのはすごく嬉しい
ーー前回の公演を振り返って、どんなところに苦労していましたか?
遊馬:僕は当時、アドリブがすごく苦手でした。
鷲尾:今は得意って言い方するね?(笑)。
遊馬:この舞台『レイルウェイ』に出演するまで、2.5次元の作品で元々原作があるキャラクターを演じるということが多かったんですが、『レイルウェイ』はオリジナルなので自分でキャラクターを作らなければならない。先輩たちもコメディ作品をたくさんやって慣れている方が多かったのでたくさんいじってくれたりもしていたんですが、その返しがなかなかうまくできなかったんです。でもこの1年でストレートの舞台をやることも増え、最近は日替わりを担当することも多いんです!
鷲尾:じゃあ次は楽しみにしてるよ!
鷲尾修斗
遊馬:はい! こうしてアドリブをやることも増えたから、より次の『レイルウェイ』が楽しみ! 稽古場なんてほぼアドリブだし、日替わりだし、ネタ尽くし。その現場に行けるのはすごく面白いし、またしごかれるのかなと思います。鷲尾さんも、千秋楽で僕にアドリブをぶっこんできたから笑っちゃったんですよ!
鷲尾:いやいや、何もしてないよ。台本通りにしかやってないから!
遊馬:あの「見た目は子供、頭脳は大人」の主人公が活躍する漫画の犯人の顔のやつ……我慢できなくてとうとう作品名を言って笑っちゃって。そういうアドリブは今回もたくさんあるだろうし、まずはそういう話ができる稽古場もすごく楽しみ。前回ではアドリブがあまりうまくできなかったのが、当時辛かったんです!(笑)。台本通りじゃないことが起きすぎて……ドキドキだったよね。
佐藤:半分くらいは台本と違うことをやってたよね(笑)。
遊馬:でもそれが普通なんだ、この現場は。ストレートな舞台はこういうことがたくさんあるんだって思って。
鷲尾:いや、そういうわけじゃないと思う。普通じゃないのよ、この現場は!(笑)。
佐藤:稽古場で大変だったことは、どこでも言ってるんですが、ダンスですね。本番中にアドリブで増木(敏朗役の磯貝龍乎)さんに「宇佐(卓真/蛭子隼人役)くんとダンスバトルをしろ」と言われたことがあり……。
遊馬:あったね。あれめちゃくちゃ面白かった!
佐藤:いきなり言われたことなので、もちろん振りもついてない。宇佐くんはめちゃくちゃかっこいいダンスなのに、逆に僕はめちゃくちゃダメなダンスをお客さんの前で披露してしまって、すごく恥ずかしかったなっていう思い出があります……。
遊馬:でも前回から一年間頑張ってきたんだし、グループ活動もやってて成長してるから、もしまたアドリブでダンスをすることになってもバシッと決められるんじゃない?
佐藤:いや、でもグループではアドリブで踊るとかやってないからね?(笑)。
一同:(笑)。
(左から)佐藤信長、鷲尾修斗、遊馬晃祐
佐藤:磯貝さんは別な作品でもさらにいじってきていたので、またこうやって一緒に出させていただいて、少しは対抗できるようになったんじゃないなかと。
鷲尾:そもそもなんでみんな対抗しようとしてるの?
遊馬:いや、僕は受け身です。いじってください、ウェルカムです!
佐藤:そのいじりに対してちゃんと返せるかってところだよね。
鷲尾:僕は、見ている人たちが気負わずフラットな気持ちで見れる、面白く仕上がってる作品になっていたと思っています。ライブパートは若い子たちが一生懸命踊ったりする姿をその中心で見てました(笑)。昨今、自分も出ていますが、2.5次元舞台でアイドル作品はたくさんあり、曲もおそらく舞台を観る前から知っている状態が多いと思うんです。だけど、オリジナルでアイドルというのは、どんな歌で誰が歌うんだろう、どんな振付なんだろう? というように全く新しいものなので、最初は不安もありました。でもいざ幕が開いてみると、みなさん受け入れてくださいました。
このようにオリジナルのアイドルをみんなが受け入れてくれて、そして再び戻って来れるっていうのはすごく嬉しいです。どちらかというと年齢的に僕は大人組に入るので(笑)、大人たちに振り回される若い子たちを見て僕も楽しんでました。あとはアイドル衣装になって、みんなでばたばた着替えに行ってとかも良い思い出ですね。
佐藤:そういえば同じシーンで僕と(遊馬)晃祐と宇佐くんの3人が出とちったことありましたよね。しかもみんな別の場所に居たっていう。
鷲尾:あったあった! 来なかったよな? みんながいるもんだと思って出ていったら、僕と(八雲樹役の滝澤)諒ちゃんのふたりしかいなかった。
佐藤:僕はひとり、晃祐と宇佐くんは一緒にいたんだよね。たまたま同じタイミングだった! そのときね、メイクさんに化粧直しをしてもらっていて、ほかの舞台で出とちった話をしてたんです。そしたら出とちってました。
一同:(笑)
遊馬:僕、初出とちりでした。
遊馬晃祐
鷲尾:超焦るでしょ。
佐藤:それ以来、長い間出ないシーンでも舞台袖に居ます、怖くて!
鷲尾:でもそんなこんなで毎公演いろんなことがありましたね……。アドリブが多々あるので、誰が元の流れに戻すかっていう。基本脱線させるのは増木さんなんですけど(笑)。僕ら「RAILWAY」が脱線させることはあまりなかったよね。
佐藤:僕らは、増木さんに無茶ぶりをされるんです。
鷲尾:本当はアドリブとかも振りたかったけど、新入社員という役だったからできなかったのが悔しかったなぁ。次は新入社員じゃなくて仲良くなってるから、ある程度はできるかな。逆に青木田(雄三役の山沖勇輝)さんを使って遊びたい(笑)。曲も一つひとつ全然違った楽曲でお客さんもすごく楽しめるものだったし、衣装も真っ白で豪華だった。
佐藤:この衣装を着て5人で出たらすごく華やかだったよね。すごくきれい。
鷲尾:そう。靴も踊りやすいように加工していただいていたりして。スタッフさんたちの力をたくさん借りて完成した舞台というか。舞台セットもすごくシンプルだけどかわいいし。そういえば、ある日の日替わりシーンでそのセットに紙を貼っていた大人もいましたけど(笑)。すごく良いシーンの途中でその紙が上から落ちてきちゃったり(笑)。
佐藤:その紙を貼った舞台セットが吊り物だから次のシーンで上にいっちゃって、本番中にその紙だけが上から落ちてきちゃったんです。で、お客さんも耐えられずに笑い出すという……。
ーーアドリブが多く、何度も見たくなる舞台になっているんですね。
鷲尾:そうですね。同じ公演が一回もないので! 今日は何が起こるんだろうっていうところから始まります。
回を重ねるごとにアイディアが浮かんでくる
ーー公演を重ねるとだんだんお客さんの熱や期待値も上がってくるのではと思うのですが、そういうのを公演中に感じたことはありますか?
鷲尾:ライブパートで特に感じるよね。文字が書いてあるボードみたいなものをお客さんが持ってくださっていたのですが、そういうの初日にはまだ少なくて、でもそのボードに書いてある文字が、だんだん具体的になってくるんです(笑)。
佐藤:「ここ撃って」とか。
遊馬:「ウインクして」とか!
鷲尾:あと青木田さんと増木さんがふたりでやっていた前説でのコール&レスポンスもだんだんお客さんが上手くなってきたりして、そういう変化もみなさん楽しんで、たくさん観に来てくれたんだなと感じています。遊馬は何かある?
遊馬:アドリブの話から言うと、増木さんが何か無茶ぶりをする人だということを、お客さんもわかってくるから、舞台に出てくるとクスクス笑い出すんです(笑)。そういう期待感というものをだんだん感じるようになって、ちょっとプレッシャーにもなりました。
佐藤:普段出演している舞台では日替わりはあまりなくて、『レイルウェイ』ではそこを楽しみにしてくれる方もいるのかなと。最後の印象はアドリブしかないイメージです(笑)。千秋楽に近づくにつれて、ストーリーは台本通りなんですが、セリフとかがどんどん変わっていって。回を重ねるごとに(脚本・演出の)米山さんもアイディアが浮かんでくるのか「今日のセリフはこうやって言ってみて」って提案してくださる。たとえば音無くんが最後「RAILWAY」のメンバーとしてして仲間に入れて喜んで駆け寄ってくるんですけど、八雲(樹/滝澤諒)くんが「駆け込み乗車はおやめください」って言うやつ! 僕はそのシーン、大好きです。
(左から)佐藤信長、鷲尾修斗、遊馬晃祐
鷲尾:あれ稽古場で生まれたやつだよね?
佐藤:でも、やったのは公演本番の途中からでした。それをやったら、すごくウケたの覚えてます!
遊馬:そういえば、アイドル自己紹介はすごく難しかったなぁ。
佐藤:あれ自分たちで考えたんですよね!
鷲尾:稽古場で米山さんが作ってくれたベースをもとに、それを自分たちでアレンジして。僕は定番のやつだった。広報担当だったし。
遊馬:今回変えましょうよ!
鷲尾:いや、音無くんが、どうなるかはまだわからない。今回、もしかしたら「RAILWAY」を抜けてるかもしれない(笑)。
佐藤:なんで抜けるの!?(笑)。
遊馬:より仲良くなって始まるんじゃないの?
鷲尾:いや、米山さんの台本見てみないとわからないかもよ?!(笑)。
ーーそれでは、どういうお話になると想像しますか?
佐藤:前回はグジラっていう空想の敵がいたんですが、今回は「RAILWAY」とは異なる別のアイドルグループが現れます。中でも、石賀(和輝/鷹峰翔役)くんは、歌がうまくて踊れると聞いたので楽しみ! しかも、元「RAILWAY」のセンターだし!
鷲尾:じゃあ鷹峰くん絶対にイヤなヤツじゃん!!(笑)。
佐藤:もし、ステージ上でライブをして、お客さんにどっちがいいかって判断をしてもらうとかなったら僕怖いです!
鷲尾:その場で投票、みたいな? そういうのは全力で阻止しよう(笑)。
遊馬:僕は客席に出てって見させないように妨害します!(笑)。
鷲尾:でも本当にどんな話になるんだろう? 「RAILWAY」として活動をしているというところから始まる気はしてる。そして、元センターが現れて。彼らは売れっ子、僕らは街のアイドルみたいな感じかな?
佐藤:ハッピーエンドになりそうな予感はありますよね!
佐藤信長
鷲尾:コメディで、バッドエンドで終わる話ってあまり聞かないよ(笑)!
遊馬:わかった! 音無くんに好きな人ができるとか?
鷲尾:急だな!(笑)。でも僕らの「RAILWAY」と石賀くんたちの「FLIGHT PLAN」は対立しそうだよね。
遊馬:前回は僕、駅弁鉄だったんです。滑川(佐藤)くんは時刻表鉄だったよね。そこをもうちょっと掘り下げるシーンがあったらいいなって思います。例えば日替わりで駅弁を紹介するとか面白そう!
鷲尾:今回出てくる新しい2人(武藤優馬役の赤名竜之輔、金子奏多役の坪倉康晴)も何の鉄道オタクなのか気になるよね? 「FLIGHT PLAN」は航空会社の広告をしてるアイドルという設定だけど、飛行機好きとかあるのかな? だって、元センターは、前回「グリーン車? 僕は特急で行くよ」とか言ってるくらいだから(笑)。……でも予想では音無くんがなんとかしてみんなが仲良くなって終わるって気がするな(笑)。
一同:(笑)
鷲尾:みんながバチバチしてるのに、音無くんはそんなにしない感じする!
遊馬:僕は、元センターの鷹峰にかなり敵対心抱きそう!
鷲尾:うん、そういうシーンも初めてちゃんと描かれるかもね。
遊馬:「クローズ」みたいですよね。殴り合いの青春、みたいな!
鷲尾:嘘だろ。(佐藤を見て、そんな喧嘩を)やる?(笑)。
佐藤:やらないです(笑)。
鷲尾:音無くんとして暴力はちょっと……。
遊馬:わかりました、僕がやっておきます!
鷲尾:うん(笑)。元センターと朝霧くんとの関係性も描かれると思う!
男性も楽しめる作品
ーー「FLIGHT PLAN」のみなさんにもカラーがあるんですよね。
鷲尾:月白(げっぱく)とゴールデンオレンジとピュアベリーっていう色ですね。
ーー色の名前が特徴的ですね。
遊馬:そうなんですよ! 月白ってやばくないですか?(笑)。音無くんは紅だよね?
鷲尾:朝霧くんは、たんぽぽ・イエロー、滑川くんはあやめ。新しい武藤くんがBlue Flame(ブルーフレイム)。金子くんがフェアリー☆グリーン。いや、フェアリー☆グリーンは某有名男性歌手と一緒のパターン!(笑)
ーーどんな人に見てほしいかのコメントを含めて、ファンの皆様にメッセージをお願いします。
遊馬:(見ていただきたいのは)みんな!
鷲尾:(笑)。間口が広い!
遊馬:本当に誰でも楽しめます。関係者の方にもすごく楽しんでもらえたのも印象に残ってます。2.5次元の作品のように原作があるものではないので、幼稚園児からおじいちゃんおばあちゃんまで――
鷲尾:いや、入場に年齢の制限もあるからね!(笑)。
遊馬:じゃあ子供から大人まで! みんなが楽しめる作品ですので、何度も足を運んでいただけたら嬉しいなと思います。今回も、ライブパートがあると思うので、ライブで盛り上がって、お客さんと一緒に舞台を作っていけたらいいなと思っています!
佐藤:前作を観に来てくださった方にも、また来てほしいですし、今回からの方も絶対楽しめる内容になると思います。本当にいろんな人に来てほしいです。あと、男性にも観に来てほしいです。女性の方が多いのですが、男性も楽しめる内容だと思います! 彼氏とか旦那さまとかを是非一緒に連れてきてください! ……よし、イイこと言った(小さくガッツポーズ)。
鷲尾:ここ、入れてくださいね(笑)
僕は、この作品は真面目なところも面白いところもみんなが全力でやっているというところが素晴らしくもあり、楽しめるところだと思います。普段舞台を見る機会がない人が見てもすごくわかりやすく、面白い作品に出来上がっていると思いますので、そんな方達にも、ぜひ足を運んでいただきたいです。舞台ってこんなに面白いんだよと伝えたいです!ぜひぜひ気軽に観に来ていただけたら嬉しいなと思います!
(左から)佐藤信長、鷲尾修斗、遊馬晃祐
芝居、歌、ダンスとおもちゃ箱のような本作品では、特にアドリブへの適応力は見ごたえあるものになるだろう。前回より1年の歳月を経てさらにパワーアップしていること間違いなし。舞台『レイルェイ』~Take Off~は、6月20日(土)~28日(日)草月ホールにて上演。
取材・テキスト=松本裕美 撮影=池上夢貢​

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