【まなおのアニメ感想戦!】第16回 
なぜ「新」なのか―「ドラえもんのび
太の新恐竜」まで3つの恐竜考察

 2020年は、ドラえもん連載50周年、映画40周年のアニバーサルイヤーです。その節目を祝うように「のび太の新恐竜」が公開を控えていました。しかし、諸般の事情で公開は8月7日へと延期し(のび太くんのお誕生日ですね)、同日公開予定だった「STAND BY ME ドラえもん2」も日程未定で延期となっています。町中を彩る宣伝、コラボグッズが少し寂しく映るほどに待ち遠しい公開ですが、同じ待ち遠しいなら、より「新恐竜」が楽しみに待てるご紹介をしたいと思います。
◆元祖「恐竜」、水田ドラの元祖「恐竜2006」
 初代「のび太の恐竜」は、タイム風呂敷で卵の化石から孵(かえ)したフタバスズキリュウのピー助を育て、元の時代へ返す壮大なスケールで進行する大冒険です。白亜紀の大自然、恐竜の生命と力、そして恐竜ハンターという未来的な悪役とのスリリングな戦い。ご紹介するまでもなく元祖と呼ぶのにふさわしい大作で、私自身もう何度見たかわかりません。
時が経ち、第26作目「のび太の恐竜2006」。水田わさびさんをはじめとする新声優陣による最初の劇場版は、スタジオジブリ出身の小西賢一作監に、渡辺歩監督という最強の布陣でダイナミックにリメイクされました。フレッシュな声に、大きく進化したアニメーション技術とで、新しい世代をあらためて感じられる1作だったのではないでしょうか。それに伴う諸々の学説のアップデートは、ドラえもんの未来を目指して現実の研究が進み、それを調べる技術も発達していたことからも必要に迫られていたと想像します。
◆「新恐竜」はどう「新」なのか?
 そして今回、40作目であり、初代「恐竜」から40周年の節目として「新恐竜」がベールを脱ぐことになります。今井一暁監督、脚本の川村元気プロデューサーは過去「宝島」でもタッグを組みました。こちらは児童文学「宝島」のように海上の王道を進みながら、これまでのドラえもん映画の名場面が詰め合せられている鮮烈な作品です。シーン、道具、台詞。パッと見ただけで過去の思い出が蘇って、目から汗のこみあげてくる舟旅でした。
 そんな作品を描いたタッグが再び挑むドラ映画だからこそ、あるいは過去の名話を集約した「STAND BY ME」系列との差別化という意味もあるのかもしれませんが、本作はリメイクではなく新作です。木村拓哉氏、渡辺直美氏が声をあてる2人のゲストキャラは、過去のドラえもん映画にない衝撃的な暗躍をするかもしれません。
 「恐竜」から全てがはじまり、「恐竜2006」で水田さんたちの歴史があらためて始まったように、本作も新たな節目となれるかがかかっていると感じます。これからのドラえもん映画の新しい歩み、つまり、過去の大山さん時代のお約束や、ファンのノスタルジーに必ずしも縛られなくていいという(私はあると喜んじゃいますが)リベラルな空気を作っていくための物語になるかもと、公式サイトの監督の言葉を深読みしてしまうのです。ビジュアルのキューとミューが、首長竜になっているところからもその一端を感じています(じつは定義上、ピー助=フタバスズキリュウは恐竜ではないようなのです)。ここから数年の作品を見る中で、再評価する作品になるのかもしれません。
◆同じ待つならば楽しく待ちたい
 とはいえ夏の公開まで時間もありますし、不急の外出も控える今日。こんなタイミングの配信サービスはひみつ道具のような頼もしさがありますね。Amazon Prime Videoではドラえもん映画を見放題で鑑賞することができます。劇場版の18作目であり、現作が藤子・F・不二雄先生の遺作である「ねじ巻き都市冒険記」まで、それぞれ何十回と見てきましたが、いつ何度見ても心ゆさぶられる作品ばかり。
 見方は自由ですが、なつかしい作品を振り返るのはもちろん、「鉄人兵団」「日本誕生」など、リメイク前後で作品を見比べてみるのもよいかもしれません。ちなみに「魔界大冒険」はテレビ版では聴けない「風のマジカル」(小泉今日子さん)が収録されているのが特徴で、私のようにテレビ版しか見れなかったファンにはおすすめです。
 近年では「南極カチコチ大冒険」、全体では「海底鬼岩城」は私がいちばん大好きな劇場版です。旧作を振り返りながらお気に入りの作品を語り合う、そして「新恐竜」を待ちわびる1年になったらいいなと思います。

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