SHE’Sインタビュー 確信の4thアル
バム『Tragicomedy』を完成させた4人
の第一声

間違いなく一つの到達点であり、一大傑作だ。SHE'Sの4thアルバム『Tragicomedy』。リリースは5月とまだ先なのだが、3か月連続配信を行いその後シングルにも収録された「Masquerade」「Letter」「Your Song」や、アルバムからの先行配信曲「Unforgive」「Tragicomedy」「Higher」といった楽曲に触れ、アルバムの全貌にワクワク感を覚えている方も多いのではないだろうか。本稿は、アルバムの制作を終えてすぐのタイミングで、いわば4人の本作に対する第一声として聞いたインタビューだ。極力ネタバレの無いよう、曲ごとのディテールについてはあまり触れていないものの、この『Tragicomedy』という作品に対する彼らの手応えのほどは伝わるはず。リリース前に、そして『SHE'S Tour 2020 ~reboot~』参加の前にご一読いただけたら幸いである。
■このアルバムが一番、SHE’ Sの芯みたいなものが見える(広瀬)
――まずシンプルに、手応えから聞いていいですか。
井上竜馬:手応え……手応えはめっちゃある。今までで一番すごいアルバムやと思う。最初はもっと暗かったんですけど、タイアップが決まってくれたおかげでちょっと救いのあるアルバムになりましたね。
木村雅人:最初はどうなるかと思ったもんな(笑)。
服部栞汰:たしかに。
井上:それが「Higher」と「ONE」のおかげで。
広瀬臣吾:最初はその2曲が無かったから、「初期に戻りすぎてへん?」みたいな、ダークサイドに落ちすぎたアルバムになりかけたんですけど。ちょうどいいバランスに落ち着いて。
井上:今の状態になって『Tragicomedy』自体の完成度はグッと上がったと思います。オープニングとエンディング(「Lay Down(Prologue)」「Sleep Well(Epilogue)」)とか、やりたくてやったことなかったこともできたし、ドラムが全部打ち込みの曲もあったり、楽しみながら自分の中でテーマを持って書けたアルバムだったので、達成感はすごく大きかったですね。
――僕の印象では、曲ごとに振り切れてるなと思ったんですよ。これまでが、どういうタイプの曲にもどこかしら、多くのリスナーが思う“SHE’ Sらしさ”を入れることで調和を取っていたとするならば、今回は“らしい”曲もあれば、思い切りそうじゃない方向に振っている曲もある気がして。僕はそこが好きだったんです。
広瀬:それはその通りではあると思う。去年1年、たぶん竜馬の中で、単純に「良い」と思える曲を(アルバムの)流れとか関係なく作っていたので。そういうことになるのは必然だと思いますね。
井上:アルバムの構想自体は結構前からあって、テーマを決めてから作り始めたんです。『Now & Then』が終わったあと次のアルバムに向けて、「いつ出るかわからんけど、期間を設けずに竜馬が書きたい、濃度の高いものを作ろう」って言っていただけたので、濃いものに振り切って作れたのはありますね、かなり。特に「Ugly」って曲と「Blowing in the Wind」って曲は、ほんまに“SHE’ Sらしさ”ってほぼ無いと思う。
――でもその2曲、すごい好きなんだよね。
井上:僕もです(即答)。……「Ugly」とか、100パー受けへんから(笑)。
広瀬:そうかなぁ? 俺、デモの段階からイチオシやったけどな。
井上:SHE’ Sレディ、SHE’ Sガールたちには――
木村:ああ、“SHE’ Sっぽさ”が無いからか。
井上:日本ぽくもないやん?
広瀬:「Ugly」とか「Blowing in the Wind」みたいに振り切ったものは、“SHE’ Sらしさ”じゃないかもしれんけど、逆にこのアルバムが一番、SHE’ Sの芯みたいなものが見える感じもあって。
井上:そう。らしくないからこそ存在感があるよね。
――それにアルバムに先んじて「Unforgive」とかが流れているわけなので、多少は調教というか、ね?
木村:調教!(笑)
服部:ちょっとずつ育てていく感じのね(笑)。
井上:たしかにな。なんか、テーマがテーマというか……自分の身近な人間が躁鬱病になったことと向き合いながら書いたアルバムやったから、大体の歌詞の内容がちょっと暗いっちゃ暗いんです。けど、それ以前に音感としても、もっとオルタナでも良いなって、去年ぐらいから思ったのがきっかけでしたね。「Dance With Me」とか書いてるあたりは、「Unforgive」みたいな曲を書こうとは微塵も思ってなかったし、SHE’ S はあんまりこういうのをやらん方がいいんかなって思ってたんですけど、でもほんまに好き勝手書いて良いって言われて、書けたのがこういう曲たちやったから。出来て良かったし、SHE’ Sはもともと結成当時はこういう曲から始まってるし、それをあらためて。暗くて、英詞でみたいな。
――ですね。
井上:MV曲も「Letter」とか「Your Song」みたいな透き通った印象があると思うので、「Unforgive」みたいな曲が先に世に走れたのは、SHE’ S的にも良かったなと思います。
木村:振り切ったからこそ、1曲1曲がすごい目立つというか、今までの「Letter」とか「Your Song」もすごく立ってるし、全曲のバランスというか、それぞれが主役みたいな作品になったと思います。
服部:あらためてアルバムを1曲目から通して聴いてるんですけど、最後まで聴いて「もう終わったんや」って思うんですよ。今までよりも手応えありますし、今まで以上の満足感だけど、良い意味での物足りなさというか。もっと聴きたくなるようなアルバムに仕上がった感じがしますね。
SHE’S 撮影=高田梓
■より本当に思うことや濃いものを作ることに向かえた(井上)
――ちなみに、前作であり、今作のスタート地点でもあった『Now & Then』は、もう少し明るさや楽しさが前に出ていた印象はあって。
井上:そうですね。まあ、ちょいちょいエモい曲はあるんですけど、でも楽しいモードはあったのかもしれないな。シンプルに“今とあの頃”っていう、「The Everglow」があったからこそ焦点を当てたテーマがあって、今とあの頃で何が違うかって全部言い切らないといけない、自分の中で探し切らないといけないって書いたアルバムだったんです。自分のことやから思い返すのも結構ヘヴィだし、すごいパーソナルなアルバム、すごく井上竜馬が井上竜馬を書いたアルバムやったから、小っ恥ずかしさというか、それに伴う辛さはあったんですけど。
それが終わってすごく達成感があったというか、純に音楽を作れた感覚だったからこそ、より今作の制作が楽しくなった……って言ったら違うかな。でも音楽として、「売れたい」とか色々あるけど、それを取っ払って、より本当に思うことや濃いものを作ることに向かえたし。そういうやり方でやった去年1年間の制作は、今までで一番楽しかった。決して明るい曲がいっぱいあるわけではないかもしれないけど、音を楽しむっていう意味では前作があったからこその『Tragicomedy』なんかなって思います。
――『Now & Then』が土台になって。
井上:土台でした。今まではそういう作り方ってそんなにしてこなかったんですけど。
広瀬:歌詞とかもなんか、今までで一番、全曲で人間性が通ってる気がして。曲調は違うけど一人の人が書いてるんやなっていう統一感がある感じがして。歌詞、今回すごく良いっすよね。
――今回試みた、制作の期限ありきではない作り方という部分は、実際どうでした?
井上:俺はやりやすかったですね。「Masquerade」とか、「これはアルバム曲やな」「8曲目ぐらいにくるやつやな」とか思いながら作ってたら、思いの外ハマったというか、みんなが「いいやん」ってシングルになったり。僕は客観的に見て作るタイプじゃなくて主観でしか音楽ができないから、こういう作り方の方が思わぬことも起きるし。
広瀬:こっちもいつ何が来るかわからんからなぁ。
――たしかに。制作期間が明確であれば、近い時期に何曲かまとめて上がってくるけど。
広瀬:そうそうそう。
服部:だから楽しいですよ、こっちも。特徴とかも縛りなく、竜馬が書きたいものをポンポン書いて、それが来たときの一発目の印象――例えば、「Masquerade」のイントロとか、あれを聴いたとき「うわ、すごいな」と思いましたし。
広瀬:今までで一番良かったよ、制作は。
木村:面白かった。
井上:縛りなく書いたから、バラードというかスローテンポがすごく多かったけど。「Be Here」も「Not Enough」、「Tragicomedy」……「One」も一応ミドルか。アップテンポが少ないアルバムになったなと。
広瀬:だから逆にそれが映えてくるな。
木村:たしかに今回、BPMやリズム感とかは似てても全然違う印象に聴こえる。
SHE’S 撮影=高田梓
――ロック!という曲も今回ないですよね。
井上:ああ、たしかに。
服部:今までは竜馬がギター弾く曲とかあったんですけど。
井上:今までは「こういう曲調が1曲は欲しいな」とかも考えてたけど、そういうのを何も考えずに書いたから、俺はギターを1曲も弾いてない。ほんまはロックやりたくないんかな?とか思われたら嫌なんですけど(笑)。今のモード的とか今回のアルバムのテーマ的には要らんかなと思ったのはあります。
――でも全体の印象としてロック感が薄いとは決して思わないんですよ。
井上:出るとこは出る、というのはあるんですよね。でも「今回、ロックじゃないな」とか考えたことなかったです。アルバムを通して飽きさせないためのバリエーションを、とか、そういうのどうでもいいと思って振り切ったから。
――それが結果的に良かったですよね。
井上:うん。俺はすごく気持ち良かったですね。
――1曲ずつバラバラのタイミングで上がってくるということは、楽器陣からしても1曲への向き合う時間とか、変わりそうですけど。
広瀬:そうそう。レコーディングとかももう、今までやったら4~5曲まとめて録ったりもしたんですけど、本当に今回は半年くらいかけてバラバラに。
――1曲ごとじっくり向き合うことで、出てくるフレーズとかも変わってくる?
広瀬:全然違うと思う。
木村:フルでっていうよりは1サビまでとか、細かくよりたくさんの曲を聴かせてもらうことが多かったので、それぞれアプローチする時間も多くて、僕らもやりやすかったなと思います。
――全体的にストレスなくできたと。
井上:うん。全くなかったですね。まあ、(曲が)出てこないときはストレスなんですけど(笑)、それ以外は全く。“心”がテーマってめっちゃ漠然としてるし、デリケートやし、答えが求められるものだからこそ簡単には作れないから、そんなに速く曲は作れなかったんですけど、ほんまに自由に書けたので。
SHE’S 撮影=高田梓
■一個一個の音や、音の組み立て方も今まで以上に気にして(服部)
――アレンジやプロデュースで関わった方もいますけど、人選についてのアイディアや意図したことでいえば?
井上:トオミ(ヨウ)さんは臣吾やったっけ?
広瀬:最初は俺がやりたかったから。「そんな忙しい人選ぶ?」って言われたけど、お願いしたら引き受けてくれて。島田(昌典)さんはスタッフに言われて、すごくええと思いますって。
――「Higher」を島田さんにお願いしたのは、当初からポップス色を強くしたい意図があったから?
井上:そうですね。明るく書いたし、甲子園の曲なので爽やかさやポップス色みたいなところで楽器も増やしたかったし。
――ではトオミさんとやりたかったのは何故なんですか。
広瀬:その時期、サブスクとかで新しい曲を色々と聴いてて、「お!」ってなる曲がトオミさんやった、ってことが続いたんですよ。「おかしいぞ、これは」と(笑)。しかも打ち込みメインの曲からバンドサウンドまで何でもできる、天才やろっていう興味。
井上:一緒にやってみても、自分にないアイディアを入れてくれたり、音色を変えてくれたりとか。
広瀬:すごく綿密に構成していくタイプの人かなと思ってたんですけど、実際にやってみたら意外と感覚派でビックリしたな。「そんなに理論とか詳しくないんだよ」とか言っていて「それでこれできるんや、天才やな」って。
木村:ドラマー的にも、ほんまに勉強になったというか。ドラムのフレーズとか歌に対してのアプローチとか、めちゃめちゃ計算されてるなって感じました。歌ものを普通のリズムからどうやって発展させていくのか、みたいなところで勉強になりましたね。
服部:自分の色を結構出させてくれるというか、何よりやりやすいっていうのが一番でしたね。気持ちよくできるし、それに対してのちょっとしたアドバイスとかでさらに気持ちよくさせてくれるという。
――この曲に限らず、今作は全体的に栞汰くんのギターの存在感がすごくありますよね。ちょっとハードロックっぽかったり往年のJ-POPっぽいあのフレーズが、僕はSHE’ Sの持ち味の一つだと思うんですけど、その入るタイミングや音色なんかの精度が増している。
服部:ありがとうございます。このコード進行でこの音、ということも考えながら、しっかり曲として邪魔にならないように、逆に歌が無いところでどれだけギターが歌えるか?とか。ギターやけど前に出ることってあるじゃないですか。そこを大事にしながら、一個一個の音や、音の組み立て方も今まで以上に気にして作るようにはなりました。
SHE’S 撮影=高田梓
■「Unforgive」はドライヴ感や爆発力をドラムとして一番出せた(木村)
――収録曲の中で、強いて挙げるならそれぞれのお気に入りってあります?
木村:僕は圧倒的に「Unforgive」が――。
井上:“圧倒的”とか言わんといてくれるか。
――はははは!
木村:いや、全部すごいレベルの中でも……
井上:一緒やん。
木村:……もちろん全部良い曲ですよ!(一同笑) 「Unforgive」は、ドライヴ感というか、打ち込みからバンドサウンドに切り替わる爆発力というか。そういうのがドラムとして一番出せたという意味で、録り終えたときの達成感がありましたし、フレーズ的にも良いものができました。
――いま主流となっている音楽の傾向からみても、ドラムが打ち込みと共存したり、クールな質感を出すようなアプローチをすることは避けて通れないわけで、そういう意味でも収穫が大きそうですよね。
木村:そうなんですよ。新しいアプローチもありつつ、SHE’ S感もありつつで、すごくバランスよくできたというか。達成感がありますね。
――他の皆さんはどうでしょう。
広瀬:……これ、先に言った方が得やな(笑)。僕は「Higher」ですかね。
井上:めっちゃ意外や。
広瀬:曲もそうやねんけど、なんか「Higher」のレコーディングはすごくテンションが上がったというか。この曲ってストリングスとホーンも含め、1日で全てのレコーディングをしてるんですよ。しかもストリングスはダブカル(ダブルカルテット=四重奏✕2組の8人編成)おって。時間もそれぞれタイトなんですよ。でもみんな妥協してる感もなく全てをこなせていて。島田さんもすごいし、あの日はすごい感動した思い出がありますね。
――島田さんのディレクションもそれだけ的確なわけですね。
広瀬:的確やけど、めちゃくちゃ“感情が大事”みたいなところがあるんでしょうね。ストリングスの譜面にメモみたいなのが書いてあるんですけど、「エモく」「楽しく」みたいな。そんな曖昧な表現を書くってすげえな、気持ち的な部分を大事にするんやなって。
――それは意外。 では栞汰くんのイチ推しを。
服部:「Be Here」で。この曲を作るときは自分のアレンジがすっと出てきて、ギターは結構いなたいというか、良い意味で古臭い音で――まあ今までも僕がハードロック好きで普通よりは古臭いのはあるんですけど、それとはまた違って。ストラトのフロントの音で、とか音作りでも、今まで出せてなかったような音にできました。何より最初に聴いたときに「この曲ええな」と思ったのがずっとあって、シングルの3曲をどの曲にするかみんなで票を入れていったときも、僕は「Be Here」に入れてましたし、それくらいずっと好きやった曲なので、やっと、やっとリリースできるっていう(笑)。
井上:実は「Be Here」は、『Now & Then』のツアーファイナルのアンコールでもやったんですけど、当時はまだタイトルも決まってなくて。それ以降どこにも出てないし、シングルにも選出されなかったので。
服部:幻の曲です(笑)。
――そうだったんだ。では竜馬くんの推しは。
井上:俺は「Tragicomedy」です。あとからタイアップの決まった曲を抜けば、この曲が一番最後に書いた曲で、アルバムの一番最後に入れたいなと思いながら書いた曲でもあったし、今回のアルバムを表すような曲にしたいなと思って書きました。多分、今までのSHE’ Sの中で一番美しい曲なんじゃないかな。
だから、個人的にはめちゃくちゃ思い入れのある曲ができたというか。「Long Googbye」とか「Night Owl」、「Curtain Call」、最近でいうと「Stand By Me」とかって、書いたあとに「これが書けたから音楽いつでも辞めれるわ」って思ったんですけど、「Tragicomedy」を書いたとき久しぶりにそう思えた。派手な曲じゃないし淡々と冷たい曲やけどあったかさもあって、自分の思う好きな美しさをすごく表現できたかなと思いますね。
広瀬:純粋なバンドサウンド、これくらいちゃう? 4人だけの音という意味では。
井上:ああ、たしかに。4人だけの音は久しぶりかもなぁ。
広瀬:(制作の)最後に、こういう曲でそれができたのは良かったなって。
SHE’S 撮影=高田梓
■「ヒット曲書きたいな」と思いました(井上)
――ツアーについても話したいんですけど、これ、ぶっちゃけ元々はアルバムを出した後に回るつもりだったんですよね?
一同:(笑)
広瀬:そう思いますよね、普通。
――ということは、当初予定していたツアーのイメージとは変わってくると思うけど、その反面、アルバムツアーではないから何をどう見せても良いツアーになったとも言えるわけで。
井上:そうですね。自由度はすごく上がりました。久しぶりの曲をやるか、とかもありますし。こうなった以上は演出面とかも去年からのアップデートを感じられるように、いろいろみんなで話し合いながら、面白いものにできそうなので。かなり豪華になるよな?
木村:うん。豪華。
井上:東名阪Zeppをまわるバンドっぽい感じになります。いろいろ楽しいこと、新しいこともできそうな感じはしますね。
――ツアーがあってアルバムが出て。そこから2020年、どんな風に活動していくイメージを持ってますか。
広瀬:来年の春、ちょうど1年後くらいには結成10周年になりますんで、そこで何かしらできたらなっていう気持ちはあるので、しっかりお祝いしてもらえる準備を。
――今の内から求心力とかも高めて。
広瀬:そうそう。高めたところで盛大にやりたいなっていう気持ちがある。その準備の年にしたいなって。
服部:同じくですね。階段を上っていくというか、このツアーも“reboot”=再起動っていうのは、10周年に向かってあらためて気合を入れ直そうと、話し合って決めたので。そこへ向けた1年になるのは間違いないなって思います。
木村:去年1年間、制作もライブもしっかり見つめ直せて、しっかりと土台を作ることができたんで、今年は飛躍の年にしたいなと。
――すでにドラマで曲が流れたりと、これまでより広い層に聴いてもらってるし、アルバムもこれだけ良いものができてるし。良い循環をしていきそうですよね。
井上:そうですね。センバツもそうやし。ありがたいことに、テレビの前の人に届く機会を作っていただけたので、良い走り出しというか。あとは……俺は最近、テイラー・スウィフトのドキュメンタリーを見て、「ヒット曲書きたいな」と思いましたね。今までそんな気持ち、微塵もなかったんですけど。
――なかったのかい(笑)。
広瀬:逆に、このタイミングで来たんや。
井上:もちろん、楽しんでやで? 「ヒット曲を書くぞ!」って書くんじゃなくて……
――結果的にヒットして代表曲みたいになる曲。
井上:うん。みたいなのがあったらすげえなと思いましたね、テイラーを見てて。だから、来年の10周年に向けてまだまだ制作したいし、もっとSHE’ Sの推進力となるようなヒット曲が生まれたらいいなって思いましたね。……もっとオルタナにしたいけどな、次は(笑)。
広瀬:理想は、「ヒット曲以外はちょっとワケわからへんな」みたいなのが面白いよな。
井上:「え、こっちがメインなん?」みたいな。
広瀬:まあ、ヒット出せば俺らの自由度は広がるんで。
――一回「こいつらイケてる」って判定されたら、案外何をやっても「イケてる」ってなったりもするからね。
広瀬:そうそうそう! それでより自由な方向に行きたいですよね。

取材・文=風間大洋 撮影=高田梓
SHE’S 撮影=高田梓

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

新着