バレーボウイズが多彩な魅力を発揮す
る主催ワンマンを1年半ぶりに実施「
このメンバーで音楽をやっていること
が面白い」

2015年、京都精華大学の学園祭に出演するために結成されたバレーボウイズ。昭和歌謡やフォークソングなどの要素をちりばめたノスタルジックな楽曲と、歌のハーモニーで注目を浴び、2017年には『FUJI ROCK FESTIVAL』のROOKIE A GO-GO枠に出演。2019年にはミニアルバム『青い』をリリース。アルバム収録曲である「渚をドライブ」のMVは20万再生を超えるなど話題を集めた。そんなバレーボウイズが3月11日(水)に発表する新曲「ひとみ」。同曲は、うまく言葉にできないほど相手のことを好きになってしまって、どうしようもなくなる「僕」の物語。青春時代の恋愛の味わいを思い起こさせる内容だ。3月21日には東京・渋谷WWWで1年半ぶりの主催ワンマンライブ『まるごとバレーボウイズ』もおこなうなど、バンドとして充実の春を迎えようとしている。そこで今回は新曲とワンマンについて、メンバーのネギ(Gt.Vo)、前田流星(Vo)に話を訊いた。
――「ひとみ」はどのような過程で制作されたのですか。
ネギ:元々の曲があって、それは自分が今回の「ひとみ」とは違う意図で作ったものだったのですが、バンドのメンバーにどうやって編曲しようか相談したとき、一人がコードや曲調をガラッと変えて「こんなのどう?」と持ってきてくれて。それが原曲とは全然違っていて、曲の意味さえ変わったものになっていたんです。
バレーボウイズ
――元の曲の意味合いはどういうものだったのですか。
ネギ:自分自身に心酔し、美化しているような歌だったんです。歌詞の中で、「僕は君のことをこれだけ思っているんだよ」というふうに登場人物は言っているじゃないですか。で、それを家から出られない言い訳にしている。確かに出られないのはその人のせいではあるんだけど……というような歌でしたね。
前田:それをもっとピュアに、誰かのせいとかではなく、「彼女のことが好き」という気持ちがまさっていくようになりました。
ネギ:そうそう。元々は自分のことばかり考えている人の歌だったんですけど、彼女のことをちゃんと考えていて、「気持ちを伝えたい」というふうになっている。
前田:コード進行をガラッと変えた状態にしてきたものをスタジオでやったときに、しっくりはまったんですよね。あの瞬間はすごく楽しかった。バレーのニュアンスに落とし込めていい感じだなと。
バレーボウイズ
――意味合いまでガラッと変わることに、躊躇はなかったですか。
ネギ:1年くらい前から僕が持ってくる曲に忠実じゃないというか、崩していこうという姿勢になっていたんです。前作のアルバム『青い』もそういう感じで、やり方もいろいろ見えてきましたし、それでも、ここまでガラッと変えることは初めてでしたけど。バンドとしてやったとき、夢の中で思っていたことが現実性を持つというか、ストレートな歌になる。バンドとしてはそういうスタイルの方が合っていると思います。直球で持っていく感じ。それこそ「人間大好き」とか、ああいう直球をバレーボウイズとしてやっていこうと。この曲もストレートに相手に訴えかけていますし、聴く人にもちゃんと伝わってほしいという気持ちでやっています。
前田:だからこそ、サビとか「分かる、分かる」と共感ができるのかもしれません。<誰彼構わず 好きになるわけじゃない>とか、すごくしっくりきましたね。思い当たることがあるからなんですよね。
バレーボウイズ
――そしてバレーボウイズといえば、この「ひとみ」のリリースだけではなく、東京・渋谷WWWでのワンマンライブ『まるごとバレーボウイズ』もトピックスとしてありますね。ここではライブだけではなく、絵をはじめとするメンバー各自のアートワークなどの展示もあるんですよね。
前田:今までそういうものをバンドと絡めて見せる機会はなかったんですけど、今回は実践してみようというところから始まりました。展示や弾き語りがあり、オリジナルグッズも個々で作って、やりたいことをたくさん詰め込む1日。僕も絵を出展します。
――バレーボウイズのライブとメンバー各自のアートワークをひとつのイベントの中で交わらせるという融和性については、どのように考えていらっしゃいますか。
前田:バレーボウイズに関して言えば、それらが交わることってあまりないと思っているんです。というのも、バレーの曲はネギちゃんの作詞作曲が軸にあるし、個々の活動は自分の好きなものを自由にやっているから全然違う軸なんですよ。だからそこは今まで交わらなかったけど、今回はひとりひとりの面白さを、見てくれる人に伝えたい。おもしろい7人がやっているバンドということを知ってほしい。
バレーボウイズ
――なぜ今回そういう場を設けようとしたのですか。
ネギ:これまではやろうと思っても、実際問題として方法、期間、お金の面など色々まとまらない部分があったので、できなかったんです。でも今回はそこを思い切って「やろう」ということになりました。
前田:各自、作品はあるけど「じゃあ、どう展示するか」とか問題点はいろいろあったからね。
ネギ:壁に作品を貼るにしても、ハコ的には果たしてそれをやっていいのかとか、ライブハウスの判断もありますし。
前田:照明もちゃんとやっておかないと絵をきっちり鑑賞できない可能性もある。どうなんだろう、ということがあったのでやらなかったんです。でも今回はそれでも実施してみようと。当日にならないと分からない部分がありますが。
――あらためて考えるとバレーボウイズは多才な集団ですよね。
前田:それぞれが違う人間の集まりです。それがバンドとしてひとつの楽曲を作っているところに、面白みがある。今回のワンマンではそこをより感じてもらいたいです。
ネギ:考え方も趣味もバラバラ。何で一緒にバンドをやっているのかと聞かれることがあるけど、うまく説明できないんです。元を辿れば僕が始めたことだけど、このメンバーで音楽をやっていること自体が面白いんだと気がついた。だからこそ純粋にそれぞれの活動を見て欲しいんです。口頭ではなかなか伝えられないし、ライブに来るだけでも伝わらないおもしろさがある。今回はそれを僕らの方から発信する場所にしました。
バレーボウイズ
――ネギさんの弾き語りはどういうものになりそうですか。
ネギ:どうするか考えるのをやめよう、というくらい今迷っているんです。バレーボウイズでやっているということが想像できないものを作っています。それでも、どこかで「なるほど」とバレーボウイズのことがちょっと匂う感じにするか。いろんなアプローチを考えています。
前田:僕はいつもネギちゃんの弾き語りを聴くとき、はじめての曲が多いんです。たくさんストックがあって、そのなかでも今一番ホットな曲を演奏するんだろうけど、多分今回も知らない曲があるんだろうなと。
ネギ:確かにメンバーに向けてやっているところもあるんです。「俺はこういう曲も持っている」というアピールでもあって。あとでメンバーが、「あの曲のコードはこういうふうに変えた方がいいんじゃないか」と言ってくれたりする。「この曲、バレーボウイズでやりたい」となったら、「じゃあやろうか」と。逆に「いや、これは弾き語りでやるからいいんだよ」とか、そんなことをみんなで喋るのが楽しい。そういう部分から、バレーボウイズのやり方が見えてくることもあるので。
前田:確かに、ネギちゃんの弾き語りを見て「バンドでやりたい」という話をすることはあるよね。
ネギ:自分はこういうことを思っている、という気持ちがあっても、なかなか伝わらないじゃないですか。だからこそこういう機会で、お客さん含めてみんなの思っていることを理解していきたいですね。
バレーボウイズ
取材・文=田辺ユウキ 撮影=ハヤシマコ

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