reGretGirl「僕の絶望はみんなのおか
げで希望になってます」ホームの大阪
で白熱のツアーファイナル、新曲披露
とうれしい発表も

reGretGirl『coming soon ツアー』2020.2.15(SAT)大阪・梅田CLUB QUATTRO
失恋をテーマにした楽曲で人気を集める3ピースロックバンド・reGretGirlが昨年9月に3rdミニアルバム『soon』を発表し、2月15日(土)、そのリリースツアー『coming soon ツアー』のファイナル公演を彼らの地元・大阪で開催した。自身最大規模である全13か所を巡りたどり着いた梅田クラブクアトロでの模様をレポートする。
ホームタウンで迎えるツアー最終日とあって、当然チケットはソールドアウト。期待ではち切れんばかりのファンに『soon』同様、3人は「12月29日」から火をつける。<どうして今日なんだ>と、もどかしい気持ちを軽快なビートに乗せれば、緊張感をはらんでいた空気は打ち破られ、会場は一気にヒートアップ。小刻みなクラップを伴う「ブロッサム」では、ステージに向かって伸びる手にピンク色のライトが当たって頭上に桜吹雪を生み出す。
平部雅洋 (Vo.Gt)
見事なスタートダッシュに早くも高揚感が漂うが、まだまだ序盤。MCで平部(Vo,Gt)がホテルで起きた「ヒゲ騒動」のトークで和ませると、さらに上昇の時間へ。疾走感ある「よわむし」、甘酸っぱくも遊び心を隠したような「キスの味」、バンドの代名詞的リリックで女々しさを全開させる「二色浜」と新旧の曲を織り交ぜ展開。こぶしを突き上げたり強くうなずくように聴き入ったりと、観客は3人の音楽の中へと引き込まれる。
すると今度は今ツアーの恒例である平部と前田(Dr)のネタのように絶妙な掛け合いでリラックス。だが、「こんなに(人が)集まってくれるというのは感慨深いものがあって、実は1曲目から泣いてました(笑)」(平部)と心境も吐露し、加えて『soon』が1stミニアルバム『my』、2ndミニアルバム『take』と合わせて三部作であることを語ると、「9割は同じ人のために歌ってます」、「時系列や伏線を楽しみながら聴いてほしいなと……」と、これまでの作品の裏舞台も明かす。そんな言葉を踏まえて向かい合う「テレフォン」は徐々に熱を上げてファルセットで響くキャッチーなサビが一層耳に残り、リップシンクしてハンズアップする人の姿も少なくない。
前田将司 (Dr)
そしてここからreGretGirlの真骨頂を見せつけるかのごとく、「黒鳥山公園」などの胸を締めつけるバラードのゾーンへ。エモーショナルなメロディや、時に吐息が混じり時に爆発する平部の表現力豊かな歌声、またそれらを際立たせるミュートや、身近な光景を描く浸透力のある歌詞は、ファンを歌わせたりフリーズさせたりと揺さぶる。また曲間に挟まれる「どうして最後の日が訪れてしまうのでしょう?」、「長い夢からさめた僕はどこへ向かうのでしょう?」といった平部の語りも曲の物語を生々しく提示し、ハートをチクチクと刺激。「白昼夢から覚めて」ではまさに白昼夢のような不思議な別世界も空間に広げる。
そんな世界に浸りきった観客たちを「俺、情緒は安定してるから安心してな(笑)。誰だってそういう一面あるやろ? 今日はそういう集まりやろ(笑)」と平部が現実に引き戻し、再度『soon』の話へ。「(三部作を完成させ)ひと区切りついたって感じ」、「(今後は)失恋以外も歌いたいなと思います。楽しみやろ(笑)?」と今後の展望も口にする。さらに「三部作の最後にいい曲ができたんです。これができた時、何かが終わるから始まるんだなと思ったんです。希望の歌だと思っています」と「おわりではじまり」をセレクト。しなやかな旋律とボーカルとコーラスで光をもたらすと、ついにラストスパートを開始する。
十九川宗裕 (Ba)
まず平部は、「reGretGirlは、頑張れよ!って応援してあげることはできません。でも傷ついた人の心をよく知っているから、自分が音楽にしてもらったように、無理すんなよ! 泣きたい時は泣けよと言いたいです。僕のこの手は引っ張ってはあげられないけど、隣でギュッっとつないでいることはできます。2020年、一番寄り添えるバンドになろうと思う。僕の絶望はみんなのおかげで希望になってます!」(一部抜粋)と思いの丈を打ち明け、「ホワイトアウト」から勢いよく突き抜ける。会場には合唱が轟いて、いよいよ最後は「soak」で今日一番のハイスピード。叫びにも似た平部の声にフロアには再び拳が上がって最高潮を迎え、本編は熱狂に包まれたまま終了した。
reGretGirl
もちろん、地元・大阪でのファイナルはサービス満点のアンコールが……。出だしは「あまりやらない曲を」(平部)と、「(L)ONLY」のラップで弾ませて再加熱すると、続くのは4月15日(水)に1stシングル「スプリング」をリリースし、これに伴うツーマンツアー開催も決定したというアナウンス! しかもそのファイナルは大阪公演で今日よりも広いライブハウスで行われるというから、地元ファンのざわめきが止まらない。
それに追い打ちをかけるように、ツアー中今夜だけという注目の新曲「スプリング」の披露も! これらの贈り物に会場は歓喜に沸くが感激しているのはメンバーも同じのようで、平部は「(新曲は)あ~、緊張した(笑)」と言いつつ、「正直、泣きそうやな……泣かへんけど(笑)。いや~、楽しかったなあ。終わりたくないなーっ!」と締めくくりに「replay」。3人が鳴らす高ぶる音が一つになって全速力で攻め立てれば、ファンはクラップ&ハンズアップ&シンガロングで応戦して華やかなラストシーンに! 全員がキラキラと目を輝かせ愛にあふれて『coming soon ツアー』はついに幕を閉じた。濃厚で充実した今夜のライブに、誰もがニューシングルの到着と次のツアーが待ちきれなくなったに違いない。
reGretGirl
取材・文=服田昌子

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