りべりず&南にこ

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アニメ声じゃないから声優に向いてな
いと言われたあの頃:「南にこの新人
声優物語」連載2

◆連載第二回!
南にこの新人声優物語
連載第2回  アニメ声じゃないから声優に向いてないと言われたあの頃 こんにちは! 新人声優の南にこです!
 千葉唯一のアイドルカフェ『2ねん8くみ千葉校』でアイドルを始めて、『Asterisk』でデビュー、ローカル/地下/ライブアイドルとして活動しました。
 その後、タイ最大級のアイドル情報サイトを運営する会社からスカウトされて、タイ日混合アイドル『Siam☆Dream「サイアム☆ドリーム」』初代メンバーに。タイ・バンコクに移住もしました。
 そして昨年9月、Siam☆Dreamを卒業し、アイドル活動にひとまずの終止符を打ち、新たに日本で新人声優の道を歩み出す……が、←イマココです!
 なんか、こうやって書き出してみると、私の人生、むっちゃ波乱万丈っぽいですよね。
 転がり続けてきた〝ローリング南にこ〟みたいなっていうか(笑)
 でも転がり続けてきたようにみえて、本当の私自身の〝原点〟は「声優」だったんです。
 そう、アイドルになるさらに前には「声優」への憧れがあったんです。
 今回はその話をさせていただきます。
「君、アニメ声じゃないから――」 私、「南にこ」としては『2ねん8くみ千葉校』がスタートでしたが、実はそれ以前にもアイドル的活動をしていました。はい、1年半ほど、「アイドル声優系ユニット」に加入していた時期があるんです。ただそれは「アイドル声優」を目指していたわけではなくて、純粋に声優の勉強をしていく中でそういう流れになっていったんです。
 アイドルになる人って、やっぱり強烈な〝アイドルへの憧れ〟があると思うんです。小学生くらいのころから大好きなアイドルがいてみたいな。
 それに比べてじゃあ私がどうだったかっていえば、アイドルに憧れたとか正直なくて、やっぱり〝アニメ〟だったんですね。小学生時代の私は3次元の生身のアイドルさんたちより、完全に2次元のアニメやアニメキャラクターに夢中でした。
 でも小学高学年ごろになると、ちょっと「おや!?」って思い始めるんです。毎回楽しく観てるアニメ番組のエンディングに登場キャラのあとに「なんか人の名前があるぞ!?」って。さらに「エンディングテーマとかも歌ってるぞ!?」 それはどうやら「声優さん」というものらしい……。はい、〝2.5次元への目覚め〟でした。
 「声優という仕事/職業がある」ってはっきりと知ったのは中学2年生のときでした。
 将来の進路みたいなのがテーマの授業で、図書館でお仕事関連の本を読書する時間があったんです。ただそのときの私はぼんやりと「こどもが好きだから保母さんになりたいな」なんて思っていて、だから保育士関連の本を読みたかったんだけど、その本は人気で順番がなかなか回ってこなくて。なので仕方なく、ちょうど隣に座ってた子が読んでる本を一緒に見たんです。そしたら、それが『声優になりたい!』みたいなタイトルの声優入門本だったんです。私、すごくびっくりして。「えっ、声優ってなれるの!?」って……。
 その声優入門本には具体的になことも書いてあったと記憶しています。「声優になるには、まずは声優養成学校に入って基礎から声優の勉強をしなければいけません」的なことですね。そう私が中学生のころもまだまだ、声優になるには声優の専門学校や養成所を経ての王道コースしかない……みたいな感じでした。
 そして、偶然目にしたその入門本で声優という「仕事」に目覚めてしまった私は、親に内緒で声優の事務所のオーディションを受けました。うちは家が厳しかったので許してもらえないと思って……案の定そこの一次オーディション合格通知が家に届いて親は猛反対……でもあきらめの悪い私は「ダメでも行きたい! 声優になりたい! なる!」と言い続けてたので、あきれた母親は「だったら自分のお金で行けるようになってから行きなさい」と言い、結果、高校生になってから私はバイトを開始し(ファミレスのウェイトレスさんでした)、同時に東京の小さな小さな声優スクールに自分のバイト料で入学したんです。本当はもっと大きな大手のスクールや養成所に入学するのがなによりの声優への近道だったんですが、高校1年生のバイト料では入学金とか高くて払えなかったし、なんかそういう知恵も知識もなかったんですね……。
 その小さな小さなスクールは実際に声優として活躍している先生の個人スクールみたいな学校でした。その先生に私はこう言われたんです。
「君はアニメ声じゃないから、声優にはむいてない。たとえ声優になれても、その他大勢で埋もれちゃうな」
 えっ!? 私、向いてない!? とてもショックでした。今ならね、「声優=アニメ声なんて決めつけ、おかしいよ!」って言えますけど、ほら知恵も知識もない少女だったので、私。
 ただ先生は、こう言葉を続けてくださったんです。
「だから君は、アイドル声優的な方向を目指したほうがいい。これからは、そういう声優が活躍する時代になっていくから」――。
 この先生の言葉で私は初めて「アイドル」ということを意識するようになりました。
 私は今のままじゃ、ちゃんとした声優にはなれないんだ……声優になるにはアイドルをやるしかないんだ……って。それこそこんな考え、アイドルに対して失礼な考え方です。でも私は真剣にそう思いこんで、そして「声優になるために」、ありとあらゆるアイドルオーディションに応募する日々をスタートさせました。もう1年ちょっとで100個くらいのオーディションを受けました。そして当然なんだろうけど、落ちまくりました。だって「声優になるためにアイドルになりたい」って志望動機の子が運良く受かるほどアイドルの世界は甘くないですから。アイドルになりたくてなりたくて、アイドルになるためのレッスンを毎日必死にやってる子たちがシノギをけずる世界なわけですから。
ある声優さんがあのころの私の命の恩人だった そうして私は、100いくつ目かのオーディションでようやく合格を果たします。嬉しいことにそれは私が希望していたことにとても近い「声優アイドル的ユニット」でした。ユニット自体は総勢30人前後いて、でもメンバーの出入りはいっぱいありました。
 私はその場所で、私なりに精一杯がんばりました。だって自分の夢=声優に一番近い場所だと信じていたから。
 その反面、やっていてツラいことが多くありました。もう過去のことなので詳しくは言いたくないし、語りませんけど、正直、〝大人の世界〟の色んな面も目の当たりにしてしまい、落ち込んだりもして……。
 結果、私は1年と半年で、そのユニットをリタイアします。
 そのとき私は、まだ十代の少女だったにも関わらず、「ああ、私、終わったな……」なんて思ったりもしました。
 声優になりたくて、声優を目指して、アイドルも視野にいれて、自分なりに頑張ったこの期間、でもぶっちゃけツラいことやキツいことのほうが多かった。人を信じれなくなったり、自分をも信じれなくなったり。
 ただでも、そんな、それこそ暗黒期だったかもしれない自分を救ってくれたのも、また〝アニメ〟だったんです。ひとつ実名作品をあげれば、深夜アニメの『ココロコネクト』。知ってる人は知ってると思うんですけど、ちょっと複雑な、学園が舞台の作品です。
 この物語のヒロインである「永瀬伊織」に私は感情移入して、その声優である豊崎愛生さんの「演技」にとてもとても心を打たれたんです。凄まじく複雑な環境で育った複雑な存在の永瀬伊織を、豊崎愛生さんはまさにそのキャラクターに命を吹き込むように演じられていました。そのころの私は永瀬伊織が心に刺さりまくっていて、大袈裟なようですけど生きる希望になっていて、だからそんな永瀬伊織に命を吹き込んでくれた豊崎さんは、それこそ私にとっては「命の恩人」ともいえる存在でした。
 私は声優という夢に半分以上挫折しかかりながらも、でも豊崎さんのような、私が救われてるみたいに、「私も〝誰かの命を救えるくらいの仕事〟をしてみたい!」と強く思ったんです。だから、だから、声優への夢をあきらめたくないって――。
 そんなとき、私が暮らす千葉に、ひとつのアイドルカフェがオープンしました。それが『2ねん8くみ千葉校』だったんです。
『2ねん8くみ千葉校』を見つけてくれて、教えてくれたのは、私が声優を目指すことにずっと反対していた母親でした…………。
(私が新人声優にたどり着くまでの話、次回コラムに続けさせてください)
(4週ごとに月曜日掲載)
イラスト:りべりず&南にこ(イメージアイコン)
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★あいどるかふぇ『2ねん8くみ』千葉校ツイッター
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★あいどるかふぇ『2ねん8くみ』仙台本店ツイッター
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★2ねん8くみ千葉校 HP
http://2nen8kumi-chiba.com/
★2ねん8くみ仙台校 HP
http://www.2-8cafe.com/
【南にこ:プロフィール】
2015年、『あいどるかふぇ 2ねん8くみ千葉校』に入店。その後、『千葉校』から発展した選抜ユニット『Asterisk』リーダーとなり、アイドルグループ『SEVEN4』メンバーも兼任する。さらに日本&タイ混合アイドル『Siam☆Dream「サイアム☆ドリーム」』に抜擢され、タイ・デビューも果たす。
現在はアイドルを卒業し新人声優として活動中。
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