INTERVIEW / Ivan Smagghe 「“昔の
方が良かった”と言う人は信じないで
」――Andrew WeatherallやLaurent
Garnierも絶賛するIvan Smagghe。6年
ぶりの来日を前にインタビューを敢行

Andrew WeatherallLaurent Garnierが大絶賛するシーン最高峰のDJのひとり、Ivan Smaggheが今夜2月14日(金)に東京・表参道Ventにて開催される『Brian Ray』に出演する。
フランス出身、現在はロンドンを拠点とするIvan Smaggheは、フレンチ・エレクトロ・グループ・Black Storbeとしての活動でキャリアをスタートさせ、その後はDJ/プロデューサーとしてレーベル主宰、パーティオーガナイズ、数々のパーティへの出演など、幅広い活動を展開してきた。近年では新ユニット、Smagghe & Cross名義で2枚のアルバムをリリースしている。
今回は来日間近のIvan Smaggheに、パーティでも共演するFLEDtokyoがメール・インタビューを敢行。ベテランでありながら、常にシーンの前線に立つDJ/プロデューサーの今を訊いた。
Text, Interview by FLEDtokyo
Translation by Aoi Kurihara
ー先週末、ジャカルタのQueens HeadでJonathan Kusumaとプレイし、今週金曜の夜は東京・表参道VentでMustache Xによるパーティ『Brian Ray』のヘッドライナーを務めますね。アジア・ツアーも日本で終わるようですが、どうでしたか?
Ivan:土曜日に中国・深圳のOil Clubに行く予定だったけれど、中国の空港が閉鎖されるみたいで、キャンセルすることを決めたんだ。なので、君が言う通りこれがアジアの最後のギグになる。3つのギグだけで「ツアー」って言っていいのかわからないけどね。サイゴンはかなりクールだったよ。The Observatoryっていうクラブは、最近では定番の小箱みたいで。ジャカルタでは、 『Dekadenz』というパーティ・クルーが素晴らしい仕事をしてくれたんだ。彼らは自分たちが好きなものにこだわって、独自のシーンを構築していて、とても新鮮で素敵だと思う。東京では評判の高いVentのサウンドシステムを聴けることを楽しみにしているよ。
――あなたはAndrew Weatheralと頻繁にプレイしているようですが、実際 あなたのResident Advisor(以下:RA)のページ(https://jp.residentadvisor.net/dj/ivansmagghe) でも「#1 Appears most with(〜と最も多く表示される)」として表示されていますよね。実は彼は昨年、Mustache X、K.E.G.と『Huit Etoiles』コレクティヴのQue SakamotoによるVentの3周年アニバーサリーでもプレイしたんです。Andrewとの出会い、または今後のイベント/プロジェクトでの彼との繋がりについて教えてください。
Ivan:ハハハ(笑)。こんな統計をRAでチェックできるとは知らなかった。僕たちはこれまでも何度となく一緒にプレイしてきた。(『Wrong Meeting』と呼ばれるロンドンでの夜を過ごしたことがあるのだけれどそれで統計が上がったに違いない)。僕がダンス・ミュージックに興味を持った時、僕もバックグラウンドにパンク/ニューウェーヴを持っていたから、Andrew Weatheralはすぐに大好きなプロデューサー/DJのひとりになった。けれど、実際に直接出会ったのはそこからだいぶ後(たぶん2000年くらい?)。彼に感心するのは、『Dekadenz』について言ったことと同じだね。何が起こっても信念を曲げないんだ。彼のソーシャル・メディアの存在を完全に回避する方法は、見ていてとても羨ましく思うよ。
――この春、あなたはManfredasとかなり一緒にプレイしますね。Spotifyで聴ける彼の『Manfredas’ Music Cabinet』は悦楽的で素晴らしいですが、彼のこの明るい太陽は日本ではまだ昇っていません。この不思議なDJ/プロデューサーを、日本のリスナーに紹介してもらえますか?
Ivan:彼はすぐ君たちに会うはず。Mani(Manfredas)は、ビリニュス(リトアニア共和国の首都)にあるクラブ「Opium」で開催される『Smala』というパーティのレジデントなんだけど、僕が体感したそのパーティは、過去10年間、ヨーロッパで過ごした最高の夜のひとつだと思う。僕がそこで初めてプレイした時、彼は自分の作品が入ったUSBをプレゼントしてくれて、かなり感動したんだ(そして、それは僕のレーベル〈Les Disques De La Mort〉から『PINK INDUSTRY EP』としてリリースされた)。彼は素晴らしいDJであり、音楽的に非常に親近感があるね。知らない人とB2Bをするのは、理解するのに苦労してしまうけど、彼は素晴らしい友人でもあるから、一緒にプレイするとすごく上手くいくんだ。
―― Ransom Noteの「Track By Track」シリーズ(https://www.theransomnote.com/music/track-by-track/track-by-track-smagghe-cross-1819/) で、あなたとRupert Crossによるユニット・Smagghe & Crossは、Vladimir Ivkovicの〈OFFEN Music〉レーベルからコラボ・アルバム『1819』についてのガイドがありました。まるであなたの思い出を想起させるようです。または灰色の憂鬱な空の下で探索するようにも感じましたが、同作にはそのような意図があったのでしょうか?
Ivan:それは矛盾のアルバムなんだ。哀調とインダストリアル、雲を壊す太陽、モダンとフェード。そしてそれは幽霊で、背景に囁き、錆びた小さなミニチュアのアルバムでもある。
――あなたの人生における音楽の旅は、パリのRough Tradeショップで始まり、フレンチ・エレクトロ・グループ・Black Strobeでシーンを牽引し(2018年には主宰レーベル〈Blackstrobe Records〉からShun『Steel Garage EP』をリリース)、レーベル/パーティ『Kill THE DJ』の活動に、Tim ParisとのユニットであるIt’s A Fine Line、人気ミックス・シリーズ『Fabric 23』のリリース、〈Les Disques De La Mort〉レーベルと、無数のコラボレーション、編集、ミックス、音楽の発見、さらにはNTS Radioでの定期出演まで、幅広く活躍して来ました。そんなあなたにとって、現在最も興味深いプロデューサーは?
Ivan:誰か特定の人の名前を挙げるのはあまり好きではないけれど、敢えて挙げるとすれば僕に近しい人々だね。Fantastic Twins、Elles、Youkounkoun、Benedikt Freyは真っ先に頭に浮かぶね。良い音楽は常にここにあって、そしてそれは僕より若いアーティストたちによって作られている。「昔の方が良かった」と言う人は信じないで。
――今回の来日で、美しい日本の光景と、音楽を楽しみ、そして吸収してくれると嬉しいです。今回、日本でのTo Doリストのトップは何でしょう?
Ivan:昨日は神保町に行ったんだ。なぜなら、僕はとても本が好きなんだよね。東京で得られる喜びは無限だよ。今日は東京都庭園美術館に行くんだ。目黒寄生虫博物館も行こうかと思っているよ。奇妙なものが好きなんだ(笑)。
――Ivan、ありがとうございました!
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