橋本祥平&杉江大志、お互いの印象は
「優等生」「ジャックナイフ」 舞台
『デュラララ!!』インタビュー

電撃文庫の大ヒット作『デュラララ!!』は2020年にTVアニメ放送10周年を迎える。2.5次元というジャンルが一般的にも認知されてきた昨今、『デュラララ!!』の舞台化はまだか……という声もすでに多く上がっており、さらに発表時は嬉しさと懐かしさに2.5次元舞台好きのみならず、アニメファンにも爆発的な話題を生んだ。
竜ヶ峰帝人を演じるのは主演経験も豊富な橋本祥平。幼馴染でクラスメイトの紀田正臣を演じるのは、自然体な演技で観客を魅了してやまない杉江大志。何度か共演もあるふたりはすでに帝人と正臣の仲の良さ、雰囲気をすでに持っているようにも思われた。作品への熱量の高さや期待を背負う、ふたりの“非日常”にも触れたインタビューをお届けする。。
二面性がだんだん見えてくる面白さ
ーーまず『デュラララ!!』』とはどんな作品でしょうか。演じられるキャラクターについても教えてください。
杉江:どんなお話か! うーん、『デュラララ!!』ってどんな分類なんだろう? サスペンスなのか、ミステリーなのか、アクションなのか、ファンタジー要素もあるし……。
橋本:池袋という街のリアルとファンタジーがミックスされているような作品。キャラクターもいっぱいいて、群像劇という感じでしょうか。
橋本祥平
杉江:群像劇、オムニバス……群像ミステリーサスペンスアクション! みたいなね(笑)
橋本:いろいろ入ってる!
杉江:日常の中に潜む非日常、ファンタジーともいえるお話をリアルに描いている感じです。一言では言い表すのは難しいよね。
橋本:僕の演じる「竜ヶ峰帝人」は、めちゃくちゃ名前負けしているようなキャラクターですね。「竜」と「帝」はすごく強そうで特徴的なのに、本人はそれとは非対称的。田舎から出てきた、いい意味でイモ臭い少年。都会の非日常に憧れて上京してきて、大志くん演じる正臣とつるんで日常を過ごすという役です。
杉江:帝人と正臣は幼馴染ですね!
橋本:そうです! 一見何もないような子なんですが、ストーリーを進めていくうちに、コイツやっぱりすごい奴だったっていうのが明らかになっていきます。
杉江:上手く言うねぇ~。どのキャラクターも第一印象からはわからない裏や二面性があって、その視点を変えながら描いていくような物語です。正臣もすごく元気で明るくてムードメーカー的な存在なんですが、実は裏の顔――闇を背負っている。初めはそんな感じはないんですが、それがだんだん見えてくるっていうのが『デュラララ!!』の面白さかな。
杉江大志
橋本:最初の印象とは違ってきますもんね。
杉江:わかってから改めて前半を見ると、また面白みがあるんじゃないかな。
橋本:個人的には正臣が抱えている闇が一番キツイのでは……と思います。
杉江:うん、一番わかりやすい二面性だよね。だから舞台も何回も観てほしいです! 物語の全体を知ってからまた観ると全然違う印象を受けると思う。
ーー舞台が決まる前からこの作品をご存じでしたか?
杉江:僕はもう世代だったので、見てました! 舞台では、帝人の視点を中心に描くのかなと思っています。
橋本:同じく見てました。帝人の目線はお客様目線でもある。でもアニメみたいにみんなにスポットが当たってるお話も舞台でやりたいな~って。
杉江:まぁどこまでどうやるのかはまだ秘密です♪
ハマリすぎなのは?――静雄!
ーーおふたりは池袋の街に思い出などはありますか?
杉江:僕は滋賀県出身で、東京と言えば渋谷、新宿、池袋って感じ。原宿の竹下通りに行ったときは最初テーマパークだと思った! 渋谷も人が多くてすごいし、新宿はちょっと怖いし、池袋はなんか「異色」って思ったな。今でもちょっと雰囲気違うなって思うよ、池袋だけ……。
橋本:僕の初池袋は学生の時に舞台のお手伝いでサンシャイン劇場に通っていた時ですね。神奈川県出身なんですが、それまではあまり来ることもなかったです。うーん、「不思議な街」っていう印象です。いまではよく遊びにも、仕事でも来ることがありますが。
橋本祥平
杉江:日本のカルチャーが一番色濃く出てくる場所でもありますよね。アニメから日本に入ってきた外国の方は池袋に行ってほしい!
ーーアニメ放映から10周年ということですが、10年前からはずいぶん池袋の街も様変わりしましたよね。
橋本:ちょっと前に久々に池袋に来た時、めちゃくちゃ新しくなっててびっくりしました! 僕の知ってる風景じゃない……。
杉江:あはは、そうだね~変わったよね(笑)
橋本:古き良き建物や住宅が並んでいるところもあるんですが、駅のほうに少し近づくともう近代的な新しい建物が混雑している。面白い街だな~と思いました。
杉江:西口と東口でも全然雰囲気違うもんね。
ーー舞台化発表の時はTwitterのトレンドになるくらいすごく話題になりましたね。
杉江:(その盛り上がりを見て)すごいなと思いました! 舞台をやると聞いたときは「いよいよきたか!」って思っていたんですが、その想像の何倍もの反響を見てびっくりしました。「やっぱりこの作品はすごいパワーを持っているんだな」って思いましたね。
橋本:僕は地元の友達からも連絡が来ました! 原作も大好きで「池袋の街に聖地巡礼に行ったくらい好きな作品だからよろしくな!」って(笑)。そのくらい本当にすごかったです。
(左から)杉江大志、橋本祥平
ーービジュアルもすでに公開されていますが、おふたりから見て「この人ハマリしぎでしょ!」と思う方はいますか?
杉江:いや、もう静雄(伊万里有)!
橋本:ですね! 絶対やばい。
杉江:まんまだもん!
橋本:僕は撮影の時に一緒だったんですが、もう……有くんじゃなかったです。静雄でした。
杉江:すごいよね。この静雄のシルエットを体現できる人って限られてる。すごいスタイルいいし、イケメン代表みたいなところあるよね。
橋本:体型含め、有くんはそのまんまですもんね。
杉江:普通だったら静雄や臨也、新羅は主人公になりそうなビジュアル。あの原作のキャラクターをそのまま体現できるってすごいなって思いましたね。静雄は標識ぶん回したりしなきゃね。
橋本:やりそう。
杉江:やってくれるんでしょう!
橋本:アナログな自動販売機をピューって。やってほしい!
杉江:本気で投げてほしい!(笑)
(左から)杉江大志、橋本祥平
お互いの印象――「優等生」「ジャックナイフ」
ーービジュアル撮影のご感想は?
杉江:本当にドキドキでした。撮り終わってからプロデューサーさんやスタッフさんに「いいね!」って言っていただいたので、ひとまずほっとしました~。
杉江:ありがとう~!
橋本:僕は(帝人は)難しくて。まずこの長さの髪型に慣れてないので、結構大変でした。
杉江:オーラが出ちゃうよね。
橋本:そうなんですよー!!(笑)。このきらびやかな世界に生きてて、いかに帝人の持っている地味さを表現するかというのがすごく難しかったです。
杉江:帝人は不思議な空気感を持ってるよね。撮影だけでキャラクターの空気を掴むのって本当に難しいと思う。あまり雰囲気を消しすぎて無になると目が死んじゃうし、帝人はそういう子でもない。ようやく高校生になった、まだ中学生っぽさが残る感じ。そういう雰囲気も撮影で出さないといけないし。
橋本:学生の頃ってどうだったかな~って撮影中そこに戻っちゃって!
杉江:でもそれがわかったからって表現できるものではないよね。垢抜ける前の雰囲気や表情ってあるじゃん。「垢抜ける」って知らない間に経過していくものだし、そこに戻れってなっても……難しいよね。
杉江大志
橋本:最初、この青い学生服がスーツっぽく見えてしまって。それも課題でした。
杉江:同じ高校生でも、達観していたりする子はやりやすいけど、帝人や正臣は普通の「ザ・高校生」っていうイメージ。だからまだビジュアル撮影は大変だったよね。でもまぁお芝居したら、稽古したら大丈夫ですよ!
橋本:そうですね! 早く稽古がしたい!
ーー役作りのプランはありますか?
橋本:僕はとにかく地味に地味に、と。多分、出たがりたい気持ちもあると思うんです。
杉江:ああ!(笑)
橋本:それをぐっとこらえて。とにかく周りのみなさんに派手に演じてもらい、みなさんが派手であればあるほど僕も生きてくるんじゃないかなと思う。
杉江:そうだね! 逆に僕はその帝人の対比になれるようにと。この作品は全体のバランスがめちゃくちゃ大事。それを見ながら稽古もやっていきたいなぁ。正臣もクセは強いけど、王道な感じもある。そういう特徴の強さは周りに出してもらって。帝人・正臣・杏里の3人は中心にいて、その3人の空気感を作れたらいいなと思います。
ーー杏里役の福島雪菜さんとお会いしましたか?
橋本:撮影の時にお会いしましたが、まだがっつりは話せてないです。
杉江:第一印象どうだった?
橋本:ザ・いい子!
橋本祥平
ーー第一印象のお話が出ましたが、ちなみにおふたりのお互いの第一印象と今では変わったことはありますか?
杉江:僕は(橋本に対して)すごいピュアなでまっすぐな子なのかなって思ってたんですが、ちゃんと人間でした。
橋本:(笑) いい意味で?
杉江:そう(笑)! いい意味で人でした! 最初は優等生なのかなって思っていたんだけど、ちゃんと「優等生をやっている」んだなっていうのがわかって。それからのほうが親近感が湧きましたね。あんまり清すぎると近寄りがたい。真水に電気は通らないみたいにね。
橋本:大志くんと初めての共演は2年前くらいなんだけど、それより前にもご一緒したことがありました。その時は触れたもの皆傷つける、ジャックナイフのような鋭い印象がありましたね(笑)。もちろん今もそういう一面があると思いますが、こんなに面倒見いいんだ! っていう印象に変わりました。お芝居も熱くて、憧れる後輩はいっぱいいるだろうなって思ってます。
杉江:年齢とともに変わってきますよね。そこにいる人はみんな同じ俳優という仕事をやっているライバル。同じ土俵に立ってる以上、全員突き落としてこの土俵で生き残るのは自分だ! って思ってた時期はあった。もちろん今でもその気持ちはあるんだけども。
橋本:でも今そのバランスがめちゃめちゃいい感じになってるんだと思う。すごくかっこいいんですもん。
杉江:あざっす……!(照れながら)
舞台は非日常
ーー『デュラララ!!』には日常・非日常が描かれていますが、おふたりにとっての非日常とは?
杉江:なんだろうなぁ。非日常はやっぱり仕事じゃない? 他の人たちよりも、それ(=非日常)を求めているからこそ、この世界にいるのかなとも思うし。
橋本:確かに。舞台は非日常ですもんね。
杉江:1000人近い人の前に立ってお芝居しているというのが非日常だから、やっぱり「仕事」っていう答えになるのかな。
橋本:学生の時は遊園地とかで非日常を味わってましたけど、今は大志くんの言う通り、僕も仕事が非日常になるのかなぁと思います。
杉江:だから休みの時は、逆にのんびり日常に居たいと思うようになったよね!
杉江大志
橋本:考えが以前と逆になってますよね! 昔は帝人と同じで非日常に憧れていましたが、今は日常を大切にしたい。
杉江:休みの日のうちに日常をやっておかないと、非日常を新鮮に演じられない気も最近してきた。家でダラダラするとか温泉に行くとか。でも旅行ってどうなんだろう? 日常なのか、非日常なのか。日常のまま行きたい旅行と、非日常を味わいたくて出かける旅行とあるよね。今は日常のほうでのんびりとしたい。
ーーおふたりは「仕事=日常」と答えるのかなと予想していました。
杉江:仕事のほうが多いので仕事も日常になるんですが、例えば異世界転生するファンタジーを演じるとなったら、まずは普通の人の日常を軸にしないとお客さんと共有しなければいけない感覚とぶれていくと思うんです。見るものすべてが目新しいのに、それに慣れている人が演じてしまうとそこにズレが出てきちゃうので、常に一般的な視点を持っていなければなと。
橋本:お客さんも、舞台を観て非日常の世界に浸ってほしいなと思いますしね。
ーー最後にお客様にメッセージをお願いします。
杉江:『デュラララ!!』は大好きな作品ですし、僕が大好きなキャラクターは正臣です。発表されて期待値もすごく上がっているのを肌で感じています。このキャスト陣で、共演する身としてもとても期待値があがってますので、きっと自信をもって提供できる作品になるであろう! という確信がすでにあります。これから稽古が始まりますが、その中でヘイヘイ(橋本)を筆頭に、いい意味でぶつかり合いながら『デュラララ!!』の世界観をまるっと生でお届けできるように頑張りますので、楽しみにしていてください!
橋本:10年前にアニメが大ヒットした作品ですが、今も熱が冷めることがなく舞台化を聞いたときはすごく嬉しかったです。今思えば『デュラララ!!』って1期が2クール、2期は全3クールだったんですよね。そこまで長くアニメが放送されたというのは相当すごいことですし、それだけこの作品への愛や人気や熱があったからそれだけ続いた作品なんだなって思います。だからこそ舞台化は『デュラララ!!』のさらにその先へ! 『デュラ!!』を再熱させる勢いで僕たちはこの舞台を作っていきたいと思っておりますので、ぜひご期待ください!
『舞台「デュラララ!!」~円首方足の章~』​は2020年4月より東京・愛知・大阪にて上演。

(左から)杉江大志、橋本祥平

取材・文=松本裕美 撮影=荒川 潤

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