矢井田瞳

矢井田瞳

【矢井田瞳 インタビュー】
ライヴをたくさん
やらせてもらっているからこそ
生まれた一枚

“ヤイコ”こと矢井田瞳がミニアルバム『Keep Going』を発表する。前作『Beginning』(2019年8月発表のミニアルバム)で示したアコギボーカルデュオ・高高-takataka-とのコラボをさらに深化させて、過去曲をリアレンジ。今年、デビュー20周年を迎える彼女のアーティストとしての新たな進化を見ることができる意欲作である。

人間力みたいなものは
前作よりもたくさん入っている

『Keep Going』を拝聴しましたが、これが素晴らしいアルバムで。

ありがとうございます! 嬉しいです!

『Beginning』も良かったんですが、それ以上に素敵なテイクばかりで、正直ちょっとビビりました。ヤイコさん自身の手応えはいかがでしょう?

前作の『Beginning』から高高-takataka-のふたりとアコギ3本でのライヴをたくさん重ねてきて、その中で発見したものとか、“さらにここまで行けるぞ”という勢いのようなものとか、それらを『Keep Going』に上手く凝縮できた印象がありますね。『Beginning』には、まだそんなにライヴ経験がない中でリハスタに入ってアレンジをしたものが多く入っているんですけど、その後、いろんなところで何本もライヴをやらせてもらったし、やっぱりライヴを1本やると見えてくることがあるんですね。そのいい部分をギュッと入れることができたのかなと思います。

どの楽曲もサウンドがとても生々しいですよね。

一発録りなのは「Over The Distance」だけなんですけど、何て言うか…ライヴをたくさんやると“この曲の正解はこれなのかな”みたいなことが、なんとなく分かるんですね。それをみんなが分かった上でレコーディングに臨んだから、そこでのぶれがなかったことで無理なく…というか、自然にその曲の一番伸びるところを収めることができたと思います。

“自然にその曲の一番伸びるところを収めた”というのはまさに今作に感じるところで。決してオリジナルが良くないという意味ではないですけど、楽曲によっては今回のバージョンが楽曲本来のアレンジではないかと思うほどですよ。

嬉しいです。リアルな質感やサウンドはサウンドプロデューサーのGAKUさんがこだわってくれたところでもあって、それはギターの録り方にも表れているでしょうし、人間力みたいなものは前作よりもたくさん入っているかもしれないです。

楽曲に触れていくと、まず1曲目の「B’coz I love you」。このバージョンはリズム隊も入っておらず、オリジナルに比べて音数は少ないんですけど、ギターのみでも十分にドライブ感がありますし、オリジナルの勢いにまったく引けを取ってないですよね。

それは狙ったところでもあるので、そう言っていただけて嬉しいです。歌入れの時も新曲に取り掛かる気持ちで歌えたし、アレンジに関しても…今の時代は音を埋めようと思えばいくらでも埋められるんですけど、“引き算の圧力”みたいなものときちんと向き合ってレコーディングしたいと思っていたんです。

原曲もすごくアグレッシブなバンドサウンドが聴けましたけど、どちらかと言えば、今回のほうが攻撃的なのではないかと思うくらいです。

バックのサウンドが別の輝かせ方をしてくれて、それが上手くはまった曲のひとつだと思います。

歌も明らかに変わりましたよね?

あっ、それは最近言われること多いです。

これが適切な表現かどうか分かりませんが、ドスが効いてると言いますか、歌い方が男前というか。

20年前に比べて恥じらい的なものがなくなってきたんですかね(笑)。

そういうつもりでは言ってませんが(苦笑)。バッキングの力強さに負けてないというか、せめぎ合ってる印象です。

ありがとうございます!

続いて2曲目の「Go my way」。これはアコギの音がパキッとクリアーな感じで、「B’coz I love you」とはまた違ったレコーディングの妙が感じられますね。

これは当初、リアレンジするのは大変だと思ってたんですよ。でも、大変と思うということはやる意義があると思って取り組んでみたんです。3人とも全然違うパートを弾いてるんですけれども、それが合わさると1本になって聴こえるというような…細かいことの積み重ねで太いものができているみたいなギターアレンジで。リフもコードも原曲と変わっているんですけれど、勢いはそのままに…みたいなところはキープできたと思ってますね。

小節の頭のストロークに拍が置かれていて、聴いている側も自然と力が入る感じはありますし、前向きなイメージですよね。

それはドラマーはいなくても細かいストロークがドラマーような感じで入っていて、それがそのまま収まってくれたのかもしれません。

音もクリアーで、リズムも力強くて前向き。「Go my way」の“視界良好”といった世界観に合ってると思います。

確かに“視界良好”な曲です。“視界良好”“風”“空”…そういう感じですね。

《大人になれば増えると思ってた 希望や夢は複雑になるばかり うつむいて取り残された場所を深く掘ってみよう 泉が眠るはずよ》といった歌詞も3人での編成に合っているというか、今回のサウンドに合わせたかのような印象もありますよ。

そうですねぇ…演奏面ではスポーツな曲というか、単純にテンポも速いんですけど、だからこそ必死感は出さずにやりたいと思う曲で。そういうところへ行くまでに高高-takataka-とリハを繰り返して一緒に音を作ってきて、今は必死感を出さないところまで来たかなという感じなんですけど、だからこそ毎回演奏するごとに達成感があるというか、めちゃくちゃ気持ち良い曲です。演奏してて、歌ってて気持ち良いというのが伝わっているのかもしれないですね。肉体的のも精神的にもデトックス曲です(笑)。
矢井田瞳
アルバム『Keep Going』【初回限定盤(DVD付)】
アルバム『Keep Going』【通常盤】

OKMusic編集部

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