Rei 全国10都市を巡ったアコースティ
ックツアー『Rei Acoustic Tour ”M
ahogany Girl”』最終公演の夜

『Rei Acoustic Tour ”Mahogany Girl”』2020.1.26(SUN)クラブ月世界
『Rei Acoustic Tour ”Mahogany Girl”』が昨年の12月1日福島を皮切りに、京都・北海道・石川・富山・東京・長崎・熊本・広島と全国9ヶ所10公演を行ってきた。最終公演は、彼女の出身地でもある兵庫県で、神戸のクラブ月世界で開催。いわゆる昔ながらのボックスシートがあって、ステージもあるクラブの造りである会場。最前の椅子席を覗いては、基本ボックスシートに立錐の余地も無いくらいに多くの人が座っている。そんな中、客席から颯爽とReiが登場。フラメンコを彷彿とさせる赤を基調としたワンピースに、大きなつばの黒い帽子を深めに被っている。
Rei
ステージに上がり、椅子に座り、アコースティックギターを緩やかに爪弾きながら囁くように「we can fly,」を歌う。いい感じの反響をコンパクトな会場だからこそ、そのままダイレクトに浴びる事が出来て、初っ端から心地よい。2曲目の「My Name is Rei」はかっこいいギターリフのカッティング、そして、「ワンツースリーフォー!」という勢い良いカウントがたまらない。1曲目、2曲目という、この緩急あるスタートはわくわくする。
Rei
続く、「Territory Blues」は何かが始まるような期待を感じるナンバーであるし、どんどん本人がノッてきている感じも伝わってくる。とにかく、声が響く響く。そして、むちゃくちゃ力強い。「U R GOIN’ 」ではメロディーに言葉が乗っかっていく気持ち良さも感じたのだが、最後の「じゃあねぇ」とちょっと距離感を置きながらも、ちょっと微笑みながらつぶやく感じにゾクッとした。何度も聴いてるナンバーだが、やはり歌詞カードに載ってない言葉だけに何度聞いてもゾクッとする。エレキギターで、そしてリズムマシーンを使った「PLANETS」でのラップパートでも、何かもう溢れ出している感じしかしなかった。特に英語でのラップのカッコ良さは、彼女特有なものだと思う。
Rei
このツアー中、「#マホガ」で随時Twitterで募集していたリクエストナンバー。この日は、Lady Gagaのナンバーと自身のナンバー「Don't Wanna Kill My Soul」。カズーも吹きながら披露したLady Gagaのナンバー「Bad Romance」は、このツアーでも既に演奏しており、「自分へのリクエストとして、もう1回やりたい」と言ったのは、このツアーをRei自身がとても楽しんでいる感じがして、とても良かった。「POTATO」は、そのタイトル通り、ポテトについて歌ったナンバーだが、「POTATO」というフレーズで観客と繰り広げられるコール&レスポンスが素晴らしい。何でも無い「POTATO」というフレーズだけで、ここまで観客を巻き込んで持っていく感じは圧巻だったし、絶品だった。ある意味、魂の叫びにも感じたが、それが難しい言葉やメッセージでなく「POTATO」という日常で話されるシンプルな言葉だった事に本当にグッときた。
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アコギなのにエレキの様な「ギュイーン!」という火を吹くような音が凄かった「Connection」を筆頭に、終盤も全く緩まないというより、よりギアが入っていく。椅子から初めて立ち上がって演奏した「my mama」では、少ししゃがみながら体を揺らし、ギターを弾いて歌うが、全身でリズムを取る天性のリズム感としか言えない感覚は、もう観てるだけで、とんでもなく興奮する。終盤になっても、どんどん声が出てきているし、まだまだ転がっていく。そのままの衝動で進んでの「JUMP」では、そのリズミカルさに自然にハンドクラップが起きるし、跳ねるように演奏して歌う姿に我慢できなくなったのか、座席から立ち上がる人も出始める。とにもかくにもグルーヴィーだ。
Rei
このライブで個人的に大好きだったシーンは、メンバー紹介。このライブレポートが載るページには写真も載っているし、何となくわかると思って一言も書いてないが、このツアーは彼女ひとりのみで行っている。だからこそ、メンバー紹介というのが愉快なのだが、要は演奏で使用するギターを紹介する。これも何となくわかると思って一言も書いていないが、彼女は海外生活も長いため、英語が堪能だ。個人的に英語全てを理解できるわけではないが、ひとりひとり(?)ギターを紹介していく流暢な英語には痺れてしまう。彼女にとっては、ずっとギターが友達なんだろうなとも思えたメンバー紹介だった。
本編ラストは「LAZY LOSER」。コール&レスポンスで「兵庫県民だけ!」、「京都府民だけ!」、「大阪府民だけ!」と盛り上げていく様は、熱を帯びまくっていた。ちゃんと奈良県民や滋賀県民に気を遣うのもチャーミングだった。アンコールでは、昨年リリースされた4thミニアルバム『SEVEN』のツアー『Rei Release Tour 2020 “7th Note”』についてもアナウンスがされた。2月22日の宮城を皮切りに3月19日の心斎橋BIGCATなど、他にも北海道・福岡・愛知・東京と全国6か所で開催される。本日の会場でもチケットが発売される事についても話したが、「買って……」と少しためてから、ちょっと意地悪そうな顔をして「買って帰りな!」と呼びかけたのが、とてもキュートだった。もちろん観客の事を大切にして敬意を込めつつも、変に媚びたりするのではなく、ちょっと突き放す感じ。ツンデレなんていう言葉を使うと誠に陳腐ではあるが、ああいうアクションは彼女を好きな観客にとっては胸のトキメキしかなかったと思う。
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そして、アンコール1曲目「OUR SONG」は、このツアーの為に作り、全会場で歌われてきたという、ゆったりとして優しさを感じるナンバー。アンコールラストナンバーは、激しめのギターカッティングが際立った「BLACK BANANA」。Reiから観客への「Everybody Stand up!!」という呼びかけも盛り上がる。最後はステージでジャンプして終了。大きくお辞儀して、登場時と同じく颯爽と去っていく姿がクールだった。このコンパクトな会場だからこその良さはあったのだが、彼女のエネルギーの凄みを目の当たりにしてしまうと、もっともっと大きな会場で、このエネルギーを浴びたいと思った。また、海外生活が長いからこそであり、もはや言わずもがなの彼女の言語感覚、リズム感覚の凄みも改めて感じた。次のツアーも含め、2020年、Reiの存在の凄みが少しでも多くの人に届く事を心から信じている。
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取材・文=鈴木淳史 撮影=ハヤシマコ

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