二つの星が奏でる魅惑のハーモニー!
「SiriuS」デビューコンベンションレ
ポート

2020年2月19日(水)、共に東京藝術大学声楽科卒業のテノール大田翔とバリトン田中俊太郎によるユニット「SiriuS(シリウス)」が、ミュージカルの名曲から最新の映画音楽までを詰め込んだデビューアルバム『MY FAVORITE THINGS』をリリースする(日本コロムビア)。
「SiriuS」は、『愛の妙薬』『椿姫』『蝶々夫人』等の有名オペラや、大竹しのぶの名演が名高い『ピアフ』や、『ウエストサイド物語』『レ・ミゼラブル』『シークレット・ガーデン』等の大作ミュージカルで活躍しているテノール歌手の大田翔と、バッハの『ヨハネ受難曲』ヘンデルの『メサイア』ハイドンの『天地創造』等の宗教曲のソロや、『ドン・ジョヴァンニ』のタイトルロールをはじめ、『ラ・ボエーム』『椿姫』等のオペラ作品で活躍しているバリトン歌手の田中俊太郎が、本格的なタッグを組んだ新たなユニット。クラシック音楽の枠にとらわれず、ミュージカルから映画音楽、ジャズなどの多彩なナンバーから、クラシックの声楽家として鍛えた声でこそ光りを放つ楽曲を歌う活動を展開していこうという期待の新星だ。

SiriuS

そんな「SiriuS」のデビューを記念したコンベンションが1月24日(金)サントリーホール ブルーローズで行われ、多くのメディアと早くも「SiriuS」を応援している観客が多数訪れ、ミニコンサートとトークによる、華やかなステージが披露された。
ピアノの前奏が流れると、まず客席下手からテノールの大田翔が登場。1950年の映画『ニューオリンズの美女』で、オペラを学びエンターテイメント歌手として、また映画俳優としても活躍したマリオ・ランツァが歌った劇中歌「ビー・マイ・ラヴ」が歌われる。舞台度胸の良さを感じさせる大田は、客席の中でもにこやかに輝かしい声を披露。それを受けるように、今度は客席上手からバリトンの田中俊太郎が登場。太く迫力ある歌声が、互いの音色の違いと魅力を引き立てる。更に二人の声が重ねられた時のハーモニーが実に美しく響き渡り、早くも両者の声の相性の良さが会場中を包んだ。
大田翔
そのままステージで今度はマイクを使ってミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』から「私のお気に入り」。悲しい時にも好きなものを思い出せば幸せになれる、とヒロインのマリアが子供たちを勇気づける、王道ミュージカルの応援ソングで、長くJRのCMでも使われたお馴染みの楽曲だ。だが一度「SiriuS」が歌うことで、曲調が大人の香りを醸し出し、アップテンポに変化した2コーラス目からは、小粋さも発揮されたのが印象的。名曲に「SiriuS」ならではの新たな味わいを加えていた。
田中俊太郎
ここで二人が改めて自己紹介。司会に「緊張していませんね」とふられて「していないように見えますか?緊張しています!」と話しながら、まず大田がテノールは男声の高い音域で、オペラでは若者や二枚目の役を担当します、と解説。テノールの声のサンプルとしてアカペラでカンツォーネの名曲「オー・ソレ・ミオ」の一節を聴かせてくれ、もっと聴きたい!と思う美声を披露した。続いて田中が、バリトンはテノール、バリトン、バスと分かれる男声の中間の声域で、オペラでは主役の恋敵、悪役、父親役などが多いと説明。同じく、バリトンはこんな声ですと、アカペラで滝廉太郎の名曲「荒城の月」の一節を歌い上げて、大きな拍手が贈られた。特に田中の歌う声と、マイクを使って話す声の変化が大きく、鍛え上げられた楽器としての「声」を実感させられる。
SiriuS
そこから固い友情で結ばれた二人を象徴した曲をということで、ヴェルディのオペラ『ドン・カルロ』から「友情の二重唱」が。スペイン王子ドン・カルロと、王子の親友ロドリーゴ侯爵が互いの友情を歌うテノールとバリトンの有名アリアだけに、二人のホームとも言える安定感が際立つ、息ピッタリの歌唱になった。
SiriuS

SiriuS

ここで「SiriuS」という命名の由来が語られ、「シリウス」は太陽を除き、地上から見える最も明るい恒星であり、しかもシリウスAとシリウスBの二つの星が重なった連星であることから、二人のハーモニーが全天で最も明るい恒星シリウスに相応しいとして名付けられたこと。また、二人のファーストネーム翔と俊太郎が共にSの頭文字なことから、「SiriuS」のSには大文字が使われているという、思いのこもったユニット名であることが明かされた。
更に、ミュージカル曲を中心としたデビューアルバム以降の夢として、日本の歌、美空ひばりや、古関裕而の名曲も歌い継いでいきたいとの目標が語られ、その一端として古関の代表曲のひとつ「イヨマンテの夜」が。アーアーではじまる有名な歌い出しは、歌自慢の男性を魅了し一世を風靡した楽曲だが、「SiriuS」は、この出だしだけで圧倒的な歌唱力を惜しみなく誇示。美しいハーモニーで楽曲の真髄を聴かせてくれた。
SiriuS
最後に「オペラ歌手がミュージカル作品にも多数出演する海外のように、二人の歌声で紡がれるジャンルレスな楽曲の数々が、愛されていきますように応援をよろしくお願いします!」と、プロデューサーからの熱い想いのこもった挨拶があり「お客様もどうぞお写真を!」という嬉しい趣向と共に『巴里のアメリカ人』から「天国への階段」が。ステージを動きながら軽い振付もこなして歌う二人の掛け合いは軽快そのもの。これから二人の豊かな歌声が、どんな世界を広げていってくれるのかに、期待の高まるデビューコンベンションとなった。
取材・文=橘涼香 撮影=はぎひさこ

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