【阿部真央 インタビュー】
ポップなところとは違う
一面を見せたかった
孤独であることが救いであり
売りであり、永遠のテーマであり
表題曲となった「まだいけます」はダブルというか、トリプルミーニング的な歌詞になってますね。
やっぱりそう思います? 超嬉しいです。これは“まだいけるんだ”“終わらない”“終わらせたくない”という3つのワードを頭の中で浮遊させて、そこにちょっとセクシーだったり、官能的な意味を持たせて。で、さらにふたつクリアーしたいミッションがあったんです。サビのコーラスをファンの人にライヴで歌ってもらうために、そこに行き着くまでの段階をしっかりイメージしたのと、もうひとつは語感ですね。ワンセンテンスでブツブツ切れていく。あと、私は昔からダンサブルなものが好きなんですけど、そういう曲がなかなか書けなくて。でも、それもいい感じに、この曲や「お前が求める私なんか全部壊してやる」で克服できた気がします。
バラードの「今夜は眠るまで」は無音のところからも何か伝わるものがあると言いますか、そこも含めて歌の表現の力が素晴らしいです。
音が止まるところですよね。あれ、何も意図していなかったんですよ。プリプロダクションの時から勝手に止めていて。アレンジャーの笹路正徳さんとの打ち合わせの時も“あべま、これ、歌詞に合わせて止めてるんだよね? 分かった、分かった”って。笹路さんが疑問を抱くことなく、そのまま活かしてくれたのは、ほんとありがたかったです。
文章だと“行間を読む”みたいな。その空間に何かが存在する、流れている感覚があります。
そこはレコーディングの時に笹路さんが気を付けて録ってくれたのかもしれないですね。データを切ったものじゃないから、実際に空間の音があるので。
続く「テンション」は1曲の中で声がいろいろな表情を見せてくれますね。
これはね、1行目の《私の売りは孤独》を思い付いて書き始めたんです。“もー、私にぴったり!”みたいな(笑)。いつも満たされない孤独感を抱えているし、これが曲に活きているから事実、私の売りになっているし、ファンの人たちが持っている私のイメージにも合ってる。お気に入りのフレーズですね。
“孤独を愛しているんだな”って思いましたよ。
もうね、それは否めない。好きなんですよ、きっと。“孤独だ! 寂しーい!”って言いながら、そこから動かないから(笑)。“寂しーい!”ってくつろぎながら言っているっていうかね。孤独であることが救いであり、売りであり、永遠のテーマであり。孤独な人、孤高な人を見ているのも好きだし。
真央さんも孤高の人だと思いますよ。
ええ。群れている印象もまったくないし。
あははは! 孤独の純度は高いと思いますね。まごうことなく孤独。だってね、私のインスタ、自撮りばかりだから。周りに誰もいない(笑)。孤独感を纏っているアーティストも好きだし、“孤高”っていう言葉に憧れがあるから、そう言ってもらえると嬉しいです。
そして、アルバムを締め括る「おもしろい彼氏」ですが、最後に“できた!”って呟きと笑い声が。
今回の弾き語り曲はクリックを使わず、歌もギターも一発で録ったんですよ。この曲、同じところをずっと間違えていて、これは4回目くらいのテイクなんです。だから、“やっとできた!”と思って、つい“できた!”ってポロッと出ちゃって(笑)。
弾き語りのアコギの音がいいですよね。ちょっとふてぶてしい音というか。
あっ、それ分かります。“ふてぶてしい”ってすごくぴったりだと思う。強いだけではないんですよね。
で、これも歌詞がまた…《私と死んで》とか《ちゃんと看取るね》とか(笑)。
それだけ好きだった人がいたんですよ。《来世もよろしくね》なんて言つつ、実はもう終わっているんですけどね(笑)。これもいつも私の中にある…私って基本的に重いんですけど、それを嫌がらない人だったんです。だから、こうして曲にできたというか。“持っている重みはどんどん出そう”っていう勇気がますます強まっていますね。
そこに洒落っ気もあるんですよ。だから、すごくチャーミングなんですよね。
「私のチャーミングさが出ちゃったかなー。あははは! …いや、チャーミングな人はこんな笑い方しない(笑)。
(笑)。20代最後のアルバムをリリースして、30代初のツアーが控えていますね。
攻めているアルバムなので、攻めるライヴにしたいと思います。自分も成長させてもらいながら、お客さんには120パーセント楽しんでもらえるものにしたいですね。
取材:竹内美保
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アルバム『まだいけます』2020年1月22日発売
PONY CANYON
- 【初回限定盤(DVD付)】
- PCCA-04885
- ¥3,182(税抜)
- 【通常盤】
- PCCA-04886
- ¥2,727(税抜)
3/14(土) 北海道・札幌市教育文化会館 大ホール
3/20(金) 大阪・オリックス劇場
3/21(土) 大阪・オリックス劇場
3/29(日) 広島・JMSアステールプラザ 大ホール
4/04(土) 静岡・静岡市民文化会館 中ホール
4/18(土) 宮城・仙台電力ホール
4/26(日) 愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール(名古屋市民会館)
4/29(水) 福岡・福岡市民会館
5/02(土) 香川・サンポートホール高松 大ホール
5/08(金) 岡山・岡山市民会館
5/09(土) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール
5/15(金) 石川・金沢市文化ホール
5/17(日) 新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
5/22(金) 東京・LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)
5/23(土) 東京・LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)
5/30(土) 大分・大分iichikoグランシアタ
アベマオ:1990年1月24日生まれ、大分県出身。06年、高校2年生の時に『YAMAHA TEENS' MUSIC FESTIVAL』の全国大会で奨励賞を受賞。09年1月にアルバム『ふりぃ』でデビュー。感情的なアコギで押し出す、等身大でリアルな歌詞、表現力豊かなヴォーカル、バラエティーに富んだ楽曲、同世代の女性を中心に、幅広い層から注目と共感を集める。14年10月にデビュー5周年を記念して初の日本武道館公演を開催。16年5月、産休明け第一弾シングル「Don’t let me down」で完全復活を果たし、デビュー10周年となる19年1月にはベストアルバム『阿部真央ベスト』を発表し、2度目の日本武道館公演を成功させた。阿部真央 オフィシャルHP
「お前が求める私なんか
全部壊してやる」Lyric Video