LAZYはヘヴィメタルバンドで
あることを
自ら示した不朽不滅の名盤
『宇宙船地球号』

発売直後の解散。そして…

そのアルバム『宇宙船地球号』は初動こそ1st『This is the LAZY』に及ばなかったものの、その後の累計でLAZYのアルバムの中で最も売れたアルバムとなった。樋口とともに本作の制作を強く推進した高崎は“間違ってなかったんじゃないかな”と振り返り、影山は“魂みたいなものが入っている気がします”と評している(上記の2017年11月のOKMusicのLAZYのインタビューより)。だが、皮肉なもので…と言うべきか、『宇宙船地球号』で自分たちが目指す音楽を追求したことによって、各自の方向性の違いが露呈。1981年2月18日のライヴにおいて解散宣言を行ない、同年5月31日、正式に解散する。『宇宙船地球号』発売からわずか2カ月のことであった。

以後、影山がソロシンガーとして再スタートし、高崎と樋口とは新バンド、LOUDNESSを、井上と田中はネバーランドを結成。LOUDNESSは米国ビルボートでチャートインを果たし、世界で活躍するジャパニーズ・ヘヴィメタルバンドの先駆けとなった(過去、当コラムでLOUDNESSの『Thunder In The East』を取り上げているので、そちらも是非ご参照ください)。影山は一時期人気が低迷したというが、1980年代半ば、アニソン歌手として復活。現在はJAM Projectのリーダーも努めるアニソン界のプリンスである。影山、JAM Projectもまた世界中に多くのファンがおり、こちらも日本を代表するサブカルのコンテンツとなっている。井上はネバーランド以後いくつかのバンドを経て、音楽プロデューサーに転身。レコードレーベルを有する株式会社ランティスの社長を経て、株式会社バンダイナムコライヴクリエイティブの社長や、バンダイナムコアーツの副社長にも就任している。残念ながら田中、樋口は鬼籍に入られたが、残った3人ともに、それぞれの持ち場で国内外の音楽シーンを盛り上げ続けているのは、LAZYが不世出のバンドであった何よりの証左だろう。
■『Thunder In The East』/LOUDNESS
https://okmusic.jp/news/83684

■OKMusic:JAM Project インタビュー
https://okmusic.jp/news/367038

TEXT:帆苅智之

アルバム『宇宙船地球号』1980年発表作品
    • <収録曲>
    • 1.DREAMER
    • 2.DREAMY EXPRESS TRIP
    • 3.天使が見たものは
    • 4.TIME GAP
    • 5.遥かなるマザーランド
    • 6.EARTH ARK(宇宙船地球号)
    • 7.僕らの国でも
    • 8.美しい予感
    • 9.LONELY STAR
『宇宙船地球号』('80)/LAZY

OKMusic編集部

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