OLDCODEX Painter YORKE.
『WHY I PAINT
~なぜボクがえをかくのか~』
- 第84回♪Where the Streets
Have No Name / U2 -
夜の首都高で目の前を走ってる車の
テールランプが遠ざかってぼやけて見える。
手を伸ばせばその輝きに触れられそうな距離。
“5号線”という名の付いたクネクネした狭い2車線。
毒の雨から逃れるみたいに
胸の鼓動がスピードを上げる。
君に見せたい景色があるんだ。
全てがリセット出来そうなほどの景色。
地球を背中に感じて背骨が丸く曲がってしまう、
あの感覚を君と一緒に感じたい。
母親とはぐれた小さな子どもみたいに
小さく丸まって目を遮った。
圧倒的に眩しすぎて
砂漠を置いてけぼりにしそうだった。
その景色を今は目を背けずに
まっすぐに捉えられる気がする。
それは僕が大人になったとかじゃなく、
恐怖に感じる事と向き合って年を重ねたから。
それでもし君が怖くなって目を閉じたら
この手で目をそっと塞いであげるよ。
その時はこの曲を小さな音量で流して
僕たちの鼓動を確かめ合おう。
錆びついた感情を目の当たりにしても。
Rest of Childhoodの4人でこの曲の世界を感じて
クリスマスソングをアレンジしてたら、
あっという間に夢中な時間が過ぎて
スタジオの中が大きな雰囲気で包まれる。
レスポールを押さえつける僕の左手は痺れて
夜になって、外の気温が下がってることに気付く。
同時に一度大きな怪我で、リスクを負った自分の体に
ここまでやれるように回復してる事を愛おしく感じたり。
ビルの片隅で寒そうにしてる野良猫が
足早に逃げていった。
このコートの中へ飛び込んで来たら良かったのに。
眠ったら今日が終わっちゃいそう!
眠る前にコーヒーを飲んじゃう生活は
去年と変わってないよ。
メリークリスマス。
今年もありがとう。
YORKE. / December, 2019