宮本浩次「冬の花」は、人生の辛さを受け止めてくれる歌

宮本浩次「冬の花」は、人生の辛さを受け止めてくれる歌

宮本浩次「冬の花」は、人生の辛さを
受け止めてくれる歌

ドラマ「後妻業」の主題歌
2019年冬、宮本浩次小林武史とタッグを組み書き上げた『冬の花』は、ドラマ『後妻業』の主題歌として大きな話題を集めた。宮本らしいダイナミックなMVと、その楽曲の美しさに圧倒された方も多いのではないだろうか。
作詞の折、「木村佳乃扮する小夜子を思い浮かべた」と明かしていた宮本。一方で、宮本自身の人生観や哲学が反映されているようにも感じさせる。
 
彼らは、この歌詞にどんな思いを込めたのだろうか。
宮本浩次-冬の花
咲き誇る、一輪の花
冬の花 歌詞 「宮本浩次」
https://utaten.com/lyric/iz19042401
切なげなピアノと共に奏でられるメロディ。そこには、出だしからぐっとその世界観に引き込ませる言葉が並ぶ。
自分もいつか枯れ際の花のように命を散らすであろうと語る者。彼はきっと、人生とはどういうものかをある程度知っている。
ほどほどに年齢を重ね、生きる喜びも苦しみも人並みに、もしくはそれ以上に経験してきたのではないだろうか。
そんな自身の人生を「冬の花」と表す彼。寒さに堪え忍び、こんな季節にまで咲き誇り続けた彼にふさわしい例えだ。

「心」を先導する身体
冬の花 歌詞 「宮本浩次」
https://utaten.com/lyric/iz19042401
旅人のように出逢いと別れを繰り返し、それでも進み続けなくてはならない道。その道がどんなに険しく辛いものでも、また新たな出逢いを求めて歩き続けなくてはならない。
幾多の別れがある中、例え心が泣いていても笑顔を作らなくてはならないこともある。“自分の心に涙は似合わない”と語る歌詞はそこから来ているのではないだろうか。
「心」が嘆き悲しんでいたとしても、自分を奮い立たせ、また前へと進んでゆく。「心」を先導するかのように、自らの足で歩むのだ。

冬の花 歌詞 「宮本浩次」
https://utaten.com/lyric/iz19042401
そうしてまた誰かと出逢い、共に歩む約束を結べたとしても、そのすべてが幸せに繋がるとは限らない。
結局旅そのものはいつまでも一人きりのまま。幸せを見つけたところで、すべての苦難を消し去れるわけではないのだ。
笑いたがっている心を封じ込め、しかしその心のためにただ幸せを求めてゆく。どこか寂しげな表現ではあるが、きっと辛い思いを乗り越えた多くの人を共感させる歌詞である。

泣いたって、良いんだ
冬の花 歌詞 「宮本浩次」
https://utaten.com/lyric/iz19042401
生きているから涙が出る。これはある意味この曲の真理ではないだろうか。
幸せを求め歩き、それを手に入れることが出来たとしても、それは過去の悲しみを完璧に癒すことにはなり得ない。素直に心に従い、泣きたくなることだってあるだろう。
しかし、それは決して人生に負けたわけではないのだ。
 
辛いことも悲しいこともすべて抱えて、それでも花は咲き誇る。自分自身の生を全うするのだ。
前項で登場した「泣かないで」という言葉とは裏腹に、流れる涙を肯定してくれるような、そんな優しさを感じさせてくれる。

冬の花 歌詞 「宮本浩次」
https://utaten.com/lyric/iz19042401
決して目立つことは無いかもしれない。何も特別ではない、ありふれた人生なのかもしれない。しかし、彼は厳しい冬に咲き誇ることを選んだ。
もし、生きることを辛いと感じることがあったら、この曲に耳を傾けてほしい。
 
辛いこともたくさんある。嬉しいことも、悲しいことも、すべて受け止めなくてはならない。人生とは、その繰り返しだ。
何も恐れることはない。恥じることもない。無理に涙を隠そうとしなくても良い。
この曲はきっと、そんな不器用で優しいエールを与えてくれるはずだ。
TEXT 島田たま子

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