伊藤千晃、立ち止まりながらも制作したアルバム『Be』で伝えたいコト

伊藤千晃、立ち止まりながらも制作したアルバム『Be』で伝えたいコト

伊藤千晃、立ち止まりながらも制作し
たアルバム『Be』で伝えたいコト

自分に何もないと感じることもある

──よろしくお願いします!
伊藤千晃:お久しぶりです!

──お久しぶりです!アルバムのリリースは9か月ぶりになるんですね。
伊藤千晃:そうですね!そんな経ちましたね。

──前のアルバムから髪の毛がだいぶ短くなりましたけど、最近さらに短くなりました?!
伊藤千晃:どんどん短くなっちゃいますね!でももうストップです(笑)。

──トータルで結構な長さ切ったと思いますけど、勇気いりませんでした?
伊藤千晃:勇気いりましたね!ずっとショートにしたかったんですよ。ただなんか背中を押すきっかけがなくて。
いつもヘアカットをお願いしている方が勢いある方で(笑)、「絶対に似合うから!」っていうふうに言われていて。自分もなんか新しい自分を探している時期でもあったので思い切って切りました。

──ショートも本当にお似合いですね!
伊藤千晃:ありがとうございます。でもすごく気に入ってます、自分で。

──新しい自分を探している時期っておっしゃっていましたけども、そういう意味も込めての今回のアルバムタイトル『Be』になったような。
伊藤千晃:まさしく。

──『Be』はやっぱり「〜になる」みたいな意味が大きい感じで?
伊藤千晃:そうですね、直訳すると「~になる」なので、まさしく言っていただいた通りなんですけど。自分自身もここ1年通して音楽活動をしていくがうえに、どんな自分になりたいんだろうとか、全然見えてないときもあって。

──意外です。
伊藤千晃:みんな「千晃ちゃんっていつも夢あっていいよね。」とか、「自分らしくいれてすごいよね。」って言うけど、そんなことないんです。
私も「自分らしいってなんだろう」って、本当に探していたし。未だに探している部分もあるので、たぶん本当にみんなと変わらないんです。
どんな自分になりたいかって自分自身を見つめてあげることの作業ってすごく大事だから、いったん立ち止まって少しずつ前に進めてきた1年だったんですよね。
そういった意味合いでも、何かになっていく、何かになることに対して探し続けるっていうことの意味合いも込めて『Be』っていうタイトルに。

──伊藤さんもそうなんだって思ったらちょっと心強い気がしましたけど、私なんかは自分自身と向き合ってみると、自分ってなんだろうって思ったときに、何もないことに気づくんですよ。
伊藤千晃:私も何もないですよ!

──いやいやいや(笑)!何もないって気づくのが怖くて、自分と向き合うことを避けてしまうというか。伊藤さんもそういう虚無感というか、1番になれない劣等感みたいなものって感じることってあります?!
伊藤千晃:私も本当に誰かよりも優れているものなんて1つもないので。本当にすごい人いっぱいいるから。そういう時は、自分が本当に大切に思っていることってなんだろうって原点に戻ったりします。
確かに、この業界を14年やらせていただいているので、確かに何もないっていうのは違うかもしれないけれども、もっともっといいものを作って届けたいって思うと、立ち止まって自分に何がしたいのか問い詰めるんです。そこで「ああ、何もできない」って思うことは多々ありますよ。

──なんと...

伊藤千晃:そうやってマイナスに考えることもあるんですけど、やっぱり音楽は自分が好きで始めたことだから、自分がどう楽しくやっていくかって原点に戻ってみると「ちゃんと自分で責任取りなさいよ」ってもう一人の自分がつついてくれる気がします(笑)。

──前アルバム『New Beginning』のときは、まさに等身大の伊藤さんのことを書かれていた印象ですが、『brand new』は等身大と言うよりは、少し先にいる自分からのメッセージのように感じました。
伊藤千晃:そうですね。本当にこれを作る前に立ち止まってしまって、スタッフに対しても「いったんちょっと止めます!」「わかりません!」って自分の行きたい方向とか、やりたい音楽が見えなくなって。
このまま音楽を続けていても、自分の中でこなし仕事になってしまうなと思って、そんな音楽は作りたくなかったので、いったんストップをかけたんです。
まさしく『brand new』はそのあとに見えた自分だったというか、自分のやりたい音楽性や音楽の方向をすごい示せた曲なので、また新しい感じの伊藤千晃が見られるんじゃないのかなと思います。『brand new』が、まさに今自分がやりたいことという感じですね。
brand new 歌詞 「伊藤千晃」
https://utaten.com/lyric/ma19112015
──その”自分がやりたいこと”と言うは音の部分で、っていうのが大きい?
伊藤千晃:そうです。音の部分も歌詞の部分もジャケ写含め、ミュージックビデオもそうなんですけど。

伊藤千晃の2019秋ファッションは?
──今回のビジュアルまわりのこだわりというか、ファッションであったりメイクもそうですけど、そこについても伺っていいですか?
伊藤千晃:ナチュラルな自分を見せていきたいっていう変わらない部分もありつつ、本当に今着たいものを着て、やりたいメイクをやってという素の部分が出てると思います。
私は洋服とかの素材とかも気にしてしまうタイプなので、今回もこだわっています。なので、このディテールとかシルエットとか素材とか質感だったり、色の対比も見てほしいなって、ジャケ写、アー写、そして『brand new』のミュージックビデオとかにも全部共通して言えるところですね。

──今年の秋はこのビジュアルを参考にしたいですね。
伊藤千晃:本当に、私のファンの子、若い方も多いので、細かいところに気づいてほしいんです。
さっきの自分探しの話じゃないけど、自分には何もないって思うんじゃなくて、何か見つけてみようかって思ってもらいたい。その何かって本当に細かい小さなことでもいいからっていう意味でも、私の作品の中の細かいこだわりを発見してくれた時に「もうちょっと物事をよく見てみよう」って思ってもらえるように、そういうメッセージもちょっと入れてはいるんですよね。

──「なんかいいなあ」「なんか好きだな」っていう感覚の「なんか」が何なのかみたいな。
伊藤千晃:そう、何なのかっていうのを、もう1つ踏み込んで考えてみる。それがきっと本当に楽しくなってくるから。
もう本当に可愛いなんていっぱい世の中に溢れているので、どこが可愛いの、何が可愛いの?って1つ見つけてみるのってそんなに難しくないけど楽しいことだと思うので。前向きにみんなにも考えてみてほしいですね。

──そういうところをご自身で発信していける伊藤さん、やっぱりすごいですね。
伊藤千晃:いやいや、もう本当に悩みました(笑)。アルバムを作るのって、こんなに難しかったっけ、って思うくらい。

──一応ファーストアルバムってことになりますもんね、今回。
伊藤千晃:そうですね、本当に。ファーストアルバムはたった1回しかないので。1回立ち止まって作ってよかったなって思います、今は。

──収録曲は新曲含め、これまで配信でリリースされてた曲もたくさん入っていますけど、曲順はリリース順ではないですね。何かこだわりがあって、この曲順にされたんですか?
伊藤千晃:これはスタッフさんと相談して決めさせていただいたんですけど、やっぱりリードとなる『brand new』を最初に持ってきて、「伊藤千晃は今これがやりたいよ」っていう意思表示から、聴きやすい順番に一応落とし込んで行きました。

──耳馴染み、みたいなところを第一に。
伊藤千晃:ちょっと聴いてて気持ちいい感じで。最後はやっぱり明るく終わりたいなっていうので、トラック09なんですけど『Wa・Ta・Shi』っていうものを持ってきて、最後にちょっとボーナストラックとして、『New Beginning』のNew Versionを持ってきてみました。

──『New Beginning』のNew Versionっていうのは?
伊藤千晃:Rearrange Versionという感じで、ちょっとバンドっぽい感じの、力強い曲に生まれ変わっていますね。ほんとに今年はバンドさんと一緒に音楽やらせていただいて、自分の中でもものすごく成長と発見があったので、それを本当に今だからこそ入れられる曲として『New Beginning』をバンドVersionで届けられたらなと思って作ってみました。
New Beginning 歌詞 「伊藤千晃」
https://utaten.com/lyric/ma18083001
いらないものは捨てて心にスペースを。『brand new』
──『brand new』では「思い出が 微笑ましくなるよ」って歌詞にある通り、少し前の自分に贈るメッセージという印象を受けました。
伊藤千晃:そうですね、ちょっと恋愛的な感じにも落とし込んでいるんですけど、恋愛だけじゃなく自分の状況に当てはめて聴いてほしいメッセージです。
自分の気持ちの余裕がなくなれば、そこに新しいものを入れることって不可能なので、自分のこの気持ちをいっぱいいっぱいにしちゃっている余計なものを捨てようよ。っていうところを感じ取っていただけたら嬉しいです。

──伊藤さんが不要なものを断捨離する時って何をきっかけに踏み切れますか?
伊藤千晃:いやあ、私もなかなか捨てられないです(笑)。すぐ捨てられないし、すぐ乗り越えられないし、めちゃくちゃむしろ引きずるし。
でも、やっぱり時間が解決するものって大きくて、何か刺激を受けていくうちに少しずつ消化できることとか、本当にあると思うので、この曲もそういう刺激にというか、”5分前より気持ちが晴れた気がする”って歌になってほしいですね。

──めちゃめちゃわかります。『brand new』で「捨てちゃえば」って言われることによって、捨てるための心の準備を始められるってあるのかもしれない。
伊藤千晃:私も客観的に見てくれる友達とかに「でもあなたに必要ないじゃん?」って言われたときに「待って、私は必要あると思ってたんだけど。」って返したけど、「じゃあ、何が必要あるの?言ってごらんよ。」って言われたときに「えっと・・・」ってなるくらいのものって結局やっぱり必要なかったりしたんです。
例えばそれって自分のこと傷つける”人”だったり”仕事”だったり、人によって様々だと思うけど、「わかるけど 必要ないかもね。」っていうサビの歌詞とか、”でも捨てた分、新しい何かが絶対待ってるからさ。”っていう曲を通してのメッセージで提案をしてあげるような寄り添い方ができたらなって。

──メロディーも生活の邪魔をしない曲調ですね。
伊藤千晃:そうなんです、本当に寄り添う曲にしたくて。本当に何かやりながらでも聴ける曲だからこそ、なんか気づいたときには自分の隣にいてくれていた、みたいな。そういう存在感でいたかったんですよね。

──歌詞に鈴木まなかさんだったり、作詞家の方が入ってらっしゃいますけど、どういうふうにやりとりされたというか、どういう作り方をされたんですか?
伊藤千晃:今回はけっこう新しいかたちで、実際にもうスタジオに入って話し合いながら作詞していきました。「こうじゃない、ああじゃない。」っていうことを、本当に女子会みたいに話し合いながら、いろいろ気持ちを落とし込んでいった感じです。本当にそれこそ、私だけの気持ちじゃなく、まなかさんだったり、かな多さんだったりの気持ちとかも落とし込んだ歌詞になっています。

──『brand new』は伊藤さんプロデュースの新しいブランドのイメージソングってことですね。
伊藤千晃:そうなんですよ。今回、ライフスタイルブランド、『KIKI AND DAYS』というものをプロデュースさせていただいたんですけど。本当にみんなの生活によりそえるアイテムを今いっぱい作っています。
やっぱりファンの子たち、すごく私のファッションとか、ライフスタイルとかにも興味を持ってくれてる方が多いので、そういった方たちとかにまず向けながら、「こういうのあると便利だよね」っていうものを『KIKI AND DAYS』で提案していきたいなっていう。

──伊藤さんの、こうだったらいいな、こういうのがあったらいいな、が詰まってるようなアイテムっていうことで!
伊藤千晃:はい、「私これ好き♡」っていうのが、わかりやすく。(笑)

──この曲のコンセプトというか、音の感じとブランドのコンセプトがめちゃめちゃドンピシャで合っているんですね。「いつもあなたのそばにある、その人の生活によりそうもの」
伊藤千晃:もうこのブランドを立ち上げると同時に、この曲とかも作り始めていたので。そこをちょっと寄り添わせていただきました。

伊藤千晃ピックアップ曲の紹介!
──時間も迫っているので、全曲の中から伊藤さんが1番気に入っている歌詞や楽曲をピックアップしてご紹介頂きたいと思うのが...
伊藤千晃:『brand new』と同じく、自分と向き合いできた曲という意味で『Quiet』です。
『Quiet』はかなり攻めた曲になったとは思うんですよね。アルバム曲ということもあって、今までとはちょっと違った毒づいてるような言い方もしちゃいました。笑 意外と、そういう強く言う自分も全然いるので。

──強い口調になってしまうくらいのテーマが歌われているんですね。
伊藤千晃:本当に情報がいっぱいもう溢れすぎていて、私も含めみんなその情報に振り回されたりするじゃないですか。だから「自分の声を聞きなさい」と。「あふれてるノイズ 一回耳をふさぎなさい」「自分の声を聞きなさい」っていうことを歌った曲になります。

──歌詞のはじめに1番言いたいことを言っているような。
伊藤千晃:いったんちょっと黙ろうか、っていうわかりやすい曲になってます(笑)。
実際、本音って誰も言わないし、結局は自分の声を聞かないと周りに流されちゃうよっていうことで、みんなの声を聞くじゃなくて、いったん黙って自分の声を聞く作業をしてみようかっていう、そんな気持ちを込めた歌です。
Quiet 歌詞 「伊藤千晃」
https://utaten.com/lyric/ma19112016
──その中で「一個人の意見デス」って言ってるのが可愛いです(笑)!
伊藤千晃:少し茶目っ気のあるような言葉も入れながら(笑)。やっぱり今ってすごく、「私の意見はこうだ!」っていうふうに熱量強く言いすぎると受け入れてもらいづらいときがあるので、ちょっとずるいけど、私一人の意見ですっていうふうに。
いろいろこれも深読みしてほしい歌詞ですね。

──そうですね。音の部分もよく聴いて深読みしてほしい。
伊藤千晃:1番最後に「シーっ」って実は入れてるんです。

──是非もう一度よく聴いてみて頂きたいです。伊藤さんの意外な?一面も見られる『Quiet』でした。
伊藤千晃:私との関係もすごい長くなってきたファンの方も多いので、こういうたまに毒づいた千晃もいるよね、っていうのは気づいている人もたくさんいるんですけど、歌で表現したのが初めてで。
そんなノリの強めで少し姉御っぽいところの自分も出てるのかな、と思います。

──ありがとうございました。最後になりますが、今後伊藤さんに会える機会があれば伺いたいです。
伊藤千晃: 今年中は12月25日にファンクラブ限定のクリスマスライブをやらせていただくんですけど、クリスマスとは言えども、本当に1年の締めくくりのライブにもなるので、自分が今回、今年で感じた音楽というものを、ちょっとバンドとして表現できたらいいなと思っています。
あとクリスマスなので、クリスマスらしい演出もいろいろ考えたいと思っているので、楽しみにしていてください。

──最後に、インタビューを見てくださった皆さんに一言お願いします。
伊藤千晃:ファーストアルバム『Be』は、本当に自分もこの音楽の在り方、音楽を楽しむ在り方についてものすごく悩んで、立ち止まって、考えて、次に進むという、本当にいろんな展開を迎えてできたアルバムになるので、今までよりかはさらに深みの出た楽曲たちが集まっています。その辺りも楽しみながら聴いていただけたら嬉しいです。

Text 愛香
Photo 安東佳介 (Senobi)
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