L→R 亀本寛貴(Gu)、松尾レミ(Vo&Gu)

L→R 亀本寛貴(Gu)、松尾レミ(Vo&Gu)

【GLIM SPANKY インタビュー】
生きていく中で何かに怯えていても、
結局は自分で歩いていくしかない

“踊らされるな”というメッセージを
昔からずっと持っている

「Breaking Down Blues」はGLIM SPANKYの王道がさらに広がったような楽曲ですね。ファンの人たちが“来たー!”と思うような。

亀本
ちゃんとそういうところは考えてあって。この前のライヴでやったら、メンズのお客さんのリアクションがすごく良かったから“よしよし”と(笑)。
松尾
この曲は先にイントロの部分があったんですけど、亀本が“こういうのどう?”ってアイディアを出してきて、そこから次を考えていったという感じです。
亀本
中尾憲太郎さんにベースを弾いてもらったんですけど、憲太郎さんのベースって結構歪んでいるから重心が上がりやすいんですよ。ギターみたいに目立ちやすいというか。だから、ギターと同じようにガンガン弾いてもらって、空いているところにエフェクターで変な音を入れてもらいました。ただ、そうなると下がなくなるので、下でシンセベースを鳴らして。そしたらラウド感が増しました。
松尾
あと、これは初めてコーラス隊に入ってもらいました。

ゴスペルライクな。

松尾
はい、ソウルフルな。あのコーラスがキーかなと思ってて。あれがないと今までのGLIM SPANKYの感じになると思うんです。その今までの感じも残しつつ、豪華さをプラスするいいアクセントになったんじゃないかと思います。歌も新しい気持ちで、気持ち良く歌えましたし。

こちらは「ストーリーの先に」と比べると、アイロニカルな面が明確に表れていますね。

松尾
そうですね、特にこれは。Aメロの歌詞はすぐできたんですけど、サビができなかったんですよ。で、亀本に“どんなのがいいかな?”って訊いたら“ぶっ殺す!みたいなことでいいんじゃない?”って言われて、“あー、確かに!”って(笑)。なので、さまざまなものに対してのアンチテーゼが表れています。いろいろな視点から見えることってあるし、とらえ方もあるけど、その本質は何なのかっていうものをちゃんと自分で持っていないとぶれてしまう…ということを常に世間に言いたいんです。“踊らされるな”という想いをずっと昔から持っているので、それを今の気持ちで書いた曲ですね。

《思い出し歌ってくれ 消費できない本物の魂を》という一節がありますけど、本物の魂が込められた曲を届けてくれているのが、まさにGLIM SPANKYだと思います。

松尾
そう言っていただけると嬉しいです。音楽の世界に対しても攻めが足りないというか、もうちょっとヤバい奴がいてもいいんじゃないかと思っているので。

「Tiny Bird」は『LOOKING FOR THE MAGIC Tour 2019 "EXTRA SHOW"』(2019年7月7日@新木場Studio Coast)でストリングスを入れて披露されていましたね。

松尾
これは去年の夏に弾き語りで作ったんですけど、“めっちゃいい曲ができた!”と思ってストックしておいたんです。

MCでも温めていたとおっしゃってましたね。

松尾
はい。そこに歌詞を付けて、サウンドは70年代初期のGeorge Harrisonとかの…それこそバキバキのバンドというよりかは、ストリングスとピアノを使って“開けた空気感”というものを意識して。あまりそういうアレンジはしてこなかったので、そこは挑戦でしたね。
亀本
最初のギターのメロディーは“いいのができたけどどうだろう?”と思って持って行ったら、松尾さんに“ディズニーの映画っぽくない?”って言われて(苦笑)。でも、“それっていいメロディーってことじゃん!”って(笑)。
松尾
歌メロもいいメロディーだけど、どこかにいなたさがあってポップすぎないっていうのが、この曲の肝だと思うんです。この曲を書いた時、親しい友達が東京から離れたり、違う仕事に就いたりとかしたから、そういうのもあって“新しいところへ進むのはめちゃくちゃ怖くて、小鳥のようの震えてしまうけど、でも力強くいくんだよ。今いる場所よりもきっといい場所になるはずだから”というメッセージを込めて歌詞を書きました。

すごく包み込まれるような、見守ってもらえるような印象があったのは、そういう想いが詰まっていたからですね。

松尾
視線的にはそうかもしれないですね。自分も震えていたら“それでいい。怖がりながら進むのは当然のことだよ”と言われたいし。包んでいる、包まれているような感じに思ってもらえたらと思います。
亀本
この曲のサウンド面もギターで埋めないことがポイントですね。あと、ツアー中に買ったVOXの60年代の9弦ギター…1〜3弦だけ12弦状態になっているものを使ってみたらドンピシャで! 音も細いし、高音の弦だけ二重になっているからすっきりしているけど煌びやかで、しかも超レトロみたいな。最新のテクノロジーというよりは、昔からあるような手法の再認識もすごく大事だと思っているので、そういうものを今の自分の創作に落とし込むのは重要なことだし、逆に今はスタイリッシュだとも思います。あとは、ドラムとベースの質感ですね。時代感が一番出るじゃないですか。レトロな音にしつつモダンさをどう上手く出すかっていうことも重視しました。

70年代初期のサウンドというのも、この曲ではアメリカとイギリスの両方が織り込まれていますよね。

松尾
そのイメージです。イギリスっぽいけど、アメリカのカントリーっぽいアコギを弾いたりとか。そういう融合というか多国籍な感じも、ひとつの開けた要素になるのかなって。

取材:竹内美保

シングル「ストーリーの先に」2019年11月20日発売 Virgin Music
    • 【初回限定盤】
    • TYCT-39113
    • ¥1,980(税込)
    • ※ライヴ音源(2019.6.8豊洲PIT)収録
    • 【完全数量限定盤(グッズ付)】
    • TYCT-39112
    • ¥3,960(税込)
    • ※グッズ:松尾レミデザインのボディバッグ
    •  
    • 【通常盤】
    • TYCT-30099
    • ¥1,430(税込)

『Velvet Theater 2019』

11/28(木) 東京・東京キネマ倶楽部
11/29(金) 東京・東京キネマ倶楽部

GLIM SPANKY プロフィール

グリム・スパンキー:⾧野県出身の男女二人組ロックユニット。ハスキーでオンリーワンな松尾レミの歌声と、ブルージーで情感深く鳴らす亀本寛貴のギターが特徴。特に60~70 年代の音楽やファッション、アート等のカルチャーに影響を受けており、それらをルーツに持ちながら唯一無二なサウンドを鳴らしている。2007 年結成、14 年メジャーデビュー。18 年に日本武道館ワンマンライヴを成功させ、同年開催の『FUJI ROCK FESTIVAL』GREEN STAGEに出演。ドラマや映画、アニメなどの主題歌を多数手掛けている。最近ではももいろクローバーZ や上白石萌音、DISH//、野宮真貴、バーチャル・シンガーの花譜など、幅広いジャンルで他アーティストへの楽曲提供も行なっている。GLIM SPANKY オフィシャルHP

「ストーリーの先に」MV

OKMusic編集部

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