【OLDCODEX ライヴレポート】
『OLDCODEX “LADDERLESS”
Tour 2019』
2019年10月17日
at 恵比寿LIQUIDROOM
“やっと俺らのワンマンが始められるよ!
お前ら、頭のネジ吹っ飛ばす準備できてるか!?”
そんなTa_2(Vo)の号令で始まったステージは、待ち焦がれたオーディエンスの想いが煮詰められ、マグマとなって爆発したかのように熱かった。7月末にリリースされた最新アルバム『LADDERLESS』を引っ提げて行われた9カ月振りのワンマンツアー『OLDCODEX “LADDERLESS” Tour 2019』の初日となる舞台は、なんと恵比寿LIQUIDROOM! ホール/アリーナクラスが標準になっている今のOLDCODEXにとって、1,000にも満たないキャパシティーは些少にすぎるものの、それこそが彼らの狙い。初心に帰ってオーディエンスとの親密な空間に立った時、どんな化学反応が起きるのか? “Ta_2とYORKE. (Painter)のふたりさえいれば、どんな音が鳴っていてもいい”という信念に立脚し、全ての枠と固定概念を取り払って制作された『LADDERLESS』を掲げたツアーだからこそ、それを確かめたいというのが彼らの真意なのである。
アルバム収録のアッパーチューンが投下されるなり、まだライヴでは馴染みの薄い新曲にもかかわらず、躊躇なく声と拳をあげて大きくうねるフロアーのさまは、まるでひとつの生き物のよう。特別に持ち込まれたアリーナクラスのスピーカーから放たれる爆音が会場ごと揺らし、ステージの左右にはYORKE.が“LADDERLESS”“OLDCODEX”の文字を刻んだキャンバスが堂々と聳え立つ。さらに既存曲では“ジャンプ!”とTa_2に煽られれば跳び、“踊ってくれ!”と告げられれば凄まじい勢いで手を振り、“歌ってもらおうかな”と言われれば歌詞を歌いながらクラップするオーディエンスの姿が。打てば響くような彼らの反応に、Ta_2は思わず“ヤバっ”と漏らし、YORKE.はペットボトルの水を撒いて感謝の気持ちを表す。これこそ数日後にデビュー10周年を迎える彼らがリスナーと積み重ねてきた信頼と親愛の成果なのだろう。
とはいえ、Ta_2に“俺たち暴れるだけが能じゃない”と言われずとも、OLDCODEXの持ち味がそれだけでないことは周知の事実。“ここから先、なかなか小箱では見せられない景色を見せてやる”と始まったセクションでは、そこまでのラウドロックから打って変わって幻想的な情景を描いて、OLDCODEXだけの“アートロック”を体現してみせた。「falling down」ではYORKE.がキャンバスに走らせる巧みな直線がステンドグラスの宗教画を彷彿させ、エレクトロな色の強い楽曲を厳かに彩ってゆく。また、このツアーのために用意された特別なアレンジもありつつ、“この10年、目を向けてこなかったことに目を向けて、YORKE.に詞を付けてもらいました。自分の体験とも重ねて聴いてくれたら嬉しいです”(Ta_2)と贈られたのは、アルバムのリード曲でもある「Follow the Graph」。美しくも“別れ”の痛みを備えたバラードを全てを飲み込んだ末の清々しさに満ちた声で歌い上げるTa_2のヴォーカルをバックに、白い翼を描いたYORKE.がハシゴに座ってキャンバスに寄り掛かると、ちょうどその背中から翼が生えたようになるミラクルが。あっと驚く光景の出現に満場の拍手が起こり、“これぞ唯一無二のアートロック!”との想いを奇しくもロック色の薄い曲で新たにさせられるのが、何物にも縛られない今のOLDCODEXが持つ面白さに違いない。
一方、Ta_2とYORKE.のツインヴォーカルに大歓声が沸いた「reel」のようにヘヴィなナンバーも満載で、その中には11月20日にリリースされる最新シングル「Take On Fever」も。Ta_2曰く“OLDCODEXの楽曲の中で一番激しい”というナンバーに頭から沸騰するフロアーの熱量は、これが初披露とは信じられないくらい高く、演奏後には“間奏のドラムやばくない? ギターはずっとピロピロ言って、ベースはずっと歌ってます”と興奮気味に語ってくれた。また、“この曲でもう1回始めようって言ったんで。さぁ、精いっぱい叫んでくれ!”と前置かれた「Eyes in chase」では、フロアーに突っ込んだTa_2も喉が裂けんばかりのシャウトを轟かせて10周年の始まりを宣言。さらに、来年4月から今回のツアーでは主要都市を回るZeppツアーを開催することを告知して、“アルバムから始まって、また新しいOLDCODEXを提示していく”というTa_2の言葉を裏付ける。
自分のネガティブな感情を曝け出すことは恥ずかしいことじゃない――。そう気付いたというTa_2がMC中に放った“みんなと飛び跳ねてると勝手にポジティブになる。お前らってすげーな!”というひと言こそ、あえて小規模のライヴハウスを回る今回のツアーの真髄を表していただろう。至近距離で互いに分け与えるパワーとエナジー。ネガティブもポジティブに塗り替えてしまう、そんな強大な力を体感できる貴重な機会は、12月14日&15日の横浜BayHall2デイズまで続く。
お前ら、頭のネジ吹っ飛ばす準備できてるか!?”
そんなTa_2(Vo)の号令で始まったステージは、待ち焦がれたオーディエンスの想いが煮詰められ、マグマとなって爆発したかのように熱かった。7月末にリリースされた最新アルバム『LADDERLESS』を引っ提げて行われた9カ月振りのワンマンツアー『OLDCODEX “LADDERLESS” Tour 2019』の初日となる舞台は、なんと恵比寿LIQUIDROOM! ホール/アリーナクラスが標準になっている今のOLDCODEXにとって、1,000にも満たないキャパシティーは些少にすぎるものの、それこそが彼らの狙い。初心に帰ってオーディエンスとの親密な空間に立った時、どんな化学反応が起きるのか? “Ta_2とYORKE. (Painter)のふたりさえいれば、どんな音が鳴っていてもいい”という信念に立脚し、全ての枠と固定概念を取り払って制作された『LADDERLESS』を掲げたツアーだからこそ、それを確かめたいというのが彼らの真意なのである。
アルバム収録のアッパーチューンが投下されるなり、まだライヴでは馴染みの薄い新曲にもかかわらず、躊躇なく声と拳をあげて大きくうねるフロアーのさまは、まるでひとつの生き物のよう。特別に持ち込まれたアリーナクラスのスピーカーから放たれる爆音が会場ごと揺らし、ステージの左右にはYORKE.が“LADDERLESS”“OLDCODEX”の文字を刻んだキャンバスが堂々と聳え立つ。さらに既存曲では“ジャンプ!”とTa_2に煽られれば跳び、“踊ってくれ!”と告げられれば凄まじい勢いで手を振り、“歌ってもらおうかな”と言われれば歌詞を歌いながらクラップするオーディエンスの姿が。打てば響くような彼らの反応に、Ta_2は思わず“ヤバっ”と漏らし、YORKE.はペットボトルの水を撒いて感謝の気持ちを表す。これこそ数日後にデビュー10周年を迎える彼らがリスナーと積み重ねてきた信頼と親愛の成果なのだろう。
とはいえ、Ta_2に“俺たち暴れるだけが能じゃない”と言われずとも、OLDCODEXの持ち味がそれだけでないことは周知の事実。“ここから先、なかなか小箱では見せられない景色を見せてやる”と始まったセクションでは、そこまでのラウドロックから打って変わって幻想的な情景を描いて、OLDCODEXだけの“アートロック”を体現してみせた。「falling down」ではYORKE.がキャンバスに走らせる巧みな直線がステンドグラスの宗教画を彷彿させ、エレクトロな色の強い楽曲を厳かに彩ってゆく。また、このツアーのために用意された特別なアレンジもありつつ、“この10年、目を向けてこなかったことに目を向けて、YORKE.に詞を付けてもらいました。自分の体験とも重ねて聴いてくれたら嬉しいです”(Ta_2)と贈られたのは、アルバムのリード曲でもある「Follow the Graph」。美しくも“別れ”の痛みを備えたバラードを全てを飲み込んだ末の清々しさに満ちた声で歌い上げるTa_2のヴォーカルをバックに、白い翼を描いたYORKE.がハシゴに座ってキャンバスに寄り掛かると、ちょうどその背中から翼が生えたようになるミラクルが。あっと驚く光景の出現に満場の拍手が起こり、“これぞ唯一無二のアートロック!”との想いを奇しくもロック色の薄い曲で新たにさせられるのが、何物にも縛られない今のOLDCODEXが持つ面白さに違いない。
一方、Ta_2とYORKE.のツインヴォーカルに大歓声が沸いた「reel」のようにヘヴィなナンバーも満載で、その中には11月20日にリリースされる最新シングル「Take On Fever」も。Ta_2曰く“OLDCODEXの楽曲の中で一番激しい”というナンバーに頭から沸騰するフロアーの熱量は、これが初披露とは信じられないくらい高く、演奏後には“間奏のドラムやばくない? ギターはずっとピロピロ言って、ベースはずっと歌ってます”と興奮気味に語ってくれた。また、“この曲でもう1回始めようって言ったんで。さぁ、精いっぱい叫んでくれ!”と前置かれた「Eyes in chase」では、フロアーに突っ込んだTa_2も喉が裂けんばかりのシャウトを轟かせて10周年の始まりを宣言。さらに、来年4月から今回のツアーでは主要都市を回るZeppツアーを開催することを告知して、“アルバムから始まって、また新しいOLDCODEXを提示していく”というTa_2の言葉を裏付ける。
自分のネガティブな感情を曝け出すことは恥ずかしいことじゃない――。そう気付いたというTa_2がMC中に放った“みんなと飛び跳ねてると勝手にポジティブになる。お前らってすげーな!”というひと言こそ、あえて小規模のライヴハウスを回る今回のツアーの真髄を表していただろう。至近距離で互いに分け与えるパワーとエナジー。ネガティブもポジティブに塗り替えてしまう、そんな強大な力を体感できる貴重な機会は、12月14日&15日の横浜BayHall2デイズまで続く。
取材:清水素子