【chay インタビュー】
これからも素直な気持ちを
曲や歌詞にして歌っていきたい
恋だけではなく、
大きな愛を歌えるようになりました
ご自身の恋愛観にも変化があったのでは？
変わってきたと思います。今までは乙女心を書いてきたんですが、今作では“愛”を書いていることが多いんです。恋って瞬発的な高ぶり、ときめき、鼓動が高ぶる感じだと思うのですが、今回は大きく包み込むような愛に変わってきたんじゃないかと。
そうとらえられるようになると、聴いてくれる人たちのとらえ方も変わってくるのかもしれないですね。
そうですよね。さらに、今回はみなさんの耳元で囁いて歌っていると感じてもらえるように、マイクと口がくっ付くらい距離を意識して歌いました。
お話を聞いていると、今作はchayさんにとってターニングポイントになったアルバムなのかもしれないですね。
そうかもしれません。
そして、坂詰美紗子さんが提供をしている「With」も素敵な曲です。
ありがとうございます。この曲はCrystal Kayさんと「あなたの知らない私たち」という楽曲を一緒に歌うにあたり、Crystal Kayさんの曲を改めて聴き直していたら、「恋におちたら」「幸せって。」の2曲が本当に素敵だと思ったんです。そのクレジットを見たら坂詰美紗子さんだったので、お願いさせていただきました。坂詰さんの歌詞は美しい言葉で真っ直ぐなんですよ。私は遠回しな言葉を選んでしまうことがあるので、この素直な歌詞に羨ましささえ感じました。
さらに、このアルバムは武部聡志さんがプロデュースをされていますが、いかがでしたか？
武部さんは本当に愛のある方で、14曲というボリューミーな曲を本当に素晴らしく仕上げてくださったんです。さらに、ピアニストではありますが、他の楽器に関しても全てを熟知されているので、もうディレクションの全てが的確で。迷いなく言い切ってくださるので、私が考え込んだ時はすぐに引っ張ってくださいましたし、本当に信頼できる方です。
ちなみに、chayさんは映画『ダンスウィズミー』に出演もされていますが、これは大きな経験になったのではないでしょうか？
ものすごく大きな経験になりました。5周年まではchayというキャラクターを確立させたくて、どういう人であって、どういうふうに見えていて、どんな曲を歌うという自己プロデュースを徹底していました。だからこそ、ラブソングやガーリーなイメージが付いたと思うのですが、5周年を経て自分自身も29歳になり、もっと人間味を持って、リラックスしてやりたいと思うようになって。そこで、かなり訳ありで激しい役をいただいたので、これは良いタイミングだと思いました。
あれが素顔だと思われたら大変ですね（笑）。
大変！（笑） でも、ここまで振り切った役ができたからこそ、今後はchayらしくないことにも前向きに捉えて、積極的に挑戦していきたいと思っています。
あの作品のオーディションの課題曲が「あなたに恋をしてみました」だということをお聞きしたんですが。
そうなんです。矢口史靖監督が、この曲をラジオで聴いて気に入ってくださったらしいんです。それもあって主演の三吉彩花ちゃんややしろ優さんのオーディションではこの曲が課題だったようで。その時に私が演じた山本洋子の役が決まっていなくて、“この課題曲を歌っている人はどんな人なんだろう？”ということで私に声を掛けていただきました。
そんなことがあるんですね!?
私も驚きました（笑）。そこでオーディションに参加し、“演技はできませんが、歌えます！”と言ってギターで弾き語りをして、この役が決まりました。
まさに曲がつないでくれた役だったんですね。それにしても、劇中ではかなり叫んでいましたが、普段の性格と違うからこそ、苦労することも多かったのではないでしょうか？
本読みをした時に、いざ“叫んで”と言われても叫ぶことってなかなかできなくて。そこで監督が“叫びレッスン”を開いてくださいました。スタッフさんと5、6人で集まって、真夏だったこともあって“冷やし中華食べたい！”とか“暑いんだよ！”とか叫んで、その流れで私が台詞を叫ぶという独特の特訓で（笑）。その練習のおかげで、すっかり叫べるようになりました。
あはは。素敵な経験ができたんですね。それにしてもボリューミーなアルバムになりましたね。
はい。これからも、その時に感じた想いを素直に曲に乗せて、歌い続けていきたいと思っています。
取材：吉田可奈
