【chay インタビュー】
これからも素直な気持ちを
曲や歌詞にして歌っていきたい
愛らしいビジュアルとキュートな歌で聴く人を魅了してきたchay。そのイメージを今作『Lavender』では一新! 不安や葛藤などネガティブな部分にフィーチャーした等身大のアルバムとなった。そんな今作について彼女が抱く、素直な気持ちを語ってもらった。
20代後半の不安や葛藤が
テーマになったアルバム
前作から2年5カ月振りとなるんですね。
私もそこまで期間が空いていると思っていなかったので、すごくびっくりしました。ただ、今作に向けて制作を始めたのが一昨年の夏くらいだったので、じっくりと時間を掛けて作ることができたんです。
どういうアルバムを作りたいというビジョンがあったのでしょうか?
そういう想いは特になく、今、自分が思っていることを書いていったんです。過去にリリースした2枚のアルバムもバラエティー豊かな作品になっているのですが、今回も例にもれず、バラエティー豊かなアルバムとなりました。ただ、前作以降の曲や、届けたかった曲を並べていると、書いている内容が20代後半に訪れる漠然とした不安や焦り、迷いなどが描かれているものばかりだったんです。その共通点を見付けた時、“今の私はこういうことが書きたかったんだ”ということが明白になって。その瞬間に、不安や葛藤をテーマにしたアルバムにしようと決めました。ただ、“アイデンティティークライシス”的なシリアスでネガティブなタイトルにはしたくなかったので、chayらしい言葉で表現したいと思い、花言葉に“期待、疑い、繊細、沈黙、優美、許しあう愛”などの意味を持つ“Lavender”というタイトルを付けました。
自分を曝け出したら、今の作品ができたんですね。
はい。いつも曲作りをする際に、その時に感じた気持ちを素直に書くことを大事にしているんです。だから、昔の曲を聴くと“こんなことを思っていたの!?”と笑っちゃうこともあって(笑)。でも、だからこそ今作も等身大の自分が詰まった一枚になりました。
その1曲目となる「伝えたいこと」はタイトル通り、真っ直ぐな曲ですよね。
この曲は、家族や親、兄弟、ペット、友達、彼氏彼女など、大切な人との当たり前だと思っていた時間は、明日にはなくなってしまうかもしれないということ、“自分の気持ちは伝えないと伝わらないんだよ”という想いを込めました。聴いてくれる方たち、それぞれの大切な人に重ね合わせながら聴いてもらえたら嬉しいです。
どの曲も葛藤や不安がありながらも、ポジティブに終わらせているところにchayさんらしさを感じました。
ありがとうございます。それは私がずっと大事にしていることなので、この作品でもそう感じてもらえたなら嬉しいです。
4曲目の「砂漠の花」は松尾 潔さんと川口大輔さんのタッグで作られた曲なんですね。
私はこのおふたりが作る曲が大好きなので、いつかご一緒したいなと思っていたんです。この曲は私の念願が叶った大切な曲となりました。“おふたりに書いていただけるのであれば、今までのchayとは違う、らしくないものを書いてほしい”とお願いして書いてもらって。実際に出来上がった曲はとても艶っぽく、いい意味で裏切るような曲だったので、“さすがだ”と思いました。
歌い方も変化していますよね。
はい。自分で書く曲はサビで張り上げて歌うことが多かったんですが、この曲はAメロ、Bメロ、サビの高低差がないにもかかわらず、ものすごくキャッチーで印象的だったんです。さらに、これまでの私の癖である“吐息交じりに歌うことをやめてほしい”というリクエストをいただいたので、文章の切れ目をはっきりと歌ってみたら、今までとまったく違うテイストの曲に仕上がりました。あと、《ときめくだけならば それは恋 砂漠の花 愛とは許すこと》という、今の年齢じゃなかったら歌えないような大人のラブソングになっているんです。
確かに、大人ですよね。さらにchayさんには“かわいらしい”というイメージがあるからこそ、良い意味で挑戦だったと思うんです。
そうですね。今まで“恋”というテーマでたくさんの曲を歌ってきましたが、それを覆してくれるような楽曲だったので衝撃を受けました。