神使轟く、激情の如く。 むき出しの
感情をまっすぐに聴き手に突きつける
、アイドルの固定概念にとらわれない
唯一無二のパフォーマンスで魅了した
2周年ライブ

神激2周年ー神時代到来~God make nova~

2019.9.30 ZEPP DiverCity TOKYO
“アイドルグループ”なのに、どこまでも熱血で、人間臭くて、痛々しいまでに生々しくて。どうして彼女たちはステージでここまで自分の感情を、生き様を全身全霊で剥き出しにしてぶつかってくるのか。その溢れ出す“生きる”パワーこそが、彼女たちのライブの魅力だった。
神使轟く、激情の如く。(読み:しんしとどろく、げきじょうのごとく。以下、神激)がステージデビュー2周年にあたる9月30日、ZEPP DiverCity TOKYOにてワンマンライブ『神激2周年ー神時代到来~God make nova~』を開催した。“アイドル業界に革命をもたらす為舞い降りた、神に使わされし楽曲派ミクスチャーロックアイドル”をコンセプトに活動してきた神激。ここ最近の大躍進ぶりを示すように、この日のチケットは見事ソールドアウト。開演時間ジャスト、二日よいこが1人フロントに飛び出し、軽快なフロウでビートオン。ラップするアイドルのなかでも、よいこのスキルは群を抜いたカッコよさを誇る。そこから「残響カタストロフィ」を叩きつけるというアーティスティックな幕開けに衝撃が走る。
“さあ準備はOK!”とフロアのやる気を確認したあとは「風Zing!雷Zing!」でTiNAの合図の元、広い場内を左右に移動して全員一丸となってジャンプ。クラップにラップ、ブレイクダウンに和メロが出てきたかと思えばアイドルらしい推しのコールなど、1曲のなかに様々な要素がぎゅうぎゅうにつまっているこのトリッキーな雑食性こそが、神激のミクスチャーサウンド。情報量の多い曲展開、さらにはライブではマニピュレーターが音を操作し、シームレスに次の曲がつながっていくので、楽曲のスリリングさはさらに倍増する。その曲のつなぎで、(アイドルらしい全員でのわちゃわちゃトークや自己紹介はなく)メンバー一人ひとりが前に出てきて、自分のことを熱く語るエモいMCがさらにライブを盛り上げる。
「仕事、学校、バイト、日頃のストレスみんなやるやろ? 神激が全部吹き飛ばしてやるから」。三笠エヴァが男前なMCでフロアを煽り「自己都合主義メタモルフォーゼ」はメンバーと神者(神激ファンの呼称)が“神激万歳、神激万歳”と振りを揃えて叫び、全員でツーステップを踊ったあとは、妖精かなめがとびきりのデスボで雄叫びをあげる。“魂燃やす覚悟がある奴だけ拳を上げろ! 回せ~”を合図に、フロアは“オッオッオー”と大声でシンガロングしながらタオルとサイリウムを激しく振って、対等な熱量で応える。お互い、ペース配分を考慮しない飛ばしっぷりで、序盤から場内はまるでロックフェスのような熱狂ぶり。
神使轟く、激情の如く。
実久里ことのとTiNAのダンスバトルや組体操までとりこんだ「G.O.D」の“アテナ、ゼウス~”という神激オリジナルのミックスや、“へっくしゅん!”やパンミックスが癖になる「さよならネガティブ」の曲中に展開する寸劇パートなどではメンバーの可愛さが炸裂。やはり、彼女たちのロックやアイドルの固定概念にとらわれないパフォーマンスは唯一無二。
その姿を叩きつけたあと、生牡蛎いもこが「私たちが譲れないもの。それは唯一無二ってこと」と語り始める。2年前にステージに立ったとき、アイドルがツーステップをしたりフロアに降りてサークルを作ったりどんどん転調してテンポチェンジしていく曲を歌うことをバカにされたことを振り返り「だけどね、最近神激みたいなグループが増えてきたと思いませんか? 私はどんどん真似してもらって構わないと思ってる。私たちはその1歩も2歩も先をいって、神激という新ジャンルを見せていくから」と宣言。そして「これからもステージで輝いていくから、あんたたちもここから自分のステージに戻ったとき、輝き続けなよ。あんたたちの背中押せる曲、ずっと歌い続けるからさ」と叫んだところから、過去の弱い自分に戦いを挑む「宣戦布告」を投下。このむき出しの感情をまっすぐに聴き手に突きつけ、心揺さぶる胸アツな曲を繰り出す展開こそが神激の真骨頂。フロアにはサークルモッシュがうまれ、観客のテンションはいっきに爆発。
4カ月前までは普通の女の子だったよいこが、さらにそこに拍車をかける。やりたいことはなんとなくあるけど何をしていいのか分からなかったやるせない日常。神激のライブでいもこのMCを聞いて、一歩を踏み出す決心をしたことを振り返り「足元に1本線を引けばいつだってそこがスタートライン。大丈夫。こんな私にだってできたんだから」と自分のリアルな行動を伝えたところから始まったのは「瞬間成仏NEXTYOU→」だった。ここでは、いもこがエモーショナルな歌でみんなの心に熱いエールを届ける。アカペラのサビ歌始まりにアレンジを変えて始まったせつなロックチューン「喪失のカタルシス」では、ことの歌声が観客の胸を締め付けていった。そのことのがマイクを握り、まずはこの景色は当たり前のことではなく、みんながこうして足を運んでくれたからできたことだと感謝を伝える。そして「いつか生まれ変わったらなんて夢見事は私は絶対にいいたくない。いま見たい! いましたい! いまやりたい! このステージでどこまでじゃいどこまでも生きていく」と凜とした姿で全身全霊を注いでメッセージしていったシーンは圧巻で、めちゃめちゃこみ上げてくるものがあった。
場内が感きわまるなか「STAGE」が始まると感動はマックスに高まり、彼女達は過去最高、最高潮のレベルのパフォーマンスを繰り出してみせた。そうして、バッキバキのEDMナンバー「革命前夜ーAwakeEve-」ではミラーボールが回る中、みんなでランニングマンダンスを踊り狂ったところで、涙染あまねがマイクを握る。「ステージに立つと、フロアはすげー綺麗なんだ。けど、この瞬間は永遠には続かない。だからこそ、いまを好きに生きたい」というMCから見事に「夏声蝉時雨」につないでみせ“いま、生きてる!”ということを実感させ、感動的な特別な瞬間として記憶に刻みつけていった。そうして、彼女たちが本編の最後に用意していたのは新曲「不器用HERO」だった。いもこが冒頭からオーディエンスのシンガロングを誘い、ステージとフロアが声で一つに溶け合っていったところで本編は終了した。
“しーんげき”のコールを受け、再びステージに戻っきた7人。ことのが次にやる新曲「Supernova」は全員で作詞したことを打ち明ける。そうして「私たちはまだ世界から見たら無名の星。だけどね、あなたたちはこんな名前のない星を選んでくれた。まだ名前のない星だけど、次のワンマン、豊洲PITでやります!」と告げると、フロアは大興奮に包まれ、狂乱状態に。そうして新曲「Supernova」が始まった。曲中、メンバーがセンターに集まり、7人が肩を組んで歌い出すと、フロアのオーディエンスも自然と横の人と肩を組み、メンバーと同じように体を左右に揺らしていったところは、この2年間、メンバーと神者が培ってきた人間的な絆を表しているようで、場内にはなんともいえないハートウォーミングな空気が広がっていった。
神使轟く、激情の如く。
ラストは三笠の「神者、かかってこいよー」という煽りから再び「自己都合主義メタモルフォーゼ」でぶち上がり、フリースタイルゾーンでは怒涛の盛り上がりで遊びまくって、この日のライブはフィニッシュ。歌い終わった直後、神からの指令を受け取ったということのからは、冬から春にかけて5種類のツアーを行なうこと。また、10月から「不器用HERO」、「Supernova」、「神奏曲テンペスト」を3カ月連続でリリースし、2020年2月には6曲入りミニアルバム『RAGNAROCK』を発売すること。さらに、2020年に豊洲PITでワンマンライブ『神時代覚醒-GOD AWAKE WORLD-』を行うことが告げられた。
締めの挨拶では「今日という日を忘れません」(よいこ)、「神激はまだまだ止まりません」(TiNA)、「次は豊洲PIT、一緒に満員にしよう」(三笠)、「今日来てくれたすべての人に、ありがとうございます」(かなめ)、「みんなの光が私たちを輝かせてくれました」(あまね)、「今日、私は生まれて来てよかったなと思いました。これからはみんなの生きる糧になりたいと思う」(いもこ)とそれぞれが告げたあと、「このZEPPワンマンを発表したとき、私はZEPPに立った人じゃなくZEPPを成功させたリーダーになるといいました。次は、豊洲PITを成功させたリーダーになります!!」(ことの)という宣言を残し、彼女たちはステージを後にした。
神時代、到来――。こんなにライブでぶち上がれて、アツくなれて、いまを生きてることを実感させてくれるアイドルがいることを、その目で確認して欲しいと思う。
取材・文=東條祥恵

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