日本音コン ピアノ部門最年少優勝者
・吉見友貴にインタビュー 初の本格
リサイタルは「19歳の”今”だからで
きることを」

2017年、高校2年生で日本音楽コンクール ピアノ門 第1位に入賞し、最年少優勝を果たした逸材・吉見友貴。2000年に生まれ、5歳からピアノを始めたという吉見は現在、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースに在籍している。2019年9月10日(火)、サウンドスタジオノア野方店で、ピアニスト・吉見友貴のスタジオ・ライヴがあり、その後、話をきくことができた。
ライヴでは、ラヴェルのラ・ヴァルスを演奏。俊敏で運動性に満ちた迫力とともに洗練された表現を披露した。2019年11月24日(日)、吉見はトッパンホールで初めての本格的なリサイタルをひらく。
吉見友貴
ーープロフィールで、5歳でピアノを始めたと読みましたが、ピアノを始めたきっかけは何でしたか?
生まれは東京なのですが、2歳から小学校6年生まで広島で育ちました。ピアノを始めたきっかけは、正直言ってあまりよく覚えてないのですが、5歳のときに友だちの家に行ったときにたまたまピアノが置いてあって、それを見て、「ピアノをやりたい」と言ったそうなのです。それで町のピアノの先生に習うようになりました。小学校2年生のとき、「どうせやるなら、本格的にやった方がいいんじゃない?」と母が言ってくれて、広島の住んでいた家の近くに桐朋学園の子供のための音楽教室の分室があったので、そこに通い始めました。練習は嫌いでしたが(笑)、小さい頃からクラシック音楽は大好きでした。ショパンが大好きでしたね。
ーーピアニストになりたいと思ったのはいつ頃からですか?
最初からピアニスト以外は考えてなかったですね。ほかに何がやりたいというのはなかったです。
ーー中学生になって、東京に暮らすようになったのは、ピアノの勉強のためですか?
そうです。もともと高校から桐朋学園に行きたいと思っていたのですが、小学校6年生のときに出場したコンクールで良い成績をとることができ、広島の先生に「どうせ(東京に)行くなら、早い方がいいんじゃない?」とアドバイスいただいたんです。それで、中学校に上がると同時に東京に引っ越しました。普通の中学校に行きながら、桐朋学園大学音楽学部附属の「子供のための音楽教室」に通っていました。

吉見友貴

ーー高校2年生のときに日本音楽コンクールで優勝されましたね。
年齢制限(※ピアノ部門の参加規定は満17歳以上29歳以下)ぎりぎりでした。5月生まれなので高校2年生で受けられました。ファイナルでは、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を弾きました。オーケストラと共演するのはそのときが初めてでしたが、緊張もまったくせず、すごく楽しかったです。
ーー11月24日(日)のリサイタルはデビュー・リサイタルといえますか?
そうですね、本格的なホールでは初めてのリサイタルです。
ーープログラムはどのように決めましたか?
自分が勉強してきた作品、好きでやりたかった作品、そして、ホールの響きを加味して、どういう作品がきれいに響くかなどを考えて、選びました。
吉見友貴
ーー最初は、ベルクのピアノ・ソナタですね。
一番聴いてほしい作品です。みなさん、あまりご存じじゃないかもしれませんが、知ってもらえたらいいなと思っています。ベルクのソナタには、ベートーヴェンに通じるものを感じます。難解と思われるかもしれませんが、理解しようと思って聴いていただくのではなく、リラックスして純粋に楽しんでいただきたいですね。
ーーベートーヴェンのピアノ・ソナタ第30番は、巨匠の晩年の作品ですね。
19歳で弾くのは早い気もしますが、大人になってから勉強するのと、今のうちから勉強して深めていくのとは全然違うと思い、取り上げることにしました。おそらく、若々しいベートーヴェンになると思います。自分が曲の「本質」と感じる部分は年齢ととも変わっていくでしょうから、合っている・間違っているではなくて、今、19歳だからこそできる、ベートーヴェンの後期のソナタの演奏をお届けしたいと思います。
吉見友貴
ーーラヴェルのラ・ヴァルスは先ほども聴かせていただきました。
ラ・ヴァルスはもう何十回も弾いています。桐朋の高校に入ってから、一番取り組んできたのがラヴェルで、ラ・ヴァルスはその集大成です。日本音楽コンクールでも弾きました。名刺代わりになるような曲として選びました。
ーーリサイタルの後半は、ショパンの作品ですね。
バルカローレは長い期間勉強してきた曲です。演奏の難しい曲ですが大好きです。ピアノ・ソナタ第3番は大ソナタで、ショパンにしては珍しいほどの構築美が感じられます。ソナタ形式の第1楽章、スケルツォの第2楽章、緩徐楽章、そして華やかなフィナーレという構築美、そして、メロディックで抒情的な部分に惹かれます。
ーー今回のリサイタルについて、メッセージをいただけますか?
一番、今の自分をよく伝えられるプログラムです。ちょっと渋めかなとは思いますが(笑)。自分の音楽をみなさまにお届けしたいと思います。
吉見友貴
ーー最後に、将来はどういうピアニストになりたいですか?
本当に、今まで音楽が好きだということだけで、演奏してきました。音楽について勉強するのも楽しいし、演奏するのも楽しい。このまま勉強していきたいなと思っています。
取材・文=山田治生 撮影=池上夢貢

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