オレは発信をやめない。名曲から感じとれる横山健の覚悟

オレは発信をやめない。名曲から感じとれる横山健の覚悟

オレは発信をやめない。名曲から感じ
とれる横山健の覚悟

カリスマギタリスト横山健
Hi-STANDARD(ハイスタ)のギタリストとして日本のパンクシーンを牽引。
そして、いつの時代でも”新たな道”を作り続けてきた男。
それが横山健だ。
彼が所属していたハイスタの勢いが凄まじかった90年代前半。
エッジの効いたサウンドで世の中を虜にし、パンクブームを巻き起こした。
しかし、現在ではパンクロックを始める人さえ減少している。
当時に比べその勢いは衰退しているようにも見受けられる。
横山健自身も当時ほどの影響力がなくなってきたと感じているのだろう。
そして、影響力が少なくなった今でも、彼はずっと音楽を作り、その中に熱いメッセージを送り続けているのだ。
今回はその熱い想いが詰まったKen Yokoyamaの楽曲をご紹介しよう。
今の自らの状況とメディアを重ねた名曲

彼の代表的な楽曲である「I Won't Turn Off My Radio」では、そんな自身の現状を、TVやインターネットの普及により“時代遅れのメディアとなってしまったラジオ”と重ね合わせて表現した歌詞が特徴的である。
“当時ほどの影響力はないかもしれない。だが、それでも誰かに届くのなら、俺は発信することをやめない。”
そんな強いメッセージが感じ取れる。
音楽シーンはもちろん、自身を取り巻く環境も大きく変わってしまった現代において、新たな挑戦に挑む横山健の熱い想いが詰まった歌詞を一度読んでみて欲しい。
過去の栄光にとらわれず、現状を受け入れることで前に進む
I Won't Turn Off My Radio 歌詞 「Ken Yokoyama」
https://utaten.com/lyric/sa16070439
【対訳】
なぁ見ろよ オレ達ずいぶんボロボロになったな
かなり遠くまで来たもんな
いつまでも人に必要とされるのは 難しいよな
MTVに殴られ
インターネットに背中を刺され
お前はすっかり 時代遅れのアイコン
ギタリストとしてカリスマ的な人気を誇り、現在の音楽フェスブームの原型ともいえる“AIR JAM”の開催なども含め、さまざまな形で音楽シーンを牽引し続けた90年代。
あれから約20年の月日が経ち、現在の音楽ヒットチャートには、アイドルソングやダンスユニットの楽曲など、様々なジャンルの楽曲がランキングを賑わせている。
一方でパンクはHi-STANDARDに強く影響を受け、彼らに憧れを抱いているバンドマンたちが多く活躍し、こちらも盛り上がりだしている。
しかし、Hi-STANDARDが第一線で活躍していた当時の一大ブームと照らし合わせてみると、かつて程の勢いが無い。ただ、面白いことにそんな現状を受け入れて、横山健は自分自身の存在を“時代遅れのアイコン”と揶揄までしているのだ。
このまま廃れていくのか。もう使命はないのか。
I Won't Turn Off My Radio 歌詞 「Ken Yokoyama」
https://utaten.com/lyric/sa16070439
【対訳】
それでもオレにはまだ聞こえる
お前のかすかな電波
当たり前だが、パンクは完全に死んだわけではない。
そして、Ken Yokoyamaのサウンドを求める声は今でも多い。
その証拠に、近年ではパンクブーム当時のライブキッズだった少年少女たちが、歳を重ね、結婚や子育てを経て子どもを連れてライブハウスに帰ってくるという光景が生まれている。
時代を超え、世代を超え、横山健を求める声は絶えず今でもひそかに熱く上がり続けているのだ。
そして、その声は横山健にも確実に届いている。
だから、オレは発信することをやめない。
I Won't Turn Off My Radio 歌詞 「Ken Yokoyama」
https://utaten.com/lyric/sa16070439
【対訳】
暗闇を突き破って
誰かの想いを 光を オレに届けてくれ
オレはラジオを切らないよ
時空を切り裂いて
この退屈し切った男を 時には笑わせて 時には泣かせてくれ
オレはラジオを切らないよ
俺は発信をやめない。
どんなにパンクシーンが衰退しても、たとえ時代遅れの存在になってしまったとしても、そこに求める声がわずかでもあるのなら、俺はパンクを鳴らし続ける。そんな確固たる熱い決意を感じられる。
事実として、「I Won't Turn Off My Radio」リリース後、その歌詞の意味を証明するかのように、横山健の活動は加速を増した。
自身の所属するKen Yokoyamaとしてのバンド活動では、今まであえて出演をしてこなかった地上波のテレビ放送に積極的に出演。
これは、ファンの間ではかなり大きな話題となった。
もちろん、これは自身のプロモーションのためだけのものではない。

今まで自身がこだわってきた考えを捨て、あえて地上波のテレビ番組に出演することで音楽シーンが変わることを望んだのだ。
CDが売れなくなってしまった今。
パンクシーンがより飛躍するために何ができるのか。
次の世代のバンドマンたちがもっと活躍できるような音楽シーンにするためにはどうすればいいのか。
その問題に自分自身が一役変えるのなら…。例え客寄せパンダになったとしてもいい。
できることは何でもやってやる。
それほどまでに強い覚悟を感じるアクションだ。
これらの行動が、今後活躍していく後輩バンドと音楽シーンをつなげる架け橋として、大きな役割を担っている。
現にKen Yokoyamaの地上波テレビ番組の出演をきっかけに、多くのバンドが音楽番組に出る機会が増えた。
パンクが再び多くの人に認知されることにも繋がった。
横山健の行動が、90年代と同様に、現代においても“新たな道”を作ったのだ。
とはいえ、横山健自身も主役の座を譲るつもりはさらさらない。
まだまだやってやるぞという動きがあったのだ。
自身のバンドであるKen Yokoyamaと、Hi-STANDARDのベースボーカル難波章弘が率いるNAMBA69とのスプリットCDをリリース。
さらには、不定期的ではあるものの、Hi-STANDARDとしての活動も精力的に続いている。
その進化は年齢を重ねても、とどまるところを知らない。
90年代Hi-STANDARDのギターヒーローとして輝きを放っていた横山健。
彼を求める声があるか限りこれからもその輝きは消えることなく、いつもまでもギターヒーローとして我々のもとに君臨し続けてくれることだろう。
TEXT みなみかわ

UtaTen

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