【速レポ】<中津川ソーラー>打首獄
門同好会、「収穫の時期を迎えたので
あります!」

打首獄門同好会、日の当たるところに出ることが、なぜか多くなってきました。本当に、いいだんろうか、と本人たちも悩んでいます(笑)」
大澤敦史(Vo, G)が苦笑いしながら言った通り、お茶の間にも進出し始めた話題のバンドを、この機会にと思った観客も多かったんじゃないだろうか。そして、打首獄門同好会の3人(+VJ)は、突然、降り始めた雨にも負けず、REDEMPTION STAGEをぎっしりと埋めた観客を存分に楽しませたのだった。
昨年は初参戦にもかかわらず、いきなりREDEMPTION STAGEのトリを任され、若干、戸惑いもあったようだが、今年は同じステージの2番手だ。しかも午後イチというなんとも絶妙な時間ということもあって、かえって彼らも伸び伸びとやりたい放題できたようだ。

「お昼ご飯食べた人? 小腹がすいたんじゃないの? おやつ欲しいんじゃないの? こんなところで、おやつが手に入ると思ってるの? それが入るんだな。自分の分だけ取って、袋を回す。受け取ってください」──大澤

とサウンドチェックの最中に観客に、うまい棒を配ると、観客が期待した通り、ライヴは「デリシャスティック」で始まった。
大澤、junko(B, Vo)、河本あす香(Dr, Vo)の3人で奏でるテクニカルなプレイに乗せ、うまい棒の味のバリエーションをただただ歌うラウドロック・ナンバー。そこに意味はあるのか? たぶん、言葉以上の意味はない。だからこそ、観客は何も考えず、無心になって手にしたうまい棒を振りながらヘッドバンギングできる。
そして、「おやつを食べた人は歯を磨くこと!」(大澤)とつなげたのが口内健康促進を訴える「歯痛くて」。日本を代表する2つのチョコレート菓子の歴史を、戦記風に歌って、ウォール・オブ・デスからモッシュと観客を暴れさせた「きのこたけのこ戦争」。「肌寒いかもと思ったけど、若干暑いね。悩んだけど、夏とみなします!」という大澤のMCに観客が「おお~っ」と沸いた「なつのうた」といったおなじみの曲ばかりなんだから盛り上がらないわけがない。

前述したとおり、この日、彼らのライヴは初めてだったという人も少なくなかったと想像するが、たとえ、いたとしてもVJがLEDディスプレイに歌詞や歌詞を視覚化したアニメを映し出すから全然、大丈夫。置いてけぼりにされることはない。そもそも、生活密着型ラウドロックと掲げている打首獄門同好会の歌は、日本人なら誰でも“そうそう” “あるある”と頷けるものばかりだ。
その真骨頂とも言える「島国DNA」で「魚(ウオ)!魚(ウオ)!」と観客とともに声を上げると、「残り2曲! まだまだ踊れますでしょうか? 踊っていただきましょうか!」(大澤)と「おどるポンポコリン」をメタルアレンジで披露。国民的アニメのエンディングテーマでモッシュ、サークルピット、ダイヴが起きるというある意味、シュールな景色を作り上げたところで、ふと空を見上げると、いつの間にか雨は止み、陽の光がうっすらと射している。

「太陽は電気という形だけで、我々に恵みをもたらすわけではありません!」

天は打首獄門同会に味方したようだ。大澤がそう語りかけると、観客が待ってましたとばかりに「おぉ!」と声を上げる。

大澤「2019年、日本はお米の収穫の時期を迎えたのであります!」
観客「おぉ!」
大澤「大豊作を祈らずにいられましょうか。ご唱和ください。日本の米は!」
観客「世界一!」
あたりまえのことを言っているだけなのに、この盛り上がりは何だろう? 日本人のDNAに訴えているのか、ただ大声で発すると楽しい言葉を選んでいるだけなのか? ともあれ、そこに打首獄門同会の底力を見た気がした。

「日本の米は!」「世界一!」というシンガロングが空を覆う雲をかき消すように響きわたったのだった。

取材・文◎山口智男
撮影◎柴田恵理

【打首獄門同好会 セットリスト】

1. デリシャスティック
2. こどものねごと
3. きのこたけのこ戦争
4. 布団の中から出たくない
5. 猫の惑星
6. はたらきたくない
7. Shake it up ʼnʼ go 〜シャキッと!コーンのうた〜
8. 島国DNA
9. おどるポンポコリン
10. 日本の米は世界一


■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>

9月28日(土) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
9月29日(日) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ

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