((( O ))) / Nature’s Joint 息を潜
めていた逸材がついにデビュー! FK
Jにフィーチャーされ注目を集めた、
瑞々しいR&Bシンガーの開花を迎えよ
う
拠点は今も変わらずフィリピンのようだが(出身地はテキサス州ダラス)、2011年から15年頃まで彼女は本名名義で活動していた。当時の楽曲の中でも、フランスの名プロデューサー・FKJが リミックス(https://soundcloud.com/rochemusique/june-marieezy-fly-fkj-remix) を手がけた 「Fly」(https://m.youtube.com/watch?v=17KxHwtwl7Y) は特に話題を呼ぶこととなる。その2年後には、今や彼の代表曲のひとつとなった 「Vibin’ Out with ((( O )))」(https://youtu.be/9Gq9N-sPdYg) へ参加を果たしている。
今回の作品は、あらゆる演奏からミックス、マスタリング、ひいてはMVの撮影・編集までひとりで行われたもの。才能のひと言で済まされない情熱と努力が窺えるだろう。まったく素晴らしいアーティスト精神だ。今後も毎月1曲=1年分の12曲をまとめてアルバムとしてリリースするとされており、この構想は こちらのサイト(http://thesundropgarden.com/sundrop-series) によると2030年の『((( 12 )))』まで続いている。
中ごろに差し掛かると、予期せぬポップなメロディが流れ出す。すると楽曲は、見る見るうちに瑞々しいサウンドで満ちてゆく。それは、ぱっ……ぱっ……ぱっと次々に花開く睡蓮をイメージさせ、先ほどまでのひっそりした様子はどこに消え――その視覚イメージは鮮やかながらも柔らかで、Sudan Archivesとの共鳴を感じさせる。彼女も先日シングル作品をリリースしたばかり。
ただ、そもそも本楽曲をR&Bとするのは適切なのか、エクスペリメンタル・ポップじゃないのかと言うこともできる。しかし、だからこそこうした曖昧な音楽は、ジャンルによる区分が意味を成さなくなりつつある実情のシンボルなのであり、そして世のテキストからあらゆる比喩・形容表現が削ぎ落とされてゆく現況に対するアンチテーゼにもなり得ると信じている。たったひと言では表すことができないのだから。
ちなみに、彼女の SNSアカウント(https://twitter.com/thesundropgardn) から判断するに、“The Sundrop Garden”と呼んでもいいかもしれない(DJのAnnie MacはBBC Radio 1の自身の番組内で、本名で呼ぶことにすると発言していたが)。
【リリース情報】
((( O ))) 『((( 1 )))』
Label:AWAL
Tracklist:
1. Infinintro
2. Yuyu
3. Nature’s Joint
4. Shuh Shuh
5. Une Verse
6. Come Home, O’Shawn
7. Diwata
8. Needyunow
9. One, Two
10. Je Suis Infini
11. Creation
12. Remember
Spincoaster
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