千葉の奥地に新たなカルチャー。 GR
OOVE TUBE FESとは

東京から1時間半。千葉の奥地へ

ゴールデンウィーク後なのにも関わらず、人でごった返す東京駅からバスで1時間半。以前このグルーヴチューブ・フェス(GROOVE TUBE FES)に来た時は、横浜から鈍行電車でバスを乗り継ぎ3時間以上かけて行ったので、東京からだとこんなにも近かったのかと思いながら、バスの外を眺める。3年前に訪れた千葉の屋形海岸は、本当に海だけがある場所で、こんなところでよく音楽フェスをやろうなんて決めたなと思ったものだ。しかも、無料で。これまでの出演アーティストを見ても、曽我部恵一カジヒデキなどの音楽シーンの一時代を築いてきたアーティストから、NOT WONKThe Wisely Brothersなどの注目の若手バンドまで実に幅の広いラインナップ。全国のどこへ行っても彼らを無料で観られることなどそうないだろう。そしてこのグルーヴチューブ・フェスは今年で6年目を迎える。この6年間、 “千葉の奥地で”そして“無料で”行われているこのフェスは、一体どのようにして現在の形になり、そしてこの街の新たなカルチャーとして根付き始めているのだろうか。

Edit_Fumika Ogura

グルーヴチューブ・フェスって?

千葉県は九十九里の屋形海岸で毎年開催されているグルーヴチューブ・フェスは今年で6年目。“ただ地元をシンプルに楽しく”をコンセプトにスタートさせ、主催者が小さい頃から慣れ親しんだ九十九里の海をバックに、昼はフルバンドでのライブステージ、夜はDJタイムで構成される。なんと入場は無料!(一口千円からの募金制) 音楽好きもそうでない方も、九十九里の海のうつろいを感じながら、ゆったりと気軽に楽しめるローカルなフェスだ。6回目となる今年は、5月12日(日)に開催された。

何もない場所で自分の居場所をつくる

グルーヴチューブ・フェスの主催者はフェスが開催されている横芝光町で生まれ、現在も横芝光町に住む、永野貴紀・淳夫妻。そして彼らの近隣に暮らす音楽好きな友人達。フェス開催のきっかけは、自分や同級生の居場所を作りたかったというシンプルな想いだった。「僕はもともと、東京で仕事をしていたんですが、辞めたのをきっかけに地元である横芝光町に戻ってきたんです。本当に田舎町なので、田んぼしかなかった(笑)。しばらく地元を離れてたので友達もいないし、どこに行けば楽しめることがあるかわからなかったんですよね。たまたま自営の会社の下に使っていないスナックがあったので、フェスの名前の由来にもなっている “グルーヴチューブ” というミュージックバーというか、たまり場をスタートさせたんです。今から20年前ですね。」と語る貴紀さん。
「お店は週末だけ開けていたのですが、音楽好きな周りの友人や地元のお客さんたちがぼちぼち来てくれまして。その繋がりで、千葉市のクラブで、毎月イベントをすることになったんです。2年ほどイベントをやらせていただいていたのですが、そのクラブが閉店することになってしまったんですよね。その時に大きいスピーカーや、ミキサー等、音楽周りの機材を譲ってもらったんですよ。せっかく色々揃ったし、なにかしたいなと思っていた時に、周りの仲間と自分たちの大好きな地元の海でパーティできたら最高だよねと。それで、いまのグルーヴチューブ・フェスの会場にもなっている屋形海岸で10年くらい前にパーティをやり始めたんです。実家が建設業でクレーン車があるので、それにミラーボール吊るしたりして(笑)。もちろんゲリラで行なっていたので、田舎町とはいえど警察の方が来たりしまして……」と、貴紀さん。
会場の目の前には九十九里の海が広がる


実際にやってみて、予想以上に地元の海の目の前で音楽聴いてパーティをするということがとても最高なシチュエーションだったため、この体験をいろんな人にしてほしいという気持ちがどんどん募っていったそう。
「警察が来たことで、このせっかくの体験をイベントとして普通にやれば、誰にも文句言われず、好きな場所で好きなことができるなと。街おこしの一環として行えば、地元の活性にも繋がりますしね。田んぼしかないこの街で新たなカルチャーを根付かせたいなって思ったんです」
アーティスト植田工さんによるライブベイントも。


千葉の奥地に新たなカルチャー。 GROOVE TUBE FESとははミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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