結成10周年!チャラン・ポ・ランタン
の無国籍歌謡5選

「逃げ恥」のオープニングでブレイク!
アコーディオンボーカルユニット、チャ
ラン・ポ・ランタン

異色のアコーディオンボーカルユニット、チャラン・ポ・ランタン。独自のスタイルで音楽ファンから注目を集めていた彼女たちは、2016年に大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のオープニング・テーマを担当し、一躍お茶の間にも知られる存在になりました。今年で結成10周年を迎え、ますますJ-POPシーンにおいても存在感を発揮している彼女たちの魅力を、名曲たちと共に紹介していきたいと思います。

姉妹で結成したユニットが、Twitterの
会長が絶賛するようになるまで。インデ
ィーズ時代の快進撃。

チャラン・ポ・ランタンは、アコーディオンの小春とボーカルのももの二人で結成されました。しかし、そもそも彼女たちは姉妹。ミュージシャンになる以前から幼い頃より共に過ごしてきました。しかしながら、二人の音楽との関わり方は全く対照的です。小春は7歳の時にシルク・ドゥ・ソレイユを観てアコーディオンを始め、そのまま10代になるとプロの奏者を目指し始めます。新宿での流しや大道芸での演奏に加え、インストゥルメンタル・バンドMINORITYORCHESTRAのリーダーとして音楽活動をしていました。その一方、ももは姉の影響でアコーディオンやピアノを弾くことはあっても、プロを目指す気はなかったそうです。
転機が訪れたのは2009年の4月。小春がバンドの楽曲のためにゲストボーカルを探していた時でした。なんの気無しに実家の部屋にいたももに声をかけ、そのままバンドで歌わせることになったのです。人前で歌ったことすらなかったももでしたが、溌剌としたまっすぐな歌声が好評を博し、そのままバンドに加入。姉からの誘いがきっかけで、ボーカリストとしての道を歩み始めます。
そしてそのライブに自信を持った彼女たちはバンドとは別に、二人で活動することも決意。本格的にチャラン・ポ・ランタンとして音楽を作り始めます。ライブハウスでの演奏だけでなく、路上ライブも積極的に行い地道にファンを増やしていきます。やがて、小春の変幻自在に音を生み出していくアコーディオンとももの歌声が評判を呼び、2013年にはアメリカの音楽見本市SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)に出演。海外のリスナーから「オルタナティヴ・シャンソン」として人気を集めるだけでなく、会場に居合わせたTwitter社の会長であるジャック・ドーシーからも絶賛を受けたのです。(余談ですが、彼女たちは史上初めて『Twitter社の会長からTwitterをフォローされた日本人ミュージシャン』にもなりました。)
こうしてじわじわとファンを集めていったチャラン・ポ・ランタンは結成から5年を迎えた2014年にメジャー・デビュー。音楽ファンだけでなく、幅広い人々から知られるミュージシャンへと成長していきます。

無国籍歌謡を作り続けるチャラン・ポ・
ランタンの名曲5選

チャラン・ポ・ランタンの作り出す音楽の魅力は、あらゆる国の音楽の要素を取り入れた「無国籍感」です。ジャズやシャンソン、スカや民族音楽、さらにはエレクトロやUSポップスなどの影響を感じさせるアレンジからは、一つのジャンルにこだわらない自由さがあります。しかしそのベースにあるのは、日本の歌謡曲のような叙情性や親しみやすいメロディです。そんな彼女たちの「無国籍歌謡」ともいうべき、オリジナリティにあふれた名曲を厳選して5曲紹介していきます。

「71億ピースのパズルゲーム」

アコーディオンと管楽器の異国情緒あふれたハーモニーが始まったかと思うと、ももの語りからドラムスの性急なビートになだれ込むこの楽曲はメジャーデビューアルバム『テアトル・テアトル』の1曲目。「さあ始めましょう 終われない あなたの名前を刻みましょう」というおとぎ話のような語り口で、チャラン・ポ・ランタン流の人生観を歌います。小春が作り出すメロディも、彼女が弾くアコーディオンのように変幻自在。童謡のようなサビから、コールアンドレスポンスや掛け合いが入っていくAメロ、そして管楽器のソロパートなど、J-POPにはあまりない、シンプルかつ複雑な構成です。メジャーデビュー後も、自分たちにしかできない音楽を作り出そうとする姿勢が感じられる楽曲です。

「テイラーになれないよ」

セカンドアルバム『女の46分』の収録曲。どこか聴いたことのあるリズムトラックを一聴するだけで、タイトルの「テイラー」が「Shake It Off」でおなじみのテイラー・スウィフトであることに気づくはず。テイラーに憧れる少女が、自分だけにしかない魅力を見つけようと決意するまでを描いた楽曲です。誰しもが抱く「憧れ」と「自分らしさ」をポップな題材で扱ったこの歌詞からは、キュートでありながらリスナーに対する力強いメッセージが込められているように感じます。そもそもテイラー・スウィフト自身も、10代の少女たちに「自分らしく生きること」を説いているシンガー。そんなテイラーのメッセージも楽曲に自然と入れ込んでしまうセンスが、チャラン・ポ・ランタンの魅力でもあります。

「進め、たまに逃げても」

大ヒットドラマ、『逃げるは恥だが役に立つ』のオープニングテーマ。エンディングテーマである星野源の「恋」が主人公であるみくりと平匡が夫婦になっていくまでを描いていく楽曲だとしたら、この曲は日々を懸命に生きる二人を描いたもの。ドラマの登場人物に当てられたものでありながら、今現在を生きる人たちへの賛歌としても響きます。軽快なアコーディオンと8ビートのリズムに引っ張られるように、伸びやかで力強いメロディを軽々と歌いこなすもものボーカル力も光ります。この曲のMVにはドラマでミステリアスな役柄を演じた成田凌が出演。ももの恋人役を演じ、チャラン・ポ・ランタンの二人と共にコミカルな演技を見せています。

「かなしみ」

軽快でポップな楽曲が多い彼女たちですが、心に染み入るようなバラードも魅力の一つ。サードアルバム『トリトメナシ』の最後に収録された「かなしみ」はなんとアレンジと演奏をMr.Childrenが担当しています。これは、小春が彼らのシングル「ヒカリノアトリエ」とホールツアーにサポートメンバーとして参加したことから実現したコラボ。桜井和寿にも通ずるシンプルかつ真理を突いた言葉と、歌詞を一つ一つ届けるように紡がれたメロディからは、小春のソングライティング力に改めて気づかされます。また、Mr.Childrenのメンバーによるドラマティックなアレンジも彼女たちの歌にしっかりとマッチしてることも重要なポイント。確かなスキルを持ち、メジャーとインディーの境目なく活動しているチャラン・ポ・ランタンだからこそ成立したコラボレーションです。

「置行堀行進曲」

昭和歌謡のようなイントロとロシア民謡のメロディでありながら、れっきとした令和の楽曲。彼女たちのメジャーデビュー5周年を記念し、2019年7月にリリースされたベストアルバム『いい過去どり』からの新曲です。タイトルの読み方は「おいてけぼりこうしんきょく」。おいてけぼりという言葉は、アニバーサリーイヤーに似つかわしくない言葉ですが、「過去に置いてきた想いを今生きている自分に蘇らせる」というポジティブなイメージでこの言葉は用いられています。平成を生き、自分たちのスタイルを貫いてきた二人が、今までの活動を総括しながら、新しい時代にも音楽を作り続けていくことを決意表明するような楽曲です。ちなみにYouTubeで公開されているMVは小春が制作を担当。楽曲の世界観を、ちょっと切なくコミカルなショートアニメーションで表現しています。

活動の幅を広げるももと小春。もちろん
今年は10周年ツアーも。

10年間の活動を経た彼女たちは、個人としての活動も数多くこなしています。小春はアコーディオン奏者としてだけでなく、私立恵比寿中学たこやきレインボーといったアイドルのソングライターとしても活躍。近年では舞台やテレビ番組の劇伴も担当しています。また、ももはシンガーだけでなく女優としても活動。前田敦子主演の『毒島ゆり子のせきらら日記』や、黒柳徹子の半生をドラマ化した『トットちゃん』(昭和の人気歌手、笠置シヅ子役!)など話題作に出演しています。さらに今年は『麻雀放浪記2020』に地下アイドルのドテ子として出演。斎藤工とコミカルな掛け合いを繰り広げるミステリアスな少女を演じました。そんな、二人それぞれの持ち味を生かした活躍は、今後のチャラン・ポ・ランタンの音楽の幅をより広げていくように思えます。
個人の活動でも光を放つ彼女たちは、もちろんアニバーサリーイヤーを記念したライブを開催。10月には東武動物公園でのイベント「ブタ音楽祭」、11月には10周年ツアー「置行堀巡業」が控えています。変わらないスタンスでありながらも、成長を続けるチャラン・ポ・ランタンのライブに足を運んでみてはいかがでしょうか?

公演情報

チャラン・ポ・ランタンpresents “ブタ音楽祭 in 東武動物公園”
2019年10月5日(土) 埼玉 イベントステージ 東武動物公園HOLA!(OPEN 13:00/START 14:00)

チャラン・ポ・ランタン 2019ツアー「置行堀巡業」
・2019年11月17日(日) 東京 CHELSEA HOTEL (OPEN 17:00/ START 17:30)
・2019年11月22日(金) 広島 広島セカンド・クラッチ (OPEN 18:00/ START 18:30)
・2019年11月29日(金) 大阪 梅田シャングリラ (OPEN 18:30/START 19:00)
・2019年11月30日(土) 大阪 梅田シャングリラ (OPEN 16:30/START 17:00)
・2019年12月06日(金) 宮城 仙台darwin (OPEN 18:30/START 19:00)
・2019年12月08日(日) 秋田 秋田Club SWINDLE (OPEN 16:30/ START 17:00)
・2019年12月12日(木) 東京 LIQUIDROOM (OPEN 18:00/ START 19:00)

チケット情報はこちら!

チャラン・ポ・ランタン 公式サイト
チャラン・ポ・ランタン 公式Twitter
チャラン・ポ・ランタン 公式Instagram
小春 Twitter
小春 Instagram
もも Twitter
もも Instagram

結成10周年!チャラン・ポ・ランタンの無国籍歌謡5選はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着