山田孝之×石丸幹二が騙し合い!?「年
齢差から生まれる“ギャップ”を楽し
んで」ミュージカル『ペテン師と詐欺
師』

福田雄一が演出・上演台本を手がけ、山田孝之と石丸幹二がW主演するミュージカル『ペテン師と詐欺師』が、2019年9月1日(日)~26日(木)まで東京・新橋演舞場にて上演される。本作は1988年にフレディ役をスティーブ・マーティンが、ローレンス役をマイケル・ケインが演じた映画『ペテン師とサギ師 だまされてリビエラ』が元となったミュージカル。2005年にブロードウェイで上演されると大きな話題となり、トニー賞で10部門11ノミネートを受け、ミュージカル主演男優賞を受賞している。
今回、日本で上演されるにあたり、TVドラマ、映画などでヒット作を連発し、舞台でもコメディ作品やミュージカルで人気を博す福田雄一が手掛けることとなった。
主演は山田孝之と石丸幹二。福田と山田は、山田の初舞台・初ミュージカルとなった『フル・モンティ』、ミュージカル『シティ・オブ・エンジェルズ』、映像では『勇者ヨシヒコ』シリーズなどでタッグを組んでいる気心知れたコンビ。ここにミュージカル界を代表するトップ俳優・石丸幹二を迎え、新たな『ペテン師と詐欺師』が生まれる。
本作の取材会が行われ、山田と石丸が顔を揃えた。
左から 石丸幹二、山田孝之
ーーまずはこの作品の出演が決まった時のお気持ちからきかせてください。
山田:僕ですら知っている作品で、しかも石丸さんと一緒にやらせていただける、ということで、プレッシャーよりも楽しみのほうが大きかったです。早く皆さんと稽古に入りたいという気持ちでした。
石丸:山田さんとミュージカルの現場でご一緒出来る事になり、夢が叶いましたね。また、この作品もブロードウェイで観た時に「いつか自分でもやってみたい」と思っていたので、またまた夢が叶いました。でも現地で観た時、何秒かごとに笑っている作品でしたから、果たしてそれだけ自分がお客を笑わせる事ができるんだろうか、と。
山田:そうですよね。僕はまだまだ必死な状態なので、何とか皆さんについていこうかと思っています(笑)。石丸さんが優しい方でよかったなと思っています。他の方から優しい方だとお噂は聞いていたので。でもこの後稽古が進んでいっても、優しいままかな、大丈夫かなという一抹の不安も……(笑)
石丸:そこから“騙し合い”が始まっていたりして(笑)!
山田:……頼らせていただきたいと思います(笑)。
石丸幹二
ーー演出が福田さんということで、福田さん演出の印象や特徴はどのようなものですか?
山田:過去2度、ミュージカルの経験がありますが、どちらも福田さんが演出だったので、福田さん以外の演出を知らないんです。他の方に伺うと「福田さんは特殊」なんだそうです。少しずつ詰めていきながら完成させるのではなく、初期の段階から1幕2幕を通しで何度も稽古をやるんです。すると動きと共に台詞も勝手に入っていきますから、自ずと慣れていく……そういう進め方をしているんです。
石丸:私は福田さんの演出作品は今回が初めて。過去に出演した方たちから「勝手が違う」と話を聞いていました。でも今、稽古しながら台詞を身体に入れていけばいいと、山田さんの話をきいて少し安心しました。
山田:僕は、ずっと台本持ったままやっていますよ(笑)!
ーーお二人が演じる役どころをどのように演じていきたいですか?
山田:僕の役は若くてまだスキルもないけれど、ただその若さで調子に乗っていて、どこかナメているフレディという男。それ故、時に自分の未熟さを痛感する事になるんですが、その根拠のない自信が彼の魅力でもあると思うので、そこを全うする事で二人の違いがハッキリするんじゃないかな。だから「あなたが10年かかって習得したものを俺は3日でやってみせる」という姿勢でいればいいキャラクターになるんじゃないかと思っています。
石丸:そんなフレディが自分の縄張りに来た事を、私が演じるローレンスは新聞の一面で知ります。ローレンスにとってフレディは、詐欺師という仕事にマンネリ化してしまったカンフル剤となる。彼の腕を目の当たりにし、奮い立っていくところが、おもしろく、見どころになるでしょうね。
左から 石丸幹二、山田孝之
ーー本作は以前、市村正親さんと鹿賀丈史さんのコンビで上演されました。その二人とは違うご自身の色を出すとしたらどんなものにしていきたいですか?
石丸:お二人とも僕にとっては大先輩です。この作品は二人の年齢に開きがある設定ですが、同年代のお二人は、手練手管を繰り出すフレディとローレンスを見事な技で演じていらっしゃいました。山田さんと僕は、年齢差がある本来の設定に近いので、“ギャップ”の面白さを出していけたら、と考えています。また、歌詞はハチャメチャに訳してあるんですが、台本がしっかりしているので、それが見事にハマっているんですよ。台本にのっとって真面目にやれば自然と面白くなると思います。
山田:僕は過去の上演も映画も観た事がないのですが、原作があるものを映画化する、また、映画化されたものをドラマ化する経験があるので、自分なりに本を読んでフレディをやれば面白くなると思っています。
ーー楽曲やダンスなど表現的な魅力についてもお伺いしたいです!
石丸:聴いていてほれぼれする曲のオンパレードですよ!この作品は映画からミュージカル化されて良かったと思います!しかし、歌い手としては非常にトリッキーな音がたくさん使われているので、楽譜通りに歌うことが難しいんです。一小節の中で2回転調したり、楽曲も“騙し合い”のようです。
山田:僕はただただ難しいな、と(笑)。アンサンブルの方々が「これは踊りもすごく大変なんだけど、観ている側からは大変には見えない」とおっしゃっていました。これまでいろいろな作品に出てきた方々にとってもかなり大変な作品だということは……僕にとってはさらにすべてが大変ですけどね(笑)。
山田孝之
石丸:役者がどれだけの個性と技量を持ってやるかで、見え方が万華鏡くらいに変わるんじゃないでしょうか。
ーー今回、新橋演舞場で上演しますが、その点はどのように考えていらっしゃいますか?
山田:僕にとっては新橋演舞場も初めてです。国際フォーラムであっても新国立劇場であっても初めてですから、どこでも「すごい!」と。どこも歴史がある劇場ですから、そんな素晴らしい劇場でやらせていただけるのはありがたいですね。
石丸:私は舞台デビューが、新橋演舞場で上演された1990年の『オペラ座の怪人』なんです。そんな思い入れのある劇場にまた帰ってくることが出来て嬉しいです。
ーーさて、改めて本作の見どころを伺いたいと思います。
石丸:それぞれの個性豊かなキャラクター、楽曲やダンスナンバーの見事さは大きな見どころになるでしょうね。観終わった時にすごくハッピーな気持ちになれる作品です。
山田:騙し合いの話なので対する相手が変わるたびにキャラクターや話し方をコロコロ変えたりする点は注目ですね。この人は本当はこんな人柄なのにあの人の前では違うキャラに変えているとか。客観的に見ているお客様が一番楽しめるところではないかと思います。ぜひ、楽しみにしていてください。
左から 石丸幹二、山田孝之
取材・文=こむらさき 撮影=荒川潤

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