L→R 真一ジェット(Key)、塩﨑啓示(Ba)、松川ケイスケ(Vo)、細川大介(Gu)、重田雅俊(Dr)

L→R 真一ジェット(Key)、塩﨑啓示(Ba)、松川ケイスケ(Vo)、細川大介(Gu)、重田雅俊(Dr)

【LACCO TOWER インタビュー】
今ここで思っている
未来なんて変えられる

1曲目「若者」から惜しげもなく感動が押し寄せ、その後も華やかな楽曲が続くメジャー5thアルバム『変現自在』。“泥棒猫”なんて曲名が飛び出す文学性も、「炭酸水(さいだー)」で発揮された四畳半フォークも、彼らならではのことだと思う。メンバー5人全員に、そんな今作について訊いた。

激情っていうよりは知能犯な感じがする

もうメジャー5枚目のアルバムなんですね。

松川
あっと言う間です。

このタイミングで“変現自在”というタイトルにした理由は?

松川
“その時の自分たち”という視座からタイトルを付けることが多いんですけど、今回もそうですね。反骨精神的なところもあり。

反骨精神?

松川
知り合いで夜のお仕事をしている女性がいて…僕らより少し年下なんですけど、ああいう世界って若い子のほうが活躍するらしいんですね。年齢を重ねると“引退”っていう文字が見えて、あとは落ち着く場所って決まっているらしいんですよ。貯めたお金で店を出したり、実家に帰って結婚したり。その子もお仕事を始めた頃は“イタリアに行きたい”って言っていて。なので、“それってどうなったの?”って訊いたら、“今も行きたいと思っているけど、なんとなくこのへんで落ち着くべきな気がする”と。それってくだらないと思っちゃって…分かるんですよ、守るべきものも多いし、若い時ほど体力的にも精神的にも環境的にも振り切れないのは。でも、だからこそ、ここでもう一発気合を入れたほうがいいんじゃないかっていう想いが、自分の中に沸いてきたんです。僕らも若くないですけど、今ここで思っている未来なんて変えられるだろうって意味も込めて、このタイトルにさせていただきました。

よく分かります。その一方で、資料のコメントには“大人のロックバンド”ともありますよね。そういった面は意識して出したのか、自然と出たのか、どちらなんでしょう?

細川
自然と出たんじゃないんでしょうか。大人のロックを作ろうとは、みんな思ってはいないでしょうから。
松川
音というか、在り方ですよね、バンドの。

じゃあ、このアルバムを作る上で、目指したところはあったんでしょうか?

真一
あまり型にはまりたくなくて。全方位に振り切りたかったんです。全体としてコンセプティブなものではなく、この曲はこっちにバコーンと行く、この曲はあっちにバコーンと行くっていう。
細川
激しい曲は激しいほうへ振り切って、温かい曲は温かいほうに振り切りました。今までなら“これは激しすぎるから聴きやすいようにちょっと抑えよう”っていうところがあったんですけど、そういうのはなしにしました。激しくて変拍子でノリにくくても、カッコ良いと思うなら振り切ってやっていこうって。

ギタリストとしても振り切りました?

細川
例えば、アコギをメインで出すって考えたらバランスよりもアコギメインで振り切って、エンジニアさんに“これだとミックスが変になっちゃうよ”って言われても“こっちでやりたいんです!”って。どれを主役にするかは、前よりも考えましたね。前はギターを3本入れていたら、3本ともきれいに聴こえていないと嫌だったんです。でも、今回は1本がきれいに聴こえていればいいって。あとは、“こう弾いたらこういく”みたいな10年以上やってきたルールも取っ払って、今、自分がこの曲で聴きたいものしか考えないようにしました。

ドラムに関しても振り切れた感覚はありますか?

重田
曲そのものが振り切れているので、スローテンポはスローテンポなんですけど、その中に疾走感があるような意識はあったかもしれないです。どっしりした曲でも鼓舞させるようには意識しましたね。

なぜ、今、振り切る方向になったんだと思います?

塩﨑
今年は結成17年ということで、いろいろやってきて…僕、自分の好きなビールがサッポロなんですけど、そのコピーが“丸くなるな、星になれ。”で。それと同じで、いろんなところに振り切っているんですけど、最終的にはきれいなかたちになっているかなって。今までやっていないこともやっているし、とにかく行けるところまで行ってみようっていう感じです。僕自身、結成以来初めてピックで弾いてみたり。自分のこだわりを崩してやってみましたね。練習もめっちゃしましたよ。
松川
若い時って何かしらのムカつきってあるじゃないですか。僕、いろいろ分かった上で、今、反骨精神が蘇ってきたんですよね。いろんなものにムカついてきて(笑)。でも、世間一般からしたら大人だから、分別もあるし、ただギャーギャー言っていてもしょうがないって分かっているんですけど、でも、フラストレーションはあって。そういうのが、みんなが言っていた“振り切る”っていうところに表れているのかな。初期衝動じゃないんですけど…中期衝動っていうんですかね(笑)。激情っていうよりは、知能犯な感じがします。
L→R 真一ジェット(Key)、塩﨑啓示(Ba)、松川ケイスケ(Vo)、細川大介(Gu)、重田雅俊(Dr)
アルバム『変現自在』

OKMusic編集部

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