【インタビュー】NOCTURNAL BLOODLU
ST、新メンバー加入後の初音源完成「
今は飾ってない。自由に、制約もなく

NOCTURNAL BLOODLUSTが7月24日、ミニアルバム『UNLEASH』をリリースした。2018年12月に2人のギタリストが脱退。同年末の日本武道館イベント<JACK IN THE BOX>へ特別編成での出演以降、活動を休止していた彼らだが、2019年4月、ラウドロックシーンの若手ホープギタリストとして知られるLinの加入が正式発表となった。そして完成した新体制による初音源が『UNLEASH』だ。
“UNLEASH”は“解き放つ”“爆発させる”などの意味を持つ言葉だ。SEを含む全7曲が収録されたミニアルバムは作曲者クレジットが全曲バンド名義になったほか、日本語詞を大々的に導入。4人によるサウンドは贅肉が削ぎ落とされて、バンドの躍動感も楽曲に込めた感情も赤裸々に感じられる仕上がりだ。すべての経験を糧に、成長を求めて止まない姿勢が伝わってくるようでもある。

BARKSではメンバー4人に、新ギタリストLin加入の経緯、新たな音源制作とアプローチの変化、NOCTURNAL BLOODLUSTという現在進行形のバンドスタイルについて、じっくりと話を訊いた。

   ◆   ◆   ◆

■今までと同じことはしたくなかった
■初心に戻って新鮮味あるものを作ろうって

──新たなギタリストとしてLinが加わり、新生NOCTURNAL BLOODLUSTが誕生しました。まず、Linをどこからどう見つけて、ギタリストに迎えたんですか?

Natsu:SLOTHREATというバンドの克哉から「紹介したいギタリストがいる」と、前メンバーが脱退してから連絡が来て。そのころLinはabstractsというバンドをやっていて、そこでサポートしているドラマーも、僕は知り合いなんですよ。そいつもまた「いいヤツで、ギターの腕も間違いない。マジで逸材だから会ってくれませんか」って、やっぱりLinを紹介してきて。プッシュがすごかったんで、そんなに凄いヤツなのかと興味を持って会ったら、まあ、凄いヤツでしたね(笑)。

──具体的にどのあたりが?

Masa:会おうってことで、とりあえずみんなで居酒屋へ行ったら、「曲を書いてきました」ってLinが言うんですよ。

尋:しかも2曲!

Masa:加入するかどうかもまだ決まっていないのに(笑)。とりあえず、やる気満々なんですよ。しかも、書いてきた曲もけっこう良くて。曲を聴いた時点で、Linでいいかなって気持ちにはなってたんです。
▲尋 [Vo]

Natsu:ギターや作曲の腕はもちろんなんですけど、バンドというのは違う人間が4〜5人集まってやるんで、人間関係的なことを僕らは気にしていたところもあるんで。だから何度もLinと会って。Linが一番若いんですけど、一番しっかりしてるんじゃないかって。

尋:俺のほうがしっかりしてるぞ!

──説得力ないな、尋の一言は(笑)。

尋:あれ(笑)。

Natsu:性格的にも人間的にもLinはドンピシャだったんで、最後の確認でスタジオに入ってジャムってみて。こっちから「お願いします」って感じでしたね。

Masa:だから紹介されてからトントン拍子で話が進みました。

──Linは、NOCTURNAL BLOODLUSTにずっと加入したかったんですか?

Lin:いや、NOCTURNAL BLOODLUSTを観に行ってたときは、前ギタリストがいたので、自分が加入するチャンスがあるとは思ってなかったし、そうイメージしたこともなかったですね。でもギタリストが必要となったと聞いて、そのチャンスに賭けてみようかと。

──いきなり持っていった2曲は、「NOCTURNAL BLOODLUSTにはこういうのが足りない。これが必要だ!」ぐらいに思って作ったやつですか?

Lin:参考になるものをこっちから提案しないとダメだと思ったんで、自分が抱いていたNOCTURNAL BLOODLUSTのイメージっぽい曲とか、いくつか作っていったんですね。曲調はいろいろなんですけど、基本的に激しい感じのやつを。
▲ミニアルバム『UNLEASH』

──Linが正式に加入したのは今年4月?

Masa:いや、加入は去年12月、クリスマスぐらいでしたね。

Lin:クリスマス・イブじゃないですかね。

Masa:ときめきの“私たちの記念日”っていう感じ(笑)。

Lin:いやいや、野郎4人でクリスマス・イブに中華食べてました(笑)。

尋:でもクリスマス・イブの夜に告白したんですよ(笑)。

Lin:「どうする?」ってNatsuから聞かれて、よろしくお願いしますって。

Masa:カップル成立! パチパチパチ(笑)。

──なにがパチパチだよ(笑)。Linの加入が決まった直後から音源制作に向けて?

Masa:そうですね、すぐに。

──でもギタリストが変わるのはバンドにとって大きな変化ですよ。この4人になった時点でサウンドやスタイル、アプローチに関しての話し合いも?

尋:加入前のLinと会った時点で、そういう話もしていたんですよ。僕らもメンバーが3人になったとき、これからどうやっていこうか、曲のことも含めて、全部話し合っていて。音楽性の枠決めは取っ払って、今までのイメージは置いておいて、新しいものを作ろうと。従来の曲調やスタイルもベースとして大事にしつつ、新しいものを取り入れていこうって話をしていたんです。Linが加入してから、改めてそういった話もしました。

Masa:つまり変化を活かす感じで。

尋:そう。結局、今までと同じことはしたくなかったんですよ。僕らはイチから始めるって気持ちでやっているんで、初心に戻って、新しいものや新鮮味あるものを作ろうって。

Masa:そして今年に入ってから本格的な作曲やアレンジが始まったんです。
■Linからのサプライズは今後もあるはずだし
■それがまた新しい化学反応を起こす

──この4人の初音源『UNLEASH』は、作曲がバンド名義になっています。どういったやり取りをしながら曲を作ったんですか?

Lin:最初はMasaとそれぞれが家でデモを作って、みんなでデータを共有して。スタジオに入ったタイミングで、それぞれのアイデアを出しながらディスカッションを重ねたり。実際にレコーディングに入ってもそういったやり取りは続いて、曲も膨らんでいったんです。すごくセッション的なところもあったかな、と思います。

──となるとプレイヤーとしての引き出しも重要なアレンジ作業ですよね。Linのルーツや影響を受けたプレイヤーは?

Lin:ヘヴィな音楽の入り口は、僕にとってマリリン・マンソンなんです。その後、フュージョンやいろいろなスタイルの音楽も聴いたんですけど、最近は個人的に原点回帰といいますか、マンソンなど、あの時代の音楽を再び聴いていて。楽曲としてはシンプルなんですけど、何か訴えかける姿勢など、音楽だけじゃない部分もいいなと思って。そういった要素も出していけたらいいなと思っていますね。
▲Lin [G]

──ギタリストとしてはどのあたりを好んでいるんですか?

Lin:あのギタリストを超コピーしたっていう経験がないんですよ。いろんな曲はカバーしましたけど。それに曲を自分で作るようになってからは、ギターは作曲ツールという感覚で。あんまりギタリストからの影響は受けてないかもしれないですね。

──ギターを始めたとき、7弦ギターも当たり前の時代でしょ?

Lin:そうです。最初に弾いたのは6弦ギターですけど、僕はすぐに7弦ギターにシフトしましたね。7弦ギター歴のほうが長いです。6弦も弾けますけど、べつに7弦ギターでいいかって感じで、基準が7弦ギターなんですよ。

Natsu:というギタリストなんで、まだまだいろいろあるんじゃないですかね。

Masa:Linからのサプライズは今後もあるはずだし、それがまた新しい化学反応を起こすはずなんです。

尋:その確信はあります。なにしろ、僕らもまだ出し切っていないんで。

──NOCTURNAL BLOODLUSTの結成が2009年だから今年で10年。その間、築き上げたものがバンドのカラーやスタイルにも結び付いたわけですが、そこに自分たちがある種、縛られそうになったことも?

Natsu:そうですね。もちろん過去に僕らがやってきた軌跡は否定しないし、やっぱり好きでやってきたことなんです。でも、ずっとそれをやらなきゃいけないってのは、また違うじゃないですか。バンドってやっぱり生き物だから、そのときどきでいろんな化学反応も起こって変化もすると思うんです。その変化は、僕は成長だと思っているんで。だからやっている側として、あんまり変わったという意識は持っていなかったんです。今回はいろいろな試みや、今までと違うアプローチもやったんですけど、それはあくまでも広がりであって。Masaがちょっと前に言ったんだけど、アップデートだっけ?

Masa:ああ、そうだよね。

Natsu:自分もバージョンアップみたいな認識なんですよ。だから“縛られていた”っていうか、今から思うと、確かにそんな側面もあったのかなとは感じますけど。

尋:俺なんか、180度戻ったという感じ。
──一時はシーケンスなどガンガンに入れた者勝ちみたいなところもありましたからね。

Natsu:そうですよね(笑)。

Masa:結局、今のトレンドが音数を減らして、シンプルにっていうものになっている。

Natsu:うん。それにちょっと沿ってみようって考えがあったのも確かですね。足し算ばかりし過ぎたら、お互いにつぶしあうようなアレンジにもなるじゃないですか。今回、仕上がった曲を聴いても、どれもがこういう曲だって分かりやすくて、それぞれの役割もハッキリしていると思うんです。

Lin:技術力があるバンドなのは、みんなもう知っていると思うんです。今は売りがそこじゃないっていうか。

Natsu:技術を全面に打ち出す曲も、やろうと思えば、いつでもできるんですよ。

Masa:あと前まで、うちは同期がないとライブができなかったんですよ。同期が鳴らなかったら曲が成立しないってアレンジだったんで、いっぱい音を入れた同期をライブで流してたんです。でも今回の曲は、ぶっちゃけ、同期がなくてもライブができる。自分らをライブバンドとして活かせる作品にはなっているんです。

尋:それも話し合ったんですよ。生でちゃんと強いバンドにならないといけないって。足し算でガチャガチャしていた部分を取っ払って、リアルなところで勝負。ライブって生なんで、本来の形でバンドらしさを出せるNOCTURNAL BLOODLUSTにしたいって話もしたんですよ。

Masa:それで辿り着いたのが『UNLEASH』というミニアルバムです。
■“はじめまして”のライブになるけど
■変なプレッシャーはない

──復活のステージが8月3日、渋谷WWW-Xの<FROM THIS DAY>。そして9月からの主催ツアー<NOCTURNAL BLOODLUST VS.TOUR “Monster Park”>も決まりました。新ラインナップになったから、全て新曲で攻める勢いですか?

Masa:いや、従来の曲もやります。そういった難解なアレンジの曲もあれば、今回のミニアルバムに入っているようなライブで活かせるシンプルな曲もありますっていう。レパートリーを広げた感じです。

尋:新曲が足りない、と言え(笑)!

Lin:ははは。新曲も引き続き全員でどんどん作っていきますよ。

Natsu:それに、そのうち派手なアレンジやプレイの曲も作りますけどね。
▲Natsu [D]

尋:ライブに関しては、セットリストは一応決めたんですよ。それをこの4人でどう表現できるか、ですね。淡々とライブしても楽しくないのは目に見えているんで、僕らがまず楽しむ。それをお客さんがいるフロアにぶつけるっていう感じです。あと、この4人で作った曲だけでライブ1本を通せるようになったら、過去の曲にはあまりこだわりたくないと思っていますね。今の僕らを観てほしいんで。

Masa:今までよりもっと“ライブライブ”した感じになると思いますね。観るというより、体感するステージやライブ。さらに生々しいNOCTURNAL BLOODLUSTになっているはずです。シーケンスに変に縛られない曲もあるから、いい意味でのハプニングや、その瞬間の化学反応も起こるライブをやっていく感じですね。

Natsu:熱って絶対に伝わるものだから、変に余裕を持ってやりたくないですね。必死にやりたいと思っています。8月3日はタイトル通り、NOCTURNAL BLOODLUSTがその日から始まる大切なライブだから、一瞬でも気を抜かないステージをやるつもりです。

Lin:NOCTURNAL BLOODLUSTのお客さんには“はじめまして”のライブになるんですけど、変なプレッシャーはないですね。やってやるよ、ぐらいの構えです。バンド全体のショーとしていいライブにしたいんで、ライブまでにさらに磨き上げたいと思っています。

Natsu:いろいろ言っててもしょうがないんで、本物を見たほうが話は早くないですか、ということなんですよ。

尋:自分らがやっていることは自信持っているんで。

取材・文◎長谷川幸信


■ミニアルバム『UNLEASH』

2019年7月24日(水)発売
DCCA-74 ¥2,500+税
1. Prologue
2. Thank You
3. マッチョ オブ ザ ワールド
4. SHOWTIME
5. Satanic Corner
6. hPa
7. 少年時代
■新メンバー加入後の1stライブ<FROM THIS DAY>

08月03日(土) 東京・渋谷 WWW X
open17:15 / start18:00
SOLD OUT


■主催ツアー<NOCTURNAL BLOODLUST VS.TOUR “Monster Park”>

09月17日(火) 大阪・FANJ twice
出演:NOCTURNAL BLOODLUST / HER NAME IN BLOOD / MAKE MY DAY / Broken By The Scream

09年18日(水) 愛知・名古屋 ell.FITSALL
出演:NOCTURNAL BLOODLUST / HER NAME IN BLOOD / MAKE MY DAY / NoisyCell

09月24日(火) 新潟・新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
出演:NOCTURNAL BLOODLUST / HER NAME IN BLOOD / MAKE MY DAY / NoisyCell

09月25日(水) 宮城・仙台 MACANA
出演:NOCTURNAL BLOODLUST / HER NAME IN BLOOD / MAKE MY DAY / Broken By The Scream

11月04日(金) 東京・新宿BLAZE
出演:NOCTURNAL BLOODLUST / HER NAME IN BLOOD / MAKE MY DAY / a crowd of rebellion / NoisyCell / Broken By The Scream

▼チケット
前売¥3,800- / 当日¥4,300(税込)
オールスタンディング / 入場時ドリンク代別途必要
一般発売:2019年7月27日(土)

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