【レポート】卑弥呼のバッハ探究「M
aho Plays Bach」を終えて…

こんにちは、ヴァイオリニストの原田真帆です。去る7月20日に、連載『卑弥呼のバッハ探究』完結記念としてトーク付きイベントを開催いたしました。本日はそのイベントの様子をCOSMUSICA読者のみなさまにレポートしたいと思います!

バッハを弾き、語る会
このイベントのコンセプトは、無伴奏ヴァイオリンの世界を生で体感していただくこと、そして通常のコンサートよりも少しだけトークの分量を増やして、コラムでは触れなかったわたしの個人的なバッハ観や芸術観についてお話しすること。
会場は水道橋にあるこじんまりとしたバーで、こちらを貸し切りにして、お客さまにはドリンクとおつまみ片手に聴いていただきました。
正直通常のコンサートホールに比べるとかなりお客さまとの距離が近いので、奏者としては慣れない感覚でしたし(トークの声が震えていたと指摘されたレベル/演奏することに対しての緊張はさほどなかったのだけれど)、ヴァイオリンの音って至近距離で聞くとけっこう大音量なので、特に前列の方は大丈夫だったかしら…と思ったのですが、お客さまには「こんな距離でヴァイオリンを見たり聴いたりするのは初めて!/なかなかない!」と概ね喜んでいただけたようで安心しました。
ほかの作曲家が紛れている…
ここで当日のプログラムをご覧にいれましょう。実はよく見るとバッハではない作曲家がまぎれこんでいます。彼の名は…イザイであります。イザイとはヴァイオリン界隈では知られた作曲家ですが、一般的知名度はさほど高くないかもしれませんね。
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このベルギーの作曲家は、バッハのまねをして、ヴァイオリンのための無伴奏作品を生み出します。そこにはたくさんのオリジナリティが盛り込まれていて、ときに「バッハにはこれは書けなかったろうな」と思わせられることもあります。
でもイザイは自分の作品のルーツとなったバッハ作品に多大なリスペクトを見せて、さまざまなオマージュを盛り込んでいます。今回わたしがイザイの6番ソナタを選曲した理由は、同じく6番目の曲として書かれたバッハのパルティータ第3番と同じホ長調だから。実はイザイのソナタ第2番というのがわかりやすくバッハのパルティータ3番をもじっているのですが、今回はあえてそちらではなく“6番目どうし”を並べてみました。
そして最後に演奏したバッハのソナタ第3番のあとに、アンコールでも再びイザイをお持ちしました。この日はホ長調に始まったので、ホ長調で終わるイザイのソナタ4番の3楽章でお開きといたしました。
お客さまの声
ご来場のお客さまからのお声をいくつかご紹介いたします。
バッハの無伴奏ソナタ第3番のフーガが圧巻。コンサートホールではなく、小さなバーでの演奏。めちゃくちゃ近くで聴いてしまった
いつも聴くヴァイオリンはピアノがつきものでしたが、(無伴奏のプログラムは)いつもと違う感じでおもしろかったです。真帆さんのトークを聞きながらなるほどと思いつつ、楽しい時間でした
トークを聞いて、どんな作品も過去の作品群の流れの中にあるということを感じた。演奏、話す内容は奏者がこれまでに歩んだ道、努力、知識、思索がしっかり出ているなと、感服でした
またいつか無伴奏で
今回は連載完結記念という名目でしたが、個人的にはバッハ巡業の再スタートでもあります。リサイタルでこうしてバッハを中心にプログラムを組んだのは初めてだったので、これからまた別のナンバーも弾きつつ、6曲を何周でもしたいなと思っています。
またイザイの6つのソナタも、まずは一度、全ての曲をそれぞれ本番で弾くのが目標です。いつかはバッハだけ、イザイだけのプログラムをできたらいいなとも考えています。
またみなさまに聴いていただけるような機会を作りますので、その際はぜひによろしくお願いいたします。このたびは、ご来場&ご視聴並びにご声援をありがとうございました!

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