WANIMA× S2O、集まった2万人に100万
リットルの大放水 火柱に巨大バルー
ン、打ち上げ花火も飛び出した幕張公
演の公式レポ到着

札幌2デイズ、KENTAとKO-SHINの地元・天草での公演を経て、ついに首都圏での開催となったWANMA『Good Job!! Release Party』。県立幕張海浜公園のビーチでのライブは、「世界一ずぶ濡れになる音楽フェス」こと「S2O JAPAN SONGKRAN MUSIC FESTIVAL 2019」とのコラボレーションとして実現した前代未聞のずぶ濡れワンマンライブとなった。特設サイトにも「めっちゃ水かかります」という意味の注意事項が繰り返し記載されているとおり、この日幕張に集まった2万人ものお客さんを待ち受けるのはとてつもない量の放水(どのくらいかというと、何と総水量100万リットル!!)。始まるまではいったいどんなことになるのか想像もつかなかったが、一言でいえば、楽しさも、切なさも、つまりWANIMAというバンドのもつ両面が思いっきりブーストされた最高の夜となった。そこに集まった全員が、降り注ぐ水を浴びてびしょ濡れになりながら笑顔で歌っている、その光景はどこからどうみてもWANIMAだったのだ。
WANIMA
砂浜にどんと鎮座する巨大なステージ。観客エリアのいたるところに配置された放水器。いつものライブとは一味もふた味も違う雰囲気だが、幕張に集結した2万人のWANIMAファンはそんなちょっと不思議な状況もとことん貪欲に楽しもうとしていた。場内にはフードやドリンクの出店はもちろん、WANIMAの3人をかたどった柱に輪っかをかけるその名も「輪にま投げ!!」や「WANIMAビーチフラッグ」などのブースも設置されていて、会場に入ってきたお客さんはそれぞれ思い思いの過ごし方でライブに向けて気持ちを高めている。もともとフェスとのコラボなので当たり前だが、その雰囲気はまるでWANIMAだけのフェスみたいだ。
WANIMA
そうこうしているうちに開演時間。「JUICE UP!!のテーマ」に合わせて手拍子の嵐が吹き荒れるなか、アロハシャツを着たKENTA、KO-SHIN、FUJIの3人がステージに現れ、ステージの端から端まで走りながらお客さんを煽っていき、「WANIMA x S2O JAPAN Good Job!! Release Party開催しまーす!!」と宣言。そこまではいつものWANIMAのライブ……だが、そこからがやはりとんでもなかった。とにかく、水、水、水。1曲目の“オドルヨル”から大量の水が降ってくる。あっという間に全員ずぶ濡れ。KENTAも「みんな、1曲目からヤバいって!!」と笑顔だ。その後も要所要所で撒かれる水が、お客さんの熱量を冷ますどころかますます高めていく。そう、一度濡れてしまえばみんな一緒。あとは怖いものなしで盛り上がればいいだけなのだ。「とうとうWANIMAとみなさんのとんでもない1日が始まります。今日はもうタダでは帰れんからね!!」。そんなKENTAの言葉に大歓声が応える。
WANIMA
恥ずかしいとか、照れくさいとか、ちょっとスカしてみがちとか、そういういろんな人のいろんな性格を、空から降ってくる水が文字通り洗い流していく。客席から上がる歌声も、MCに対するリアクションも、曲を追うごとに大きくなっていくようだ。大合唱が巻き起こった“昨日の歌”に“サブマリン”、もはやファンには恒例となったモノマネの「ご本人」に会ったときのエピソードを開陳したFUJIに向けられた盛大な拍手。7月17日リリースのニューシングル『Summer Trap!!』からの新曲“夏のどこかへ”ですら(三ツ矢サイダー2019 CMソングとしてCMで流れて、先行配信されていたとはいえ)、まるで長年親しんだ曲のように歌われ、愛されている。KENTAは水をかぶったお客さんに「寒くない?」と訊くが、客席からはむしろ「暑い!!」という声が返ってくるほどだ。この日の天気は夏らしい晴天というわけにはいかなかったが、だからこそ、WANIMAの音楽に込められた「熱さ」がより一層ヴィヴィッドに感じられるような気すらする。
WANIMA
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そんなお客さんのオープンな気持ちが力強く伝わってきたのは、中盤で“1106”が披露されたときだった。海のすぐ横で万感の思いを込めて歌われたこの曲を、お客さんのひとりひとりが本当に自由に、自分らしく、それぞれのやり方で噛み締めた。ある人は手を上げて歌い、ある人は友達と肩を組み、ある人は目をつむって聴き入り……すべてが正直で率直なWANIMAとのコミュニケーション。穏やかな海に目をやりながら歌い上げたKENTAもまた、この大切な曲と真正面から向き合っていた。
WANIMA
その後も、圧巻のシンガロングが巻き起こった“アゲイン”、びしょ濡れのシチュエーションにエロかっこいい歌詞がばっちりハマった“BIG UP”、いつもよりゆったりとしたテンポで始まった“Hey Lady”……矢継ぎ早に繰り出されていく楽曲の数々に、お客さんもさまざまな形で感情を爆発させる。「楽しい!!」や「最高!!」だけじゃない、「苦しい」も「痛い」も「悲しい」も「悔しい」も、3人の演奏とKENTAの歌、そして今日の場合は降り注ぐ水がむき出しにしていく。「毎日苦しい想いとか、我慢している子もいると思う。俺らもやりたくない練習たくさんしてきたから...今日は一日楽しんで帰ってな」。素直な感情に素直な言葉で応えるKENTA。素直といえば、今日はKO-SHINの笑顔もいつも以上に見た気がする。“夏の面影”のギターソロを弾きながら、“ANCHOR”のイントロで歓声を受けながら。お客さんと同じように、メンバーもいつも以上に心を開放していたのかもしれない。終盤、“シグナル”でこの日いちばんの大合唱を巻き起こり、KENTAは「メンバーが2万人増えたみたいに歌ってくれるやん」と感激してみせた。本当にその言葉のとおりで、バンドもお客さんも同じくらい裸になってびしょびしょになってコミュニケーションする――そんなWANIMAらしい関係性が、さまざまな舞台装置や環境によって一層くっきりと浮かび上がったのが、このリリースパーティだったのだ。
WANIMA
“いいから”で水に加えて炎まで上がるフルスケールの演出で堂々のフィナーレを飾ったあと、アンコールでも惜しみなく名曲たちを披露した3人。お客さんのリクエストに応えた“エル”の《明日は晴れるかな》という歌詞はこの曇り空の下で感情を分かち合う今日の僕たちにぴったりだったし、“ともに”の大合唱の中、水しぶきにレーザー光線が当たってキラキラ光る様子はこの日だけの特別な美しさだった。そしてラスト、“花火”の演奏とともに空に打ち上げられた大輪の花――夏の始まりを告げるというよりも、これから楽しいことも苦しいことも待っているに違いない夏に向かっていくみんなの背中を押すように、色とりどりの花は咲き誇っていたように見えた。最後の最後、「風邪引かないでください!!」という言葉が添えられたKO-SHINによる手締めで大団円。汗も涙も一緒くたになった全身ずぶ濡れのスペシャルライブは温かく幕をおろした。
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文=小川智宏 撮影=瀧本 JON... 行秀

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