BABYMETAL 新体制初のワンマンは驚愕
と熱狂に満ちた復活劇だった

BABYMETAL AWAKENS -THE SUN ALSO RISES- 2019.6.29 横浜アリーナ
昨年10月、以前より体調不良のため活動を休止していたYUIMETALのグループ離脱が正式に発表され、SU-METAL、MOAMETALの2人体制となったBABYMETAL。そこから各公演にゲストを招聘したジャパンツアーを敢行し、12月にはスペシャルゲストとしてジューダス・プリーストのワールドツアー、オーストラリアで開催されている『Good Things Festival 2018』にそれぞれ出演。今年に入ってからは『SUMMER SONIC 2019』へ出演するアナウンスがあったものの、大きな動きはなく、今後の展開が待たれていた。
そんな中、今年の4月1日(この日は“FOX DAY”と呼ばれている)に、年内にニューアルバムを世界同時発売すること、そして、アルバムリリースに先駆けて横浜と名古屋にて国内公演を行なうことを発表し、彼女たちが掲げている『メタルレジスタンス』の第8章が開幕することとなった。このレポートでは6月28、29日に横浜アリーナにて開催された、BABYMETALの2019年初ライブであり新体制初の単独公演となった『BABYMETAL AWAKENS -THE SUN ALSO RISES-』2日目の模様をお届けする。
BABYMETAL 撮影=Tsukasa Miyoshi (Showcase)
場内が暗転すると、壮大なオーケストラが流れる中、LEDビジョンにメタルレジスタンス第8章のストーリーが映し出される。女性のナレーション(英語)とともに、「それは突然の出来事だった」「偶然なのか運命なのか」「すべてはキツネ様のお導きの元に」といった文字がスクリーンに流れると、アリーナ中央に鎮座していた正八面体のオブジェが赤く光り出した。すると、八角形の可動型ステージが、メインステージからオブジェに向かってゆっくりと動き出す。そして、そのステージの上には、キツネの仮面をつけ、白装束を身にまとった3人の女性が立っていた。オーディエンスの視線が一斉に注がれる中、再び場内が暗転。すると、正八面体のオブジェは跡形も無く消え、そこにはBABYMETALのロゴを象った翼が現れた。その翼はメインステージに向かってゆっくりと羽ばたいていったのだが、そこにはBABYMETALの歴史──始動以降、その規模を拡大し、いまや世界を沸かせる存在になっていくまで──が映し出されていた。
そして、10年の歳月にわたって伝説を生み出してきた彼女たちが、再びこの日出ずる国から新たな戦いを挑むことを宣言するナレーションが流れると、SU-METAL、MOAMETALがひとりずつ紹介される。そして「勇敢なアベンジャーズ」と紹介されたシルバーの狐のお面を付けた3人のダンサーが登場し、毎公演、その中から“選ばれし勇者”として誰かひとりが選ばれ、2人と共にステージに立つことが告げられた。そして、「諸君、首の準備はできているか?」というアナウンス。横浜アリーナは凄まじい歓声に包まれた。
BABYMETAL 撮影=Tsukasa Miyoshi (Showcase)
そんな壮大なオープニングに場内の興奮は早くもピークに達していたのだが、そこから始まった1曲目は、なんと新曲! 疾走していく2ビートや、ドラマティックなツインリードが組み込まれたブライトな空気を放つメロディック・スピードメタルで、SU-METALは凛とした歌声を響かせる。笑顔を見せながら踊るMOAMETALや、いきなりトップスピードの演奏を繰り広げる神バンド(バックバンド)はもちろんのこと、キレのあるダンスをする“選ばれし勇者”が誰なのか食い入るように見つめる人、再び3人体制で繰り広げられているパフォーマンスに感動している人、新曲のインパクトにやられて暴れまわっている人などなど、オーディエンス各々がそれぞれの形でライブを楽しんでいると、そのまま「メギツネ」へ。SU-METALが「横浜! もっとみんなの声聴かせて! Are you ready to jump!?」と煽れば、場内のボルテージは天井知らずの勢いであがっていく。
BABYMETAL 撮影=Tsukasa Miyoshi (Showcase)
この日のライブは、メンバー3人が可動式ステージの上で、神バンドは固定されたステージでパフォーマンスを繰り広げる形をとっていて、セットリストとしては、過去曲はもちろんのこと、2016年に発表されたアルバム『METAL RESISTANCE』以降に発表された楽曲達が中心になっていた。エレクトロニコアな「Distortion」では、大音量のシンガロングを巻き起こし、「Elevator Girl」では、重量感のあるバンドサウンドを、SU-METALの歌うキャッチーなメロディーが貫いていく。エレベーターガールのような動きを交えたダンスもキュートで、3人が立っている可動式ステージも上にあがったり、下にさがったりと、まさにエレベーターのような動きをしていた。横浜公演直前に発表された「PA PA YA!!(feat. F.HERO)」では、躍動感たっぷりのビートを盛り上げるように、可動式ステージの下から火花が噴出。神バンドのいるステージから巨大な火柱が何度も立ち上がる中、この曲でフィーチャリングされているタイのラッパー・F.HEROが登場。オーディエンスがタオルを激しく振り回す狂乱の光景を生み出していた。演出含め、どれも強烈な楽曲ばかりだが、そのなかでも印象的だったのは、大量のレーザー光線を照射しながら披露された「Starlight」。発表されたタイミングも含めて、この曲には悲しみや祈りのようなものが強く残る印象があったのだが、この日はそれを含みながらも、希望も感じさせるようなものとして響き渡っていた。
BABYMETAL 撮影=Tsukasa Miyoshi (Showcase)
さらに、この日は新曲をもう一曲披露。オリエンタルな空気をまとったサウンドが刺激的で、SU-METALの歌い回しや3人のダンスも、インドや中東の音楽/舞踏を彷彿とさせるものになっていた。冒頭に記した通り、年内に新作アルバムの発売を予定していたBABYMETALだが、その続報として、3rdアルバム『METAL GALAXY』を10月11日に発表することが横浜公演初日に解禁された。約3年半振りとなる本作は“メタルの銀河を旅する”をテーマに、バラエティに富んだ作品になるとのこと。事実、新曲を筆頭に、この日披露された楽曲群は、その振り幅の広さを物語るものになっていたと思う。かなり期待して待ちたい。
瞬く間にライブは終盤戦へ突入。MOAMETALとサポートダンサーの掛け合いも見事に決まっていた「ギミチョコ!!」や、SU-METALが倒れた2人に手を貸して再び立ち上がる動きもエモーショナルな「KARATE」といった鉄板曲を畳み掛けた後、「THE ONE -English ver.-」を披露。優しくも力強いピアノの音色とともに、ステージでひとり、情感たっぷりに歌い上げるSU-METAL。後半からバンドインし、会場全体がまばゆいまでの光に包まれると、SU-METALが強い眼差しで客席を見渡す中、MOAMETALとサポートダンサーもステージに姿を現し、ともにパフォーマンスを繰り広げる感動的な一幕となった。そして、3人がユニットロゴが描かれたフラッグを担ぎ、この日のラストナンバーとなった「Road of Resistance」へ。向かい合うフォーメーションになったときに笑顔を浮かべていた3人は、この日一番の熱狂を生み出した後、最後は「We are!」「BABYMETAL!」のコール&レスポンス、そして強烈な爆発音とともにライブを締めくくった。
BABYMETAL 撮影=Tsukasa Miyoshi (Showcase)
ここからメタルレジスタンス第8章を本格的に進めていくBABYMETALだが、そのスケジュールがとにかく驚異的なことになっている。まず、横浜アリーナ公演直後に渡英し、6月30日に世界最大級の音楽フェス『グラストンベリー・フェスティバル』に出演。ブリング・ミー・ザ・ホライズンやビリー・アイリッシュと同じステージに立った後、7月2日にO2アカデミー・ブリクストンにてライブを開催。そして、7月6、7日にポートメッセなごやにて『BABYMETAL ARISES -BEYOND THE MOON- LEGEND -M-』を行なうことになっている(7日公演のみ全国40館の映画館でのライブビューイングが決定)。
さらに、9月4日からはアルバム『METAL GALAXY』を掲げたワールドツアーが、アメリカを皮切りにスタート。アメリカでは初となるアリーナワンマン(開催日はアルバム発売日である10月11日)や、音楽フェス『Aftershock 2019』への出演も含めた全20公演を終えた後、11月16、17日にさいたまスーパーアリーナ、11月20、21日には大阪城ホールにて国内公演を開催。さらに、2020年2月からは全17公演のEUツアーも決定と、オーディエンスをただただ歓喜させる諸々の告知がされたこの日だったが、エンディング映像には“20201010”という気になる数字も……。はたしてそれは何なのか。とにかく、最強の復活劇を見せた彼女達の今後が楽しみでしかない。

取材・文=山口哲生 撮影=Tsukasa Miyoshi (Showcase)
BABYMETAL 撮影=Tsukasa Miyoshi (Showcase)

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