【速レポ】<京都大作戦2019>My Ha
ir is Bad、「虹色を見せにきました

朝からの日差しで、日焼けした顔が目立ってきた15時の源氏ノ舞台。疲れも溜まってきた頃合いで、その上BEGINのライブで南国へとひとっ飛びしたあとである。思わずぼんやりとしてしまうようなこのゆるりと心地よい時間を、一瞬にして特有のヒリヒリとした緊張感で満たして行ったのはMy Hair is Badだ。
サウンドチェックからそのままステージに残り、椎木知仁(G/Vo)、山本大樹(B/Cho)、山田 淳(Dr)は大きくそれぞれの楽器をかき鳴らすと、「<京都大作戦>、4日目、最終日」という椎木の叫びとともに「アフターアワー」へとなだれ込んだ。山田はヘヴィなビートを連射し、山本は重心を落として重低音を響かせて曲の勢いやパワーをブースさせる。椎木は叫ぶように歌い、湧き上がる歓声にさらに歌声を大きくしていった。「丘のいちばん後ろまで、丘の向こうまで」と、続く「熱狂を終え」で3人はさらに躍動して轟音を遠くまでぶん投げていく。心に浮かんだ、肌で感じた、瞬間的な気持ちを転写したエモーショナルなギターロックを、オーディエンスはまっすぐに受け止めて、大きな声やコブシを振るって自身の思いを打ち返していく。そんな直球のやりとりが続く。
「My Hair is Badです、よろしくお願いします。自分らしくやれるように、100パーセント出して帰ります」と改めて自己紹介した椎木は、静かにギターを奏でながら、2015年に初めて京都大作戦に出演したときのことを語る。「2015年の夏の日、10-FEETが虹色に見えた。そこから4年が経って、今日は俺たちが虹色を見せにきました」。歌とも語りともつかないような叫びから、「ドラマみたいだ」へ繋げる。
「この時間を僕らにくれて、どうもありがとうございます。2年ぶりに夢の舞台に立たせてもらって、興奮しています。今……暑いので気をつけてください……」と椎木はMCする。沸き上がる衝動感は即興的に歌になり、進んでいくうちに、どこからが曲でどこまでがドキュメントなのか、その境目がどんどん、どんどんタイトに。スリルと緊張感で緊縛するようなテンションのライブをするマイヘアだが、なぜこうもごく普通のMCとなるとグダグダになるのか。そのスイッチのありどころが今も不明だ。オーディエンスも時に戸惑い、笑っていいところなのか、思わず空気を読んでしまう場面もある。ただひとつ明快なのは、3人のライブに予定調和というものがないことだ。
最新アルバム『boys』から、ライブで初披露するという「君が海」を荒々しくプレイし、その勢いで「最高の1日だ!」(椎木)と叫びショートチューン「クリサンセマム」へと駆け抜け、「元彼氏として」の猛烈な激情でオーディエンスの心をかき乱す。そして、ここからが真骨頂。「台本はない、クソ食らえだ」と椎木は叫びながら、<京都大作戦>への思い、このチャンスをくれた10-FEETへの思い、そのほかにもバンドマンとしての思い、音楽、やライブ、ロックミュージックへの思い、そのリアルな自分の思い、肌感覚を、時に高揚感や怒りで体を震わせるようにしてギターをかき鳴らし、語り、歌い、語る。
ドラム、ベースも重なって生まれる「フロムナウオン」というこのドキュメンタリー性と、熱量の高さにオーディエンスが気圧されていくのがわかる。フェスというある種祝祭的なシーンでも構わず、100パーセント自分らしく振り切っていくライブだ。ラストに「告白」を選び、スピード感を緩めることなくそのステージを終えたMy Hair is Bad。巨大モニターには、10-FEETのTAKUMAが舞台袖で3人を満面の笑みで迎え、それぞれにハグする姿が映し出された。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎HayachiN

【My Hair is Bad セットリスト】

01. アフターアワー
02. 熱狂を終え
03. ドラマみたいだ
04.君が海
05.クリサンセマム
06.元彼氏として
07.フロムナウオン
08.告白orいつか結婚しても


■<京都大作戦2019 -倍返しです!喰らいな祭->

6月29日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
6月30日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
7月06日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
7月07日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
開場 9:30 / 開演 11:00 / 終演 20:00予定

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