あらかわ家インタビュー Abema TVで
話題の「アラハウス」3か月でCDを1万
枚手売りすればメジャーデビューの家
族に迫る

血の繋がった実の姉弟(きょうだい)と、その父親で構成されるアーティスト集団「あらかわ家(や)」。それぞれが個々に音楽活動を行っていたメンバーだが、「あらかわ家」としてメジャーデビューを目指す彼女たちに、レコード会社から突き付けられた条件は「3か月でCDを1万枚手売り」すること。CDがなかなか売れないといわれてる時代に、このミッションをクリアでき、果たしてメジャーデビューすることができるのか――という、音楽一家の奮闘するリアルな姿を追いかけているAbemaTVの『アラハウス』が話題だ。筋書きのない家族の物語にハマる人続出。今日もどこかでCDを売るために歌を届けている、長女・音々(ネネ/ロックバンド「THE ROARatUS(ザ・ロアータス)」Vo)、次女・ko-ko(こうこ/ボーカルグループ「S.L.B(エスエルビー)」Vo)、三女・夢宇子(ゆうこ/ボーカルユニット「SUN BLAST(サンブラスト)」Vo)、四女・あおい12さい(シンガー・ソングライター/女優「あらかわわこ」、末っ子長男・KOUICHI(コウイチ/ボーカルユニット「SUN BLAST(サンブラスト)」Vo)の、父親・パパ荒川(シンガー・ソングライター)以外のメンバーにインタビューした。
――それぞれがアーティスト活動していく中で、なぜこの「あらかわ家」として、メジャーデビューを目指したのでしょうか?
音々 今でも個々の活動が軸になっていますが、あらかわ家を結成したのは、まず父親が今年の6月24日でメジャーデビュー10周年を迎えるということが、きっかけになりました。50歳でメジャーデビューして話題になって、家族を背負いながらも色々な思いをして頑張っているのですが、パパをもう一度華やかな場所に連れて行ってあげたいというのが、大きなテーマです。それから、長男のKOUICHIが高校を卒業したタイミングで、音楽の道に進むと決めて、家族全員が音楽活動を始めることになったので、やっている音楽はそれぞれだけど、宣伝業務はみんなでやろうと。もう一つは、経済苦の中で全員育ってきて、音楽は自分たちにすごく力を与えてくれたもので、全員パパの事を恨まずに(笑)、結局全員が同じ道を歩みだして、自分たちに大きな力を与えてくれた音楽というものの力を、世の中に発信していきたいという思いが強くなりました。もちろん生活の中で、音楽をそんなに必要としない人も多いと思います。でもそんな人たちにも届けるには、私達一人ひとりの音楽愛を結集して頑張れば、あらかわファミリーとして、小室ファミリーのような存在になれるんじゃないかと。あらかわ家として音楽を売っていこうというよりは、あれかわ家は個々の音楽活動の延長なので、それぞれの活動を飛躍させるためのツールだと思っています。
――「アラハウス」、観させていただいていますが、皆さん色々とアルバイトをやりながら地道にCDを手売りしていますが、ぶっちゃっけ、しんどいですか?楽しいですか?今、気持ち的にはどちらが先に立っていますか?
KOUICHI この前までは本当に80%苦しくて、20%楽しいという感じでしたが、でも徐々にみんなの気持ちも変わってきていて。長女(音々)に頼りすぎてるところもあったし、そういう人任せだった部分が徐々になくなって、苦しいも楽しいもなく、とにかくやるしかないという覚悟に変わったと思う。
――ストリートライヴやイベントに出演した時のシーンを観ていると、CDを一枚買ってもらった時の、感謝の気持ちの大きさは伝わってきましたが、歌をとにかく伝えるということよりも、どうやったらCDを買ってもらえるか、という考えが前面に出ている気がしました。でも徐々に、歌を伝えようという気持ちが強くなってきた感じが伝わってきました。
ko-ko そう言ってもらえて嬉しいです。本当にそうで、1万枚売るために音楽を始めたわけではなく、それはあらかわ家として世に出て行くための一つの課題として、今回こういう形で番組をやらせてもらっています。でも1万枚という大きな数字と向き合わなければいけなくて、確かに一枚一枚が私たちの“想い”ではあるのですが、無理にでも買ってもらうための行動に出ないと、1万枚という数字には到達しないとわかったので、対お金の、ただのやりとりみたいな感じになっていたと思います。でも買っていただいた感謝の気持ちは、日々大きくなっていて、それが歌をきちんと伝えなければという思いになっているのだと思います。
――ツイキャスの反応がすごいですね。ガンガン注文入ってきて、ライヴもすごいけど、ツイキャスの力も大きいですね。
音々特にあおい12さいがネット中心に活動しているので、ファンも多いし、SNSの使い方が上手です。
あおい12さい 私オタク気質なので、ツイッターでも色々なアカウントを持っていて、ツイッターランドって呼んでるんですけど私は。ツイッターランドのお友達たちが、私が活動してるのもずっと観てきてくれている方が多いので、全国からネットで注文してくださって、応援してもらっています。
それぞれのキャラが出ているのに、ひとつにまとまるのが家族の強みだなって思いました
あらかわ家 撮影:二條七海
――「DRAMA」という曲はメロディがキャッチ―で、前向きな言葉が並んでいて、すごく耳に残るので、ストリートで威力を発揮しそうですよね。
音々 あの曲はテーマだけ決めて、全員にLINEで投げかけて、フレーズを考えてもらって、集まったものを眺めていたら、一時間もかからないで、ひとつの物語、一曲になりました。家族だからこそという感じで、バンドでやってもできないんだろうなって思いました。サビは夢宇子が鼻歌でメロディを作って、すぐできたよね。
夢宇子 やっぱり私たちあらかわ家としてやる部分で、ストレートに応援歌にしたかった。誰が聴いても、みんなに自分が主役だよということを感じて欲しいと思いました。
――自分たちも歌いながら勇気づけられていますよね。
夢宇子 本当そうですね。思ってもみなかった感覚です。
音々 こんなにいい曲だったんだなって、歌う度に思います。
ko-ko うちら今、結構“ドラマ”だよね。
あおい12さい 沁みます。
音々 タイトルは実はKOUICHIがつけたんだよね?
KOUICHI 最初から「DRAMA」って言ってたんですよ。なのにみんなは??みたいな反応で(笑)。
ko-ko  KOUICHIがいうことは、とにかく一回は否定したい、毎回そうなの(笑)。
――でも性別、年齢関係なく響いてくる歌詞ですよね。
音々 ありがとうございます。私たちも自分の言葉で表現すると、こんな風になるんだという発見でした。それぞれのキャラが出ているのに、ひとつにまとまるのが家族の強みだなって思いました。
――それぞれがジャンルが違う音楽を掲げて活動をしていますが、音楽的バックボーンとなると……。
ko-ko みんなそれぞれ、好きな音楽や影響を受けた音楽は違います。それぞれの部屋がなかったので、好きな音楽を聴く時はイヤフォンやヘッドフォンで聴くしかなかったけど、でもみんなが共通して好きな音楽は、家で流れていた、ディズニーの歌とかミュージカル調の音楽で、それを聴いて歌いながら踊っていました。
音々 軸になってるのはそこだもんね。
あらかわ家で活動して欲しいという人も出てくるかもしれないし
あらかわ家 Photo by abemaTV
――それぞれがバンド、ユニット、ソロで活動していますが、その中でやっぱり5人が集まって音楽を奏でる時というのは、また音楽に対する向き合いからが変わってくるのでしょうか?
音々 何も考えないでできるのがあらかわ家という感じです。起きてすぐパッとできるのが5人なのかもしれないですね。そういう意味では、私は自分がやっているバンドの中では、自分が理想としているボーカル像を追いかけてやっている部分が強いと思います。でもあらかわ家の中では、そのままの自分でいることが役割なのかもしれません。家族でやっているよさもあれば、悪い部分もあると思いますが、心の楽さはすごく大切にしたい部分です。
ko-ko 今、たぶん番組を観てくれている人の中にも、勘違いをしている人も多いんじゃないかなって思っていて。確かにあらかわ家として活動してはいますが、それぞれの活動が真ん中にあって、そこをわかっていただけないと、趣旨が変わってしまってただのグループになるので、そこが難しいところですよね。
KOICHI CDを買ってもらう人にも、路上でそれぞれが自分達の持ち歌をやっていなければ、5人で「DRAMA」を歌っていたら、5人グループのCDだねって思ってしまうので、仕方ない部分もあるかもしれないけど、難しいですよね。
――CDも全編あらかわ家の曲って勘違いする人もいるでしょうね。
音々 もしかしたら中には、あらかわ家で活動して欲しいという人も出てくるかもしれないし、色々な声は出てくると思うけど、でも結局入口はどこであれ、自分たちが向かっているところがちゃんとわかっていて、しかも全員が売れたいという気持ちがあって、全員が世の中でそれぞれのジャンルでヒーローになっていくには、あらかわ家っていうわかりやすいキャッチーなものを、プラスとして捉えていきたいなと思っていて。あらかわ家を入口に、ロックやソウル、HIP-HOP、色々な音楽に興味を持ってくれると嬉しいです。
あらかわ家 Photo by abemaTV
――入口が広くて、中に入ると色々な部屋があって、そこから様々な音楽が聴こえてくるという感じが楽しいCDですよね。
音々 嬉しいです。私たちは音楽に幸せをもらったので、音楽の素晴らしさを伝えていきたいという思いだけなんです。
――「あらかわ家」では全てをさらけ出していますよね。夢宇子さんの食べっぷり、見事で、好きです(笑)。
夢宇子 あまりしゃべるのが得意ではないので、食べてます(笑)。
ko-ko 食べる時、すごくしゃべるよね(笑)。
夢宇子 基本、色々なことに対してあまり興味がなくて、でも食べることは大好きです。食べないと声が出ない(笑)。
音々 あと、歌うことだよね。音楽というより、“歌うこと”に興味があるんだよね。
夢宇子 そこは誰よりもあります。
あおい12さい 家族の中では歌唱力の高さは一番だし、練習も人一倍しています。
夢宇子 トイレでね。窓がないからスタジオはトイレなんです(笑)。
この子たちを売ることが私の生きる道だって思っています
あらかわ家 Photo by abemaTV
――2016年には音々さんの脳腫瘍が発覚して、大手術を受け10万人に2人といわれる奇跡の生還を果たしたとお聞きしました。この件も、あらかわ家の存在に大きな影響を与えているのでしょか。
ko-ko 音々ってうちの家族の元気玉なので、その元気玉が本当に死ぬかもしれないって宣告されて、でも絶対考えたくなかった。
音々 病院に行ってすぐに悪い状況だってわかって、そのタイミングでもう年は越せないですね、半身不随覚悟の手術をするしかないって言われて。それを言われた時、女子達は歯を食いしばって泣かないようにしていたのですが、KOICHIは、人ってこうやって膝から崩れ落ちるんだっていうくらい、泣き崩れていました(笑)。それがライヴ10日前だったので、私は絶対出るって暴れて(笑)、でも母親に怒られ、あきらめました。
KOUICHI 初めて音々抜きでライヴをやりました。それでみんなの意識が変わったというか。
ko-ko 音々は家族全員を束ねる、まさにサザエさん的存在なので、そのリーダーがいなくなって、みんながみんなのことを思い合わないと、絶対無理だってわかったので、4人で結束して、気持ちは強くなりました。
――音々さんは太陽みたいな存在ですよね。
夢宇子 音々の代わりはできないですよ、頑張っても。代わりはできないけど、自分たちの形で思いを集めることはできるから、それを必死にやるしかなかったです。
音々 でもそれはお客さんに伝わって、感動してくださったみたいですね。私は会場には行けなかったけど、奇跡的に生還することができて、せっかくこんな奇跡が起きたんだったら、この子たち全員が売れる奇跡だってあり得るって思いました。私自身がそこで大きく変わったんだと思います。
――まさに「生かされてる」と思いました。
音々 本当にそう思いますね。生きているんだったら、この子たちを売ることが私の生きる道だって思っています。
ko-ko めっちゃ強いんですよ。生きる力も人並以上に強いと思うし、私たちに対しての思いや愛情も本当に強いです。
音々 不思議なんですけど、あそこからの展開って、やっぱり何かが違うんですよね。生き返ってからの軌道は何かが違うというか、もちろんそこには生命力の強さが生み出すものがあるとは思うし、その強さが生まれたのかもしれないけど、こうも違うのかっていうくらい感じるところはあるし、物事が開けていくことも多いです。つてを頼りに、3年間DMを送り続けた、ワーナーミュージック・ジャパンの鈴木竜馬さんともお会いすることができて、今回のお話につながりました。そこにかけるパワーが違うと言われたらそうかもしれないですけど、でも私一人の力ではなく、本当にたくさんの方の協力あって、今があります。
あらかわ家 Photo by abemaTV
――「アラハウス」も含めて、色々な人を音々さんの、あらかわ家の熱さが巻き込んで、その熱が広がっていっています。
ko-ko 意味のない“常識”とか、煩わしいこととか、そういうのも全部取っ払えるくらいの面白さと明るさと、音々の強さで、どんどん味方になってくれる人、本当に私たちのことを信じてくれている人たちが、増えていって、今、道が拓けていっていること実感しています。最初は家族だけだったけど、家族以外のマネージャー、AbemaTVのスタッフも含めて、みんながあらかわ家になってくれています。
音々 「君たちってアメリカンだよね」って言われたことがあって、よくわからないけど嬉しかったんです。私たちの良さってずば抜けた明るさと、例え生死を彷徨おうが、お金がなかろうが、やっぱりその力でのし上がってきているところだと思っていて。悲しみや苦しみを乗り越える美学みたいなのもが、日本ではよしとされている部分があると思うけど、そうじゃない、とことんポジティブな思考で拓けていく部分だってあると思うから、そこは訴えていきたい。
――唯一の男子、KOUICHIさんは強力なお姉さんがいる中で、俺が引っ張らなきゃという思いは強いですか?
KOUICI その思いは芽生えているはずなんですけど、でもやっぱり姉たちについて行っちゃいますね(笑)。
音々 でも色々気を遣って、言ってくれたりもするんですけど、でも誰も相手にしないという…(笑)。
夢宇子 KOUICHIはそういう位置ですね。
――あらかわ家主催のライヴ「NO MUSIC, NO FAMILY !」が8月に開催されますね。
音々 あらかわ家恒例の、家族対バンイベントで、このイベントには老若男女幅広い年齢層の方が来て下さるので、座れるスペースも用意して、普段あまりライヴハウスに行かない人でも気軽に音楽を楽しめるようにしています。フェスなんだけど、公演にでも来たような感覚で、孫とも来れるし、旦那さんを置いて一人でも観に来れるしっていう場所にしていきたいです。
あおい12さい 映画『Sing!』をやりたいんですよ。あれが私たちの目指してるところなので。みんなが入れ替わり立ち替わり歌って、集まって歌って、それぞれお客さんが疲れないように3~4曲ずつという感じです。パパは1曲か2曲(笑)。
――パパにもっと歌わせてあげてください(笑)
音々 パパの歌は、CDでは最後に入っているんですけど、ライヴではちょうど真ん中くらいに登場予定なので、嬉しそうに子の七光りを浴びています(笑)。
ko-ko パパもトイレで毎日練習しています(笑)。
取材・文=田中久勝

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