【内田真礼 インタビュー】
ガツン!と“内田真礼らしい”と
呼べる楽曲
みんなを引き連れて
次のステップに行きたい
声優デビューしてもうすぐ10年、ソロアーティストとしては4月にデビュー5周年を迎えましたが、それを踏まえ、今はどんなお気持ちですか?
これまで大きな波にもまれながらやってきて、やっと“これがあるから頑張れる”という基盤ができてきたのではないかと思います。
それが音楽活動であると?
音楽活動もそのひとつという感じです。音楽活動をスタートした時は、役としてキャラクターソングを歌うことはできても、自分自身の声で歌うことには自信が持てずにすごく悩みました。でも、今はステージに立てば“ここにいるのが好きだな”と思えるし、みんなを引き連れて次のステップに行きたいですし、もっとみんなを楽しませたい。その責任を負うことすら、楽しいと思えるんですよね。座長というか、それこそ船長みたいな。そんな私に、みなさんが頑張って力を貸してくれるから、チーム内田真礼として大きなものを作っていくことが楽しくて。私の力になるし、ある意味で癒しでもあります。
良い循環ができているということですね。
はい。声優という職業はストイックな面があって…例えば戦争ものなど人の生き死にを描いた作品に携われば、心を持って行かれますし、青春の恋愛ものだったとしても、役の一喜一憂に心を揺り動かされる。だからこそ、本来の自分自身と向き合う場所を持つことが大切で、私にとって内田真礼名義の音楽活動がその場所です。どちらもあることで自分が保てているようなところがあり、役者というものに依存しすぎないでいられると思っています。
声優も音楽活動も…それこそ野球も、内田真礼という車を動かす車輪のひとつということですね。
まさしくそういう感じですね。車輪がひとつでも欠けると走れなくなるように、私には全部が必要です。最初はバンやワゴンのような車に仲間数人と乗っていたけど、どんどん乗る人が増えていきました。そうやって基盤ができたことで、今は大きな船に乗り換えることができたという感じです。
武道館の次の目標はありますか?
以前から言っているのは、横浜アリーナでワンマンをやることです。アーティスト活動で初めて立った大きなステージが横浜アリーナだったんですよ。それまではリリースイベントなどで400人くらいの前で歌っていたので、横浜アリーナの大きさと観客数のギャップに驚いてしまって、これから1万人以上の前に立つのかと思ったら、怖くて震えてボロボロになってしまいました。その後もイベントなどで何度か横浜アリーナには出ていますが、あのステージに立つと苦い経験を思い出して、今でもソワソワしてしまうんです。そういう思い出の地でもあるし、リベンジと言うわけでもないですけれど、自分の名前を背負って立ってみたい会場ですね。
そういう失敗のほうが、よく覚えているものですよね。
そうですね。昨年のツアーでは最終日の大阪公演で、開演前から大泣きしてしまって(笑)。
早すぎ!
メンバーと円陣を組んでいる時に“うぇ〜ん”って(笑)。実は本番中もお客さんに気づかれないようにしながら、ずっと泣いていたんです。でも、ライヴは、私の場合は声優がメインにあるから常にあるものではないんです。ツアーと言っても多くて3本ですし、“もしかしたら今年はこれが最後のライヴかもしれない”と思うと、その1本に込める想いが桁違いに重くなるんです。今日出会えたファンと次に会えるのは半年後だと思ったら、この1本はなんて貴重なんだろうと。
その想いが伝わっているから、ファンも付いて来てくれるんでしょうね。
だからこそ、もっと全力で!と思っちゃうんです。これからも一本一本に想いを込めるし、想いのこもったステージという部分には自信を持っているので、期待していてほしいですね。
取材:榑林史章