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【aiko インタビュー】
“もっと歌いたい”
という想いを込め、
前を向いて作った
“人生のアルバム”

20年間一貫して“あなたとあたし”の世界から生まれる生々しい感情を歌い、届けてきたaiko。その初めてのシングルコレクション『aikoの詩。』が6月5日に発売された。20年間の軌跡をただ振り返るのではなく、“前を向いて進もうと思って作った”というシングル集に充満しているのは、また新しいラブソングを聴かせてほしいという期待感だ。

ライヴのセットリストを作るように、
曲順にこだわった

『まとめI』『まとめII』(2011年2月発表)の時も、ベスト盤を出すことに不安がっていましたが、今回の『aikoの詩。』の企画が持ち上がった時は、どんな想いが沸き上がってきましたか?

やっぱり抵抗がありました(笑)。だって、未だに“私なんかがベスト盤(『まとめI』『まとめII』)を出して良かったんだろうか”という想いは消えないですし、今回はシングル曲をまとめると言われて、シングル集を出してもいいアーティストになれているのだろうかと思いました。それに、自分の21年間が一枚(ひとつ)に収まってしまうのかなぁと思うとちょっと寂しくて複雑な気持ちにもなりました。

20年という時間と改めて対峙する機会にもなったのでしょうか?

昔から、過去のことを懐かしんだり、振り返ったりするのが苦手で、例えば昔の写真を見たり、スマホのメールとかフォルダも遡ったりするのも苦手なんですよ。だから、曲に関しても、今までは一曲一曲もう1度噛み締めてみるみたいなことをしてきませんでした。今回のアルバムのジャケットになっている私の子供時代の写真も、取って置いてくれたのも初めて知りました。おじいちゃんが撮ってくれて、それを親が大切に持ってくれていたみたいで、私は親が持っている写真を、今まで見せてとか言ったことがなかったので、あの写真をきれいに保存してくれていて嬉しかったです。

全38作のシングルを、発売日順に時系列で並べるのではなく、Disc1~3まで聴いた人がいろいろなストーリーを想像してしまう曲順になっていますが、ここにはどういう想いが込められているのでしょうか?

シングルを時系列で並べて、自分の21年間の流れと向き合うなんて、逆に怖くてできませんでした。さっき言った自分の21年間が、これ一枚に収まってしまうという複雑な気持ちを切り替え、どうやったらみなさんに喜んでもらえるかを考えて、プロデューサーやスタッフとも相談して、シングルだけでライヴのセットリストを作ってみようという発想になりました。今まで続けてきた『Love Like Pop・Rock・Aloha』というライヴのセットリストを考えるように、曲順を考え始めたら意外とスムーズにはまったんです。どのDiscがどのライヴというわけではなく、ひとつ決まると、答え合わせしていく感じでサクサク決まっていきました。曲が終わりに近づくと、次の曲のイントロが頭の中に流れてきました。

一曲一曲の思い入れが強いと思うので酷な質問かもしれませんが、特にどのシングルがお気に入りですか? 自分の中でポイントになったと思える作品を教えてください。

「ストロー」です。この曲はアルバム(2018年6月発表の『湿った夏の始まり』)のレコーディングをしてる時にプロデューサーに聴かせたら、突然“この曲、シングルにしよう”って言ってくれて。私はすごく嬉しかったんですけど、アルバムがまだ完成していない上に、シングルにするということは、さらにカップリング曲もレコーディングしないといけないので、時間的に大丈夫かなと思ったんですけど、プロデューサーが“いい曲だからシングルにしよう!”って言ってくれたことが本当に嬉しかったんです。《君にいいことがあるように》という前向きで希望がある歌詞を書けたし、子供たちが歌ってくれたり、パオパオチャンネルというYouTuberの@小豆ちゃんがこの曲で“踊ってみた”をやってくれたり、たぶん今まで私の曲を聴いたことがなかったという人たちに届いているのが実感できたからです。この前、テレビ番組に出演した時に『渋谷で聞いたaikoの好きな曲ランキング』というアンケートをやってくださって、1位が「カブトムシ」、2位が「花火」で、3位が「ストロー」だったんです。3位にはてっきり「ボーイフレンド」とか「キラキラ」が入ると思っていたら、4位も「milk」でした。昔の曲を好きでいてくれるのは嬉しいんですけど、新しい曲も聴いてほしくて。だから、「ストロー」のことが好きって言ってくれる人が多いというのは、本当に救われて励みになりました。気持ちを大きく動かされたという意味で、一番新しい曲がターニングポイントになりました。
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アルバム『aikoの詩。』

OKMusic編集部

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