【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>The
BONEZ、「お前の声を聞かせろ」

ギターのフィードバックノイズ一発を合図に点滅し始めたライトのど真ん中、仁王立ちしたJESSEがいきなり「The BONEZと叫んでもらっていいですか!」とフロアに指示。ピットから湧き上がる「The BONEZ!」の大号令をそのままリズムにして、硬質なビートとラップが一気呵成に畳み掛ける「Adam & Eve」で口火を切った。
一見、オーディエンス全体を煽りまくる挑発的で攻撃的なパフォーマンスだが、早速ステージを飛び降りてピットに飛び込んだJESSEの姿から伝わってくるのは、“The BONEZ”の名前と音楽の中では人と人の間に線を引かない、という開かれた意志だ。体ごと観客と熱を交感し、一切の壁を壊すための爆音なのだと宣誓するようなオープニングだ。広大なSATAN STAGEであるにもかかわらずステージとピットの間を一瞬にしてゼロ距離にして見せたJESSEの姿に否応なしに引きずり上げられていくオーディエンスは、“温かな暴動”とでも言いたくなるような凄まじい隆起を見せる。仲間とか絆とか、ひとつになるとか一体感とか、言葉にするまでもなく音と体だけで表現して見せる姿は、とんでもなく美しい。
The BONEZの音楽は、まさに彼らが歌ってきた通り、弱くても、ズタズタになっても、それでも胸を張って日々を生きる強さを求めて鳴らされているものだ。ストロングスタイルのハードコアをベースにしつつ、己を鼓舞するようなラップもemoも飲み込んで一気にぶっ放すそのスタイルは、たったひとりである自分を誇り貫くための音楽を血肉にすることで構築されたものなのだと全身で理解できるライヴだ。

「初のSATAN STAGE、ありがとうございます。俺、再婚するまでひとりで娘を育てきて、ハイエースに乗せてライヴに連れて行ったりしてたんですよ。で、娘は俺のライヴが終わるまで待っててくれたりしてさ。……今日は父の日なんで、俺個人的には娘のためだけにやってるんですけど、いいですか。今日は最高の親父の姿見せる気でいるんで、力貸してもらっていいですか?」
このステージは、俺の大事なもののためだけにある。このライヴは、俺の愛するものを守るためだけにある…そう言い放つJESSEだが、獰猛極まりない音塊の中でも、彼は決して観客を無視することはないし、むしろ執拗なほどに「お前の声を聞かせろ」とアジテートする。たとえばシンガロングとジャンプが束になるThe BONEZのライヴの光景をシンプルな言葉で表せば“一体感”とか“ひとつになる”とかになるのだろうが、その歌の中枢にあるのはむしろ、たったひとりの人間がたったひとりであることを胸を張って世界に掲げられるように、という願い一点だ。だからこそ俺は俺の大事なものを胸張って歌うし、お前もお前を誇って声を上げろと彼は叫ぶのだ。数万人を相手にするライヴをする気など毛頭ない、お前ひとりと話がしてえんだと訴える歌だからこそ、これだけ大きなステージでもひたすら音楽が“近い”。

「LIFE」では、ループする打ち込みのメロディに折り重なったギターのアルペジオとスペーシーな電子音が、歌に光を当てる。もがいて、喚いて、ズタズタになって、それでも生きることだけは手放さずに進んできたプライドがひたすらキラキラと輝く歌がいい。自分と同じように日々を生きる人々のことを迎え入れて、祝福するような音が温かい。
「いいか? いいか!? Daddyはよ、Daddyはよお! お前にカッコいいと思われたくてやってんだよ。お前がいつかバンドマンになりてえって言った時には本気で教えてやるからよ!」

そう叫んだ「SUNTOWN」に至るまで、自分の人生を全力で生きて、必死に日々を繋いで、そして受け継いでいくことのロマンだけを輝かせるライヴだった。たったそれだけだが、たったそれだけの中に、ロックバンドと、ロックバンドに恋い焦がれる人にとって大事なものがすべて詰まっているのだ。

取材・文◎矢島大地
撮影◎中河原 理英

【The BONEZ セットリスト】

1.Adam & Eve
2.Louder
3.Rude Boy
4.Plade of Fire
5.LIFE
6.Thread & Needle
7.SUNTOWN


■<SATANIC CARNIVAL'19>

6月15日(土) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
6月16日(日) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
・物販開始 BOOTH AREA 開場 9:00
・LIVE AREA 開場 10:30 / 開演 12:00

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