【連載】Vol.072「Mike's Boogie St
ation=音楽にいつも感謝!=」

エレキの王様ベンチャーズ!結成60周年記念 ベンチャーズ・ジャパン・ツアー2019来日直前ザ・インタビュー・スペシャル
エレキの王様ベンチャーズが今年もやって来る!実に73回目の日本公演。ボブ・ボーグルとドン・ウィルソンがベンチャーズを結成したのが1959年、丁度60年前のことである。
▲1960年プレス用写真 from Mike's collection

結成から翌年彼らは「ウォーク・ドント・ラン」が初ヒットし注目を浴びた。Billboard誌HOT100を見ると60年7月18日付で88位(★/上昇中)で初登場。その後39位(★)→18位(★)→7位(★)→5位→3位と着実にランク・アップし8月29日付で最高位2位を記録した。
▲『Joel Whitburn Presents The Billboard HOT100 The Seventies』60年8月29日付 from Mike's Library

USミュージック・シーンに颯爽と登場した彼らはその後エレキ・グループの先駆けとして次々に素晴らしいアルバムを発表、インストルメンタル・グループとして本国以上に我が国で脚光を浴び若者を虜にした。1964~5年頃に10代の若者(爺も10代だった!汗)の間で一番人気のあったアーティストはビートルズでもエルヴィス・プレスリーでもなく間違いなくベンチャーズだった。そのあたりの検証をリアルタイムであの時代を過ごした僕らが早くしておかなければならない。長い洋樂の歴史の中で一大ブームを巻き起こしたのがまさに僕たちの世代だったんだから。特に65年のリキスポーツパレスや新宿厚生年金会館でのステージは、当時ローリング・ストーンズとR&Bがサイコー!と粋がっていた僕を完全にノックアウトさせたのだ。それからというものほぼ毎年ベンチャーズのステージを楽しむようになったのだ。それがいつの間にか彼らのコンサート/イベントMCやインタビューを僕がさせてもらうようになった。シングルやアルバムのラーナーノーツも書かせてもらった。そういえばメル・テイラーの誕生日カラオケ・パーティーでは、メンバー4人の前で「二人の銀座」を招聘元のボスとデュオで熱唱したことがあったけ!(冷や汗)。

メンバーが幾度も変遷しながらもベンチャーズは今年で結成60周年である。現在ドン・ウィルソンの子供たちによって彼らのドキュメンタリー映画が制作中。ワーキング・タイトルは“STARS ON GUITARS”。このコラム前号に登場した“ワディ・ワクテル”は大のベンチャーズ・フリークでこの映画の為にドンの娘さんにインタビューされたという(Vol.71読んでネ!)。
60周年記念ジャパン・ツアー2019いよいよ7月からキック・オフ!デンデケデケデケ~この夏も全国各地ベンチャーズで暑さをぶっとばせ!なのだ!!
http://www.mandicompany.co.jp/TheVenturesJapanTour2019.html

そんな彼ら4人に来日直前インタビューした。結成60周年記念ジャパン・ツアーの意気込みを語ってもらおう。

◆リオン・テイラー
Q:ベンチャーズ結成60周年をどう受け止めていますか?
A:もう60年か!信じられないよ!こんな長く続くベンチャーズ伝説の一部でいられることを実に光栄に思うよ。60年前にドンとボブは世界の音楽を変えることを始めたんだね。光栄に思うと同時にこの伝説を今後も僕らが引き継いでいくことへの義務感も感じるね。

Q:ベンチャーズの伝統的サウンドを伝承していくためにどういったことを心がけながら演奏していますか?
A:僕にとっては“伝統的”というか“昔ながら”のスタイルを貫くことかな。ハードにプレイするけど、やりすぎないこと。曲はレコーディングされたように演奏をしているけど、自分のスタイルも少し加えてるかな。

Q:初めてベンチャーズの演奏を聴いた時の想い出を語ってください。
A:かなり昔だった、僕がまだ子供だった頃だね。もちろん父の演奏を聴きながら育ったけど、初めてのショーはサンタモニカ・シヴィック・オーディトリアムだったと思う。彼らの後ろにカーテンがあっただけで、他にドラムライザーも何にもなかった。「あそこにいるのは僕のお父さんだ!すげー!」って思ったよ。オーディアンスが凄く盛り上がってた記憶があるね。

Q:ベンチャーズの数多い楽曲からお好きなベスト3をあげてください。
A:絞るのは難しいけど「10番街の殺人」「ハワイ・ファイブ・オー」「キャラバン」かな。やっぱりドラム重視の曲になっちゃうね。

Q:ジャパン・ツアー2019の抱負を語ってください。
A:まだセットリストが出来上がってないけど、毎回新しい曲や暫くやっていない曲を取り入れたいとは思ってるんだ。そこへ毎回やらなきゃいけない曲もある、例えばベンチャーズ歌謡の「雨の御堂筋」「京都慕情」「京都の恋」「二人の銀座」など。これに昔の曲を少しやりたいとも思ってるよ、「逃亡者」「クリーパー」「イントルーダー」…、でもこれはあくまで候補。

Q:今年のジャパン・ツアーで初登場曲はありますか?
A:数年前に書いた「ビッグ・サーフ」って曲があるんだ。これを加えようか検討中。もしかしたら昨年のアルバム『ヒア・ウイ・ゴー・アゲイン』から何かあるかもネ。

Q:日本のファンへメッセージをお願いします!
A:今年も日本に行くことを楽しみにしてるよ!全国の様々な街へ行くので、皆さん是非いらっしゃってください。僕たちベンチャーズと結成60周年記念ツアーを楽しんでくれると嬉しいです!ベンチャーズFOREVER!
◆ボブ・スポルディング
Q:ベンチャーズ結成60周年をどう受け止めていますか?
A:ボブ・ボーグルとドン・ウィルソンが作り上げたこの伝説が今も生き続けていることを僕は本当に素晴らしいと思う。勿論メンバーは入れ替わり、見た目も変わったかもしれないけど、インストゥメルメンタル・バンドでギター3本とドラムで構成されているところは60年間ほぼ変わっていない。このバンドを60年間続けていられることに僕は誇りを持って毎回挑み続けている。

Q:ベンチャーズの伝統的サウンドを伝承していくためにどういったことを心がけながら演奏していますか?
A:オリジナルの音や昔のサウンドを大事にしたいと思っている。僕自身が彼らに魅了され、このバンドの一員となることが出来た。現在聴いてくれているファンやこれから初めて僕らの音楽を聴いてくれる人たちが、僕と同じようにベンチャーズを楽しんで欲しいと思う。

Q:初めてベンチャーズの演奏を聴いた時の想い出を語ってください。
A:とても特別な記憶として鮮明に憶えているよ。1962年、当時僕が日本に住んでいる時に彼らの日本初公演を目にすることが出来たんだ。ボブ&ドンがボビー・ヴィーとジョアン・キャンベルと一緒に日本に来たんだ。彼らはフェンダーのギターを持って登場し、アンプに繋げて「ウォーク・ドント・ラン」を弾き始めた。5曲演奏して再登場。アンコール・ナンバー「パーフィディア」がとても素晴らしかった!その瞬間に僕は“ギターを演りたい”と思った。そしてその通りになった!!

Q:ベンチャーズの数多い楽曲からお好きなベスト3をあげてください。
A:はい。
*ウォーク・ドント・ラン
この曲はマジックだ。レコーディングもライヴで演る時も、とにかく60年経った今でも新鮮だよ。
*ホーム
この曲の原曲はあまり聴いたことがけど、とにかくベンチャーズ・バージョンが大好き。初めて聴いた時に衝撃を受け、その気持ちは今も全く変わらない。
*パン・ハンドル・ラグ
アルバム『ベンチャーズ・プレイ・カントリー・クラシックス』からの曲だ。カントリー・ミュージックはいつもギターを中心とする音楽。多くの素晴らしいカントリー・ギタリストがいたけど、ノーキー・エドワーズとベンチャーズが作り出したロック・テンポのサウンドは実に見事だった。

Q:ジャパン・ツアー2019の抱負を語ってください。
A:いつも通りパワフルなショーをやりたい。ベンチャーズ楽曲を今のこのメンバーで演奏することを楽しみにしている。

Q:今年のジャパン・ツアーで初登場楽曲はありますか?
A:今年は60週年を記念した2セットでショーを構成。昔の曲でしばらく演奏していなかった 「ローハイド」や「悲しき闘牛」など。それに最近の「ブルー・ドーン」や「ビッグ・サーフ」などを予定している。

Q:日本のファンへメッセージをお願いします!
A:ベンチャーズは長い歴史から幅広い年齢層からサポートをされていますし、これをとても光栄に思っています。いつもコンサートに来てくれてありがとうございます。今年も白熱のショーをお観せして皆さんの良き思い出を作れるよう約束いたします。
◆イアン・スポルディング
Q:ベンチャーズ結成60周年をどう受け止めていますか?
A:途轍もない伝説を受け継いでしまったんだなぁと実感している。その伝説の一部にくわえさせてもらい、それを僕自身が少しでも更新できることを誇りに思う。ドン・ウィルソンとボブ・ボーグルがいなければ何も始まりませんでした、彼らに感謝しています。

Q:ベンチャーズの伝統的サウンドを伝承していくためにどういったことを心がけながら演奏していますか?
A:エネルギーとシンプルさかな。このバンドはエネルギッシュであることが重要だ。しかし、楽曲は複雑なものもかなりある。それをオーディアンスにはエネルギッシュにそしてストレートに伝えることが重要だと思っている。

Q:初めてベンチャーズの演奏を聴いた時の想い出を語ってください。
A:僕はバンドの中で育てられてきた。初めて聴いた時の記憶はさすがに幼かったので憶えていません。

Q:ベンチャーズの数多い楽曲からお好きなベスト3をあげてください。
A:3曲だけ?!(笑)それは困るな…「星への旅路」「10番街の殺人」。そしてアルバム『ベンチャーズ宇宙に行く』全曲。まだまだある、あまりにも良い曲が多すぎて絞れないョ。

Q:ジャパン・ツアー2019の抱負を語ってください。
A:いつも通り、良い演奏を届けるために出来る努力は全てやるつもりだ。良い演奏と共に、良い楽曲を選択しなければならない。これもとても重要だと思うョ。

Q:今年のジャパン・ツアーで初登場楽曲はありますか?
A:今現在ショーの内容を話し合っている真最中。これから決定するョ。サプライズがあることは約束する!(笑)

Q:日本のファンへメッセージをお願いします!
A :この3年間ツアーをさせて頂くことが出来てとても光栄に思っています。また皆さんにお会い出来ることを心から楽しみにしています。皆さんに感謝!
◆ルーク・グリフィン
Q:ベンチャーズ結成60周年をどう受け止めていますか?
A:バンドがこれだけ長く続いていることはファンにとっても音楽業界にとっても奇跡としか言えない。その偉大なる奇跡の一部に僕がバンドへ在籍していることをとにかく光栄に思っています。

Q:ベンチャーズの伝統的サウンドを伝承していくためにどういったことを心がけながら演奏していますか?
A:レコーディングされた曲の音を尊重し、そこに自分の味も少し出そうとしているかな…。

Q:初めてベンチャーズの演奏を聴いた時の想い出を語ってください。
A:僕が子供の頃によく父が買ってくれたギター雑誌にベンチャーズ楽曲が載っていたんだ。そこでベンチャーズの曲をカセット・テープでよく聴いてそれを見ながら練習をしていたョ(笑)。

Q:ベンチャーズの数多い楽曲からお好きなベスト3をあげてください。
A:3曲だけにするのは難しいな!演奏して楽しい曲は「10番街の殺人」「アウト・オブ・リミッツ」「キャラバン」。

Q:ジャパン・ツアー2019の抱負を語ってください。
A:今年の抱負といえば、昨年よりも良い演奏と内容にすることかな。昨年のツアーが僕にとっては初めてのフルツアーだったからね。良いショーにする努力はいつもメンバー全員が行なっているョ。

Q:今年のジャパン・ツアーで初登場楽曲はありますか?
A:いつもの定番となっているヒット曲はもちろん、新しい曲も取り入れたいとメンバー内で話している。でもやはり内容はサプライズということで!

Q:日本のファンへメッセージをお願いします!
A:日本のファンの方々はこのバンドに毎年生きる意味を与えてくれます。またあなた達の美しい国で演奏をさせてください。心から感謝!
*ライヴ・ショット Pic.by Hiroyuki Yoshihama

☆☆☆☆☆

◇ベンチャーズ 最新アルバム情報

『ライブ・アット・ダリルズ・ハウス・クラブ』(ポニーキャニオン/MYCV-30664)
▲提供:ポニーキャニオン

ベンチャーズの現在のメンバー4人による初のライヴ・アルバム。2018年1月にニューヨークの郊外ダリルズ・ハウス・クラブでの収録。因みにオーナーはあのダリル・ホール&ジョン・オーツのダリルだ。そういえば彼らとは六本木のソウル・バー“George's”で何度もソウル・タイムを一緒したっけ…。ベンチャーズのまさに“NOW”をしっかりと伝えてくれる2枚組、29曲がライン・アップ。「ウォーク・ドント・ラン」「ダイアモンド・ヘッド」「10番街の殺人」「キャラヴァン」(元の表記は“キャラバン”だけどこのアルバムでは“キャラヴァン”)といったベンチャーズ・クラシックから「ビッグ・サーフ」まで、エレキの王様の今の姿をしっかりと捉えているニュー・アルバム。コンサートに出掛ける前にしっかり予習しておく最適のアルバムだ。

『60周年ヒストリック・オリジナル・コレクション』(ポニーキャニオン/MYCV-30665)
▲提供:ポニーキャニオン

そしてもう一つの作品集(二枚組)が7月にリリースされる。これまたライヴ作品を収録したアルバムでドン・ウィルソン、ボブ・ボーグル、メル・テイラー、ノーキー・エドワーズ、ジェリー・マギー、リオン・テイラー、ボブ・スポルディング、イアン・スポルディング、ルーク・グリフィン…、まさにベンチャーズのメンバーのステージをあらゆる角度、時代からしっかり堪能できる内容になっている。中でも「ブルー・ドーン」「あの人はいま札幌」「マジック・ナイト」の登場はファンと待望の選曲だ。“Bondolero”こと「あの人はいま札幌」は72年にベンチャーズが李朱朗に提供した名曲だ(余談になるけど、僕のちょっとした知り合いだった二人、小山ルミアン・ルイスだってベンチャーズ楽曲を歌っていた)。ベンチャーズの長きに亘る歴史をライヴ・ナンバーで堪能するのもこの夏の大きな楽しみになって来た。テケテケテケ デンデケデケデケ!!!

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