MOROHAアフロの『逢いたい、相対。』
第十五回目のゲストは椎木知仁(My
Hair is Bad)矛盾してる奴を信用し
たい

MOROHAアフロの『逢いたい、相対。』第十五回目のゲストはMy Hair is Badの椎木知仁。今回の対談で語られている2人の考えやスタンスは実に矛盾している。お客さんにはライブに足を運んでほしいけど、いつもライブに来られると「本当に俺らの音楽が刺さっているのか」って疑う、と。彼らの話を聞いていると、答えを求めているわけじゃなくて、“本当のこと”を求めているんじゃないかと思う。「周りのバンドマンもみんなで一緒に大きくなろう」と思いつつ「そいつらよりも売れないと、自分が大きくなれない」その両方をステージでちゃんと晒すことが必要で、その矛盾こそが本当の心の声だろうと。キレイごとで済ませない2人の問答は、まさに彼らの音楽そのものだった。
●毎回MOROHAのライブに来るお客は「本当に俺らの曲が刺さっているのか」と疑いたくなる●
椎木:お疲れ様です。
アフロ:のこのこ来やがって。
椎木:ハハハハ、いやいや。
アフロ:このあとは?
椎木:雑誌のインタビューっす。
アフロ:ってことは、お酒は飲んじゃダメか。
椎木:軽くだったら大丈夫です。俺はビールにします。
アフロ:じゃあ俺もビールで。
(そして、2人の注文したビールが届く)
アフロ:乾杯。
椎木:宜しくお願いします。
アフロ:東京にいるときも曲は書くの?
椎木:弾き語りで1曲だけ書いてみました。思ったことをそのまま描写しているというか、愛しても愛されても終われない街みたいな曲。弾き語りのときは、バンドよりも肩肘を張らずに歌っている節はありますね。
アフロ:今までバンドで歌ってきたことと、弾き語りで肩肘張らずに歌うことがメッセージとして矛盾しちゃうことはないの?
椎木:あー、ないですね。バンドと違うことをしちゃってる後ろめたさは全然なくて。弾き語りはバンドの曲をやらずに歌っている分、まったく別物でやっているつもりです。だけど一部で「バンドマンが弾き語りをやるのはなめてる」という意見があって。それを聞くと悔しい気持ちはあります。そういう人にも認められたいので。
アフロ:そうだよね。椎木の場合は自覚的だと思うけどさ、お前のことを男として好きなお客もいるじゃない。そういうお客がいることに対して、フィルターがかかっちゃう部分はある?
椎木:音楽以外の部分で?
アフロ:そうそう。俺の場合はライブ中、UKの前に女の子が何人か来ると、それを見て言い方が難しいけど、すごく歯がゆく思ったりする。
椎木:それは何でですか?
アフロ:俺が信じたものや、俺がやりたいことっていうのはそういうことじゃねえって思う。
椎木:ああ、そこを目的に来てほしくないっていう。それでいうと聞きたいことがありまして……俺が勝手に思ったことなんですけど、この間の洋服の雑誌(※アフロが表紙を飾った『RUDO 2019SS』)で「俺は服なんか買ってる場合じゃない」と答えたのって、読者やお客さんに対しての不信感なんですか。
アフロ:ある。むちゃくちゃ不信感はある。
椎木:信用できないというか?
アフロ:信用してない。
椎木:やっぱり、そうなんだ。
アフロ:例えば、マイヘアのライブで即興をやる場面があるじゃん。俺はアレを年に1回観れば良いんだよな、と思ってて。それは年に1回観れば良い程度の好きさという意味じゃなくて、年に1回アレを観て「爆発ってこういうことだな」と思う。それと同じことをやっている自負が俺にはあるのよ。こういうことを言ったらアレだけど、毎回MOROHAのライブに来るお客は「本当に俺らの曲が刺さっているのか」と疑いたくなる。
椎木:あぁ、どうなんですかね。
アフロ:わからない。だけど今の話はライブで飯を食っていく人間からしたら、めちゃくちゃ矛盾した考えだよね。毎回ライブに来て欲しいんだけど、毎回来る人間に対して1回1回のライブが刺さってたら「そんなペースでライブに来るのは、俺の感覚からしたらわからねぇな」と思うわけだから。
椎木:あるアーティストが上越へ3か月に1回くらいのペースでライブをしてくれていた時期があったんですよ。毎回カッコイイんですけど、まさにその感覚でした。年に1回観たい感じ。
アフロ:うんうん、そういうことだね。
●現実を見せてくれるミュージシャンは、その瞬間に信用する●
椎木:不信感の話に繋げるわけじゃないですけど、そもそもアフロさんは人を信用するんですか。
アフロ:信用はするよ。椎木のことも信用してる。
椎木:俺は信用されてると思ってない。というかアフロさんが誰かを信用してると、あんまり感じたことがないですね。
アフロ:椎木は人のことを信用してるの?
椎木:えっと、自分が信用してると思うこと自体に意味があるような気がしてて。メンバーに対してもそうなんですけど、裏切られても良いと思える人が周りにたくさんいます。変な話、お客さんにもそう思えるから「フロムナウオン」を歌えてる。
アフロ:なるほどな。俺が椎木を信用できると思うのは、ステージで俺の悪口を言うときがあるじゃん。
椎木:はい。……はいっていうのもアレですけど。
アフロ:ああいうのがね、信用できる。
椎木:アハハハハ。
アフロ:ムカつくよ。すげえムカつくんだけど、安心する。
椎木:初めて言われたな。
アフロ:悪態ついているマイヘアを観れるのは、MOROHAの対バンだけだと思えたら、俺はその瞬間に信用されているような気になるの。逆に、周りはあまりにも良い話をステージ上で求めているじゃない? 俺は夢を見に来てるお客を相手にしたくないと思うから、夢を見たいお客はいなくなれと思ってる。そういう意味で現実を見せてくれるミュージシャンは、その瞬間に信用する。というより、その瞬間を信用できる。椎木がいろいろムカついてワーっと言ったりするじゃん。そこを俺はすごく好きになるの。本当にお客のことを思ったら、そんな発言はしないほうが良いんだよ。
椎木:苛立ちをステージにぶつけることを。
アフロ:そう。それはサービスになってないんだけど「そもそも俺らはサービス業じゃねえだろ」と、いろんなバンドを見てて思う。
椎木:そうっすね。
アフロ:だからサービス業をしている奴のことを俺は信用してないし、サービス業でペンを持つライターのことも信用してない。だからといって、逆説的に悪口を書いて距離を縮めようとする奴のこともムカつく。でも、それって分かるじゃん。そういう方向で距離を縮めようとする奴と、本当にムカついたんだなと思う奴と。だから俺の彼女に対しても「ここが嫌だ」と言ってくれる人だから信用できるんであって、全部好きだと言われたら信用できないじゃん。自分だって自分の全部が好きな訳じゃないから。
椎木:アフロさんにもあると思うんですけど……俺が初めてフェスに出たとき、相手に夢を見せなきゃいけないのかなと思っちゃう瞬間があったんです。最終的にみんなが良かったと言えるライブをしようと。
アフロ:俺は思ったことない。俺の持っている武器はそういうものじゃないと今は思っている節があるから。その武器で戦っていかなきゃいけないと思うと、「人生って素晴らしいな」と楽しい顔で帰ってもらうんじゃなくて、「早く帰ってやることやらなきゃ」とか「泣き言を言ってる場合じゃない」ということに気づかせるのが……。
椎木:自分もそういう気分になったことがあるからですよね。
アフロ:うん、俺はそういうライブが好きだな。
椎木:フェスで他のバンドがノリと勢いでライブをやって、「一緒に歌おうぜ」という感じでみんなを喜ばせている瞬間を観たんです。「こういうのが伝わるの?」みたいに思って、俺もそっちへなびいたこともあったんですけど、結局それはお客さんのことをナメてると思って。
アフロ:ナメてるね。
椎木:逆に、失礼なことをしている気持ちになってきて。ちょっとずつバランスを取れるようになりました。
アフロ:そうだね。みんなで声を揃えたら、そりゃあ泣けるし感動するよ。みんなで同じことをやるのってグッとくるから。それを先導できるバンドっていうのはいる。でも、それってマルチのやり方と一緒だから。
椎木:そうっすね。
アフロ:そいつらの狙いが何かわからないけど、少なくとも俺はそれを目的にはしてない。
●もっと「あいつを押しのけたい」と言っていいんだよ●
椎木:アフロさんの器用な部分って、人の心を最後に叩くために最初は馬鹿なふりをするじゃないですか。友川カズキさんじゃないけど、ちょっと油断をさせて最後に叩くみたいなのは、すごく勉強になります。「そうすれば良かったんだ」って何回も思った。緩めたり締めたりが上手いというか。
アフロ:そう? 
椎木:無意識にやっていることですか。
アフロ:いや、とことん矛盾したいと思うのよ。例えば「客を喜ばせることを俺はやりたいと思わない」と言ってたくせに、「そんな殺伐とした気持ちじゃなくて、みんなが笑顔で帰れたら良い」と思うことがあって。だけど曲の中では「リアルな勝ち負けが全てで、勝つためにやらなきゃ生き残れないだろ」って。それはすごく矛盾しているじゃん。でも自分は両方の気持ちになることがある。
椎木:その通りっす。
アフロ:だから力一杯矛盾したいね。色濃く当時の気持ちを100%で歌ってたら、どんどんみんなに「矛盾している」と言われるようになる。でも矛盾しない人生なんてないなと思うし、それって感情の幅だったりするから。
椎木:どうしても矛盾はしますよね。俺も「言わなくてもわかれよ」という歌詞と「言わなきゃわからねえだろ」という歌詞のどっちも歌ってますもん。どっちも本気で思っているし、しかも多感なときって1週間で思っていることなんてコロコロ変わりますよね。
アフロ:そこが信用できるのよ。矛盾していない奴が本当に嫌だなと思うし、そっちの方が宗教的になると思うの。シンプルに「戦争反対」と言ってる人の方がさ、メッセージがハッキリしてる分、他人は何も考えずについていけるじゃん。方や、曽我部(恵一)さんの「ギター」に<戦争にはちょっと反対さ>という歌詞があるんだけど、「ちょっと」がつく事で人間らしい揺らぎとか思案の跡が伝わってくる気がする。そこが曽我部さんの歌詞のすごいところだなって思う。
椎木:そうっすね。
アフロ:そこを俺もちゃんとやりたい。人間はもっと地に足をつけたら「あいつを押しのけてでも、俺は駆け上がるんだ」という気持ちと「一緒に上がっていこう」という2つがあるはずじゃん。それなのに、みんなライブでは「全員で一緒に駆け上がっていこう」ってキレイ方だけでまとめたがる。もっと「あいつを押しのけたい」と言っていいんだよ。その気持ちはあるはずだしさ。それを言ってくれる奴がいると、「また一緒にライブしたいな」って思う。
椎木:じゃあ「みんなで一緒に駆けあがろうぜ」と言う人は?
アフロ:そういう奴とはライブをしたくない。やるにしても週刊文春みたいなことをしたくなっちゃうな。そいつらに「お前、腹じゃ何を思っているんだよ」って。
●他人から嫌われたくない気持ちのせいで、わざと濁してる部分があります●
椎木:その話を聞いて、すごく腑に落ちたな。俺はお笑いが好きなんですけど、好きな芸人さんって毒舌を言う人なんですよ。何でだろうと考えたら、きっと信用できるからなんだな。女の子に告白するときでも「好きで付き合いたいし、愛せると思う。だけど俺はバンドマンだから、君のことを容赦なく傷つけると思う」と。それはなぜかと言われたら「バンドマンだし」としか説明がつかない。正直に話そうと思ったら、極端な矛盾で告白をするような気がするんですよ。
アフロ:本当のことを言おうと思ったら?
椎木:はい。それぐらい俺はバンドマンを自由奔放にやりたい。
アフロ:バンドマンを自由奔放にやるって具体的にどういうことなの?
椎木:例えば、彼女と会う約束をしていても大切な先輩から連絡が来たら、容赦なくそっちを選ぶかもしれないし……というか選ぶと思うし、みたいなことを言いたいんですけどね。
アフロ:椎木の「バンドマンだから傷つけるかもしれない」という考えを、もうちょっと紐解いて言うのがMOROHAのラップな気がする。今の説明ってオブラートじゃん。「俺はバンドマンだから、違う人のところへフラフラ行くかもしれない」って、それはハッキリ言わなきゃいけない。別に女の子に対してだけじゃなくて、ステージでも。
椎木:そうっすね。俺は他人から嫌われたくない気持ちのせいで、わざと濁してる部分があります。
アフロ:そこを一皮むいて「そういうことだろ」という週刊文春的なさ。
椎木:確かに、赤裸々と言われていても俺は曲の中でそこまでしないな。
アフロ:傷つけるでいうと、この間、先輩との付き合いで行った半熟女パブの領収書が彼女に見つかっちゃったの。それが原因でギスギスして。
椎木:え、それはダメなんですか。
アフロ:彼女はそういうお店に行ってほしくないタイプの人で、俺も行かないと言ってたんだよ。それで行っちゃったから。
椎木:付き合いなら何も悪くないと思いますけど。そこは「ミュージシャンだから」で突き通せば良いじゃないですか。
アフロ:お前、ミュージシャンに対して妄想しすぎじゃない?
椎木:それ以外に言うことないっすもん。「これが俺のやっている仕事、以上」って。
アフロ:そういう感じはねえな。
椎木:だって行きたくて行ったわけじゃないでしょ。
アフロ:だけど、心のどこかで「半熟女パブか……どういうところなんだろ」と思ってる自分もいた。
椎木:曲に活かせるかもしれないし。
アフロ:それも言い訳だよね。歌詞のネタになるかもしれないってさ、言い訳としては浮かぶけど恥ずかしくて言えないよ。そんなの嘘だから。
椎木:嘘ではないでしょ?
アフロ:そこは「半熟女パブに行かない」と唇を噛んで家に帰る。それだって歌詞のネタになるわけじゃん。
椎木:逆も然りじゃないですか。
アフロ:だけど、そこに彼女という理由があれば分があるじゃん。「ミュージシャンだから」というのは、もっと事細かに汚く説明したら納得できるのかもしれないけど。俺が逆の立場だとしたら「ミュージシャンだからの中身を、もっと自分の傷をえぐる感じで言って。言いづらいことがたくさん内包されているでしょ。言えよ、ミュージシャンなんだろ」という気持ちになる。
椎木:なるほどな。
アフロ:そこにはミュージシャン以外の、自分の欲望がたくさん内包されているじゃん。「ミュージシャンだから女と遊びたい」「ミュージシャンだから酒を浴びるほど飲みたい」って、そこはミュージシャンに関係なく一人の男としてそれがしたい、と言わなかったら客のことも説得できないんじゃないの?って俺は思う。
椎木:そっか。俺は目の前で嫌われたくもないし、相手のことも傷つけたくないから、ハッキリ言うことから逃げちゃうかもしれないです。
●嫌われるのって大変だけど、本当のことを言えば自ずと嫌われるんだよ●
椎木:……あの質問してもいいですか。
アフロ:いいよ。
椎木:これからMOROHAの挑戦したいことって何ですか。
アフロ:今は自分の人気がないことに悶える時期だと思っているから、そこと戦いたい。これからというか現在進行形だけど。
椎木:そのために何を挑戦しようと思っているんですか。
アフロ:メジャーに行く時点で「わかる人だけがわかれば良い」の脱出じゃん。だから何がしたかったのかというと、1億人に聴いてもらって10万人が気に入れば良いなと思ったからメジャーへ行った。つまり確率は1/1000なわけで、1000人のうち1人が好きなる音楽をするために、999人から嫌われることをしようって。それはどんどん研ぎ澄ませていかなきゃいけない。嫌われるのって大変だけど、本当のことを言えば自ずと嫌われるんだよ。だから本当のことを言い続ければ嫌われる作業ができるし、1人に好かれることに繋がる。
椎木:はい。
アフロ: 1000人に聴いてもらえれば、1人くらいは「コレだ」と思ってくれる人がいるはずで。沢山の人に嫌われるためには、本当のことを言うための作曲だよね。そこも矛盾しているんだけど。
椎木:なるほど。
アフロ:椎木は何を考えてる?
椎木:俺は人のことを羨ましいと思う人間で。テレビを観て、友達とか同い年のミュージシャンが紅白に出ていたり、CMやドラマのタイアップで起用されていたりすると、俺もど真ん中で戦いたい思うんです。そういう音楽になるための努力は怠らないようにしてます。そのためにできることは何でもしようと。アフロさんには、新しいアルバム(『boys』)を聴いて感想を教えてほしいです。
アフロ:万人に受け入れられる音楽を目指すとしたら、俺に響かないアルバムが良いんじゃない? 
椎木:でも欲張りなので、どっちにも褒めてほしい。
アフロ:そっか。この前、『キングダム』を観てきたんだけど、映画館の中でずっと疎外感を感じていたのよ。多分みんなは感動しているんだろうなと思ったけど、俺は全然感動しなかった。それはディスじゃなくて「俺みたいな感覚の奴は顧客として扱われないんだ」と思ったの。だけど、作品自体はヒットしているわけじゃん。
椎木:それはアフロさんが斜に構えていたわけじゃなくて、シンプルにわからなかったということですか。
アフロ:そもそも斜に構えるってどういうことなんだろう。俺はめちゃめちゃ楽しみにして行ったよ。確かにバンドだったら、羨ましくて斜に構えることはある。「俺より絶対良い飯食ってるよ」とか「俺よりも良いところに住んでるよ」とか、そうなると減点方式になってさ、そういう目でライブを見ちゃうでしょ。
椎木:すげえ、わかります。
アフロ:だけど映画にそういうのはないじゃん。物として悪いわけじゃないけど、俺には響かんなって。だけど俺は、俺に響かないものを作れないから。もし俺がタイアップを頭に思い描いて作るとしたら、自分に響かないものを作らなければダメな気がする。
椎木:アフロさんのように「自分はわからないけど、みんなは喜んでる」と思うとき、俺はそっちのエキスを求めちゃうんです。「ここでウケているものは何なんだろう」と。
アフロ:ああ、うんうん。
椎木:でも俺は俺の作りたいものをやりたいから、大衆にウケるためには何を肉付けしていけば良いんだろうと思っちゃいます。
アフロ:ちょうど良いところがあると思うんだよ。俺とは違う感性の人にも受け入れられて、俺もグッとくるというちょうど良いものが。
椎木:ありますよね。
アフロ:そこを見つけたい。そういう意味じゃ、俺も「どういうところが受け入れられているんだろう」と勉強しなくちゃいけないと思う。
椎木:俺は最近『名探偵ピカチュウ』を観に行ったんですけど、予告でRADWIMPSが音楽を担当している『天気の子』が流れてきたんです。(野田)洋次郎さんはやりたいことをきちんとやって、それが商業映画でドバーンと流れている。それをただ眺めているだけの自分にすごく負い目を感じたというか、なんかすごく悔しかったんです。
アフロ:人間としての野望とミュージシャンとしての野望が別じゃない? 曲がすごく良いな、という思いと別に、男としてイチ人間としてちゃんと仕事をしてる姿に悔しさが湧いたんじゃないの?
椎木:そう! まずそれです。男として悔しかったな。
アフロ:そうだよね。「男として何か成さねばならぬ」みたいな気持ちっていうのがあってさ、本当はそれを丸ごと歌えたら良いのにね。多分、「バンドマンたるもの」とか「ミュージシャンたるもの」というのに呪われているんだよね。そういうの一回辞めてみたら? 俺も辞めようかな。音楽として好きかどうかなんて言わない。イチ男としてみんなに好かれているアイツを羨ましいと思うって。
椎木:そうっすね。本当のことは、そういうシンプルな考えなんですよね。
取材撮影協力=炭火焼 尋 (東京都目黒区上目黒3-14-5ティグリス中目黒II 3F)
文=真貝聡 撮影=高田梓

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

新着