ワッツ・オン・ブロードウェイ?~B
’wayミュージカル非公式ガイド【20
19年6月編】

先月特集したトニー賞の発表まで1週間を切った。前哨戦として紹介した各賞の結果が出揃ったので、今回は前回のような“希望”ではなく、ちゃんとした“予想”をお届けしてみようと思う。そんな前半に続き、後半のリスト部分では久々となる新作紹介も。さらにイベント部分では、『キンキーブーツ』の演出・振付家ジェリー・ミッチェルが始めたチャリティ・イベントを取り上げているので、ぜひ最後までお付き合いいただきたい。
Q.今年のトニー賞は何が受賞すると思う?パート2
まずは、各賞の主な結果を列挙する(個人に与えられた賞も作品名に集約)。
●NYドラマ・クリティックス・サークル賞
・プレイ作品賞:『The Ferryman』
・ミュージカル作品賞:『トッツィー』
・特別賞:『屋根の上のヴァイオリン弾き』(オフ)
●アウター・クリティックス・サークル賞
・プレイ新作賞・演出賞:『The Ferryman』
・ミュージカル新作賞・楽曲賞・演出賞・助演男優賞・助演女優賞:『Hadestown』
・ミュージカル脚本賞・主演男優賞:『トッツィー』
・プレイリバイバル作品賞:『みんな我が子』
・ミュージカルリバイバル作品賞:『屋根の上のヴァイオリン弾き』(オフ)
・振付賞:『キス・ミー・ケイト』
・ミュージカル主演女優賞:『The Cher Show』
●ドラマリーグ賞
・プレイ新作賞:『The Ferryman』
・プレイリバイバル作品賞:『The Waverly Gallery』
・ミュージカル新作賞:『Hadestown』
・ミュージカルリバイバル作品賞:『キス・ミー・ケイト』
●チタ・リヴェラ賞
・振付賞:『Hadestown』
・男性ダンサー賞:『Ain’ t Too Proud』
・女性ダンサー賞:『The Cher Show』『オクラホマ!』
●6月2日:ドラマデスク賞
・プレイ新作賞:『The Ferryman』
・ミュージカル新作賞:『The Prom』
・プレイリバイバル賞:『The Waverly Gallery』
・ミュージカルリバイバル賞:『屋根の上のヴァイオリン弾き』(オフ)
・ミュージカル主演男優賞・作曲賞・作詞賞・脚本賞:『トッツィー』
・ミュージカル主演女優賞:『The Cher Show』
・ミュージカル演出賞:『Hadestown』
・振付賞:『キス・ミー・ケイト』
こうして見ると、みんなで仲良く分け合ってほしかった筆者にとってはやや残念なのだが、新作ミュージカルに関しては割と『Hadestown』一色で幕を閉じそうな気配。というのも、『Hadestown』が作品賞を逃しているのは実は、オフでの初演時に一度ノミネートされているためそもそも対象外だった2賞で、『トッツィー』『The Prom』は言ってみれば“繰り上がり当選”のようなものなのだ。そして『キス・ミー・ケイト』と『オクラホマ!』の二択だったリバイバル作品賞は、オフの『屋根ヴァイ』が強さを見せる中どんぐりの背比べ的な様相も呈しているが、僅差で前者優勢といったところ。プレイ新作賞は、『The Ferryman』(『MOJO』のジェズ・バターワース作)でほぼ決まりと言えるだろう。
ちなみに、評論家や関係者が選ぶ各賞と違ってファンが選ぶため、例年トニー賞とは大きく異なる結果になりがちなので前哨戦とは全く言えないのだが、大手演劇サイトBroadway.comの読者投票による「オーディエンス賞」というのも毎年開催されており、今年は『Be More Chill』が最多の4部門、『プリティ・ウーマン』がそれに続く3部門を制する形となった。トニー賞受賞作に間違い(ハズレ)はほぼないが、数年前の『ファインディング・ネバーランド』のように、トニー賞に無視された「オーディエンス賞」受賞作にも良作はあるので、作品選びのご参考までに。
【今シーズンの新作】
■6月に始まる作品
『ムーラン・ルージュ!』6月28日プレビュー開始/7月25日開幕
バズ・ラーマン監督映画の舞台化。良キャストでトライアウトの評判も上々、期待しかない。
https://moulinrougemusical.com/
■既に上演中の作品
『Ain’ t Too Proud』
『ジャージー・ボーイズ』チームが描くテンプテーションズの軌跡。振付とキャストが最高。
https://www.ainttooproudmusical.com/
『Be More Chill』
音楽、振付、演出から若さがあふれる、オフ発信の話題作。日本人的には微妙な描写も…。
https://bemorechillmusical.com/
『ビートルジュース』
ティム・バートン監督映画の舞台化。原作を知らないとノリについていけない可能性高し。https://beetlejuicebroadway.com/
『The Cher Show』
米歌手シェールの半生を彼女自身の楽曲で綴る系。主演女優賞には食い込むかも?
https://thechershowbroadway.com/
『Hadestown』
ギリシャ神話が題材だが表現は現代的。いかにも『グレート・コメット』の演出家らしい舞台。
https://www.hadestown.com/
『キングコング』
あの、キングコング。ミュージカルというよりショーだと思えば意外と楽しめる。
https://kingkongbroadway.com/
『キス・ミー・ケイト』
今夏『王様と私』で来日するケリー・オハラ主演のコメディ。6月30日までなので急げ!
https://www.roundabouttheatre.org/get-tickets/2018-2019-season/kiss-me-kate
『オクラホマ!』
1943年初演の名作を21世紀の解釈でリバイバル。来年1月19日までの期間限定公演。
https://oklahomabroadway.com/
『プリティ・ウーマン』
名作映画をJ・ミッチェルが舞台化。トニー賞ノミネート0につきクローズは早そう。
https://prettywomanthemusical.com/
『The Prom』
プロム=高校生ものかと思いきやバックステージものでもあり超面白い。応援!
https://theprommusical.com/
『トッツィー』
主演俳優を筆頭に大変チャーミングな舞台。東宝出資中につき、日本版妄想も進む。
https://tootsiemusical.com/
【ロングラン作品】
■日本で既に上演された/されている作品
『アラジン』
ディズニーアニメが舞台ならではの手法で表現された秀作。魔法の絨毯もスゴイ。
https://www.aladdinthemusical.com/
『ビューティフル』
キャロル・キングの半生を彼女自身の楽曲で綴る系。ロングラン6年目、そろそろ下火か。
https://beautifulonbroadway.com/
シカゴ
オペラ座の怪人に次ぐロングラン記録を更新中の名物作。7月1~14日、米倉涼子が登板!
https://chicagothemusical.com/
『ライオンキング』
開幕から20年以上経つというのに、未だ入場率がほぼ毎週100%を超える大ヒット作。
https://www.lionking.com/
『マイ・フェア・レディ』
1956年初演の名作を、渡辺謙主演『王様と私』の演出家がリバイバル。7月7日まで。
http://www.myfairladybway.com/
『オペラ座の怪人』
言わずと知れた世界的メガヒット作。圧倒的な知名度ゆえ、劇場では日本人に遭遇しがち。
http://www.thephantomoftheopera.com/
『ウィキッド』
開幕から15年が経ち、ようやくチケットに多少の余裕が。定期的に観たい傑作。
https://wickedthemusical.com/
■日本未上演の作品
『ブック・オブ・モルモン』
日本では永遠に上演されなさそうだが超絶面白い。モルモン教だけwikiで調べて観るべし。
https://bookofmormonbroadway.com/
『カム・フロム・アウェイ』
「911」の日、カナダの小さな町に起こった実話をシンプルだが力強い演出で描く感動作。
https://comefromaway.com/
『ディア・エヴァン・ハンセン』
深遠なテーマをスタイリッシュに描く、2017年のトニー賞受賞作。絶対日本でやると思う。
https://dearevanhansen.com/
『アナと雪の女王』
舞台ならではの表現が見当たらない残念作だが、満足感は保証する。生レリゴー最高。
https://frozenthemusical.com/
『ハミルトン』
開幕4年目にして未だ超入手困難なモンスター級ヒット作。文句なしに革新的。観るべし。
https://hamiltonmusical.com/
『ミーン・ガールズ』
同名映画の舞台化。なぜか人気。アメリカ的なノリについていける自信があればどうぞ。
https://meangirlsonbroadway.com/
『ウェイトレス』
同名映画の舞台化。完全に女子向け。観るとスイーツが食べたくなります。
https://waitressthemusical.com
【6月のミュージカルイベント】
トニー賞の熱も冷めやっていないであろう6月16日、以前紹介した「ブロードウェイ・ケアーズ」による毎年恒例のチャリティ・イベント、「ブロードウェイ・ベアーズ」が開催される。ベアーズといってもかわいいクマちゃんのBEARSではなくハダカのほうのBARESで、ジェリー・ミッチェルによって1992年に創始された、ブロードウェイスターが何やらとにかく脱ぎまくるバーレスクショー。ついて行けないアメリカ人ノリな気もしつつ、えらく盛り上がるようなので、一度くらい観てみたいと以前から思っている筆者である。

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