今年の『ブラスト!:ミュージック・
オブ・ディズニー』が見逃せない理由
とは? 石川直×米所裕夢×リサ・ラ
イザネック・チャペル

60種類以上の楽器を使って繰り広げられるパフォーマンスショー『ブラスト!:ミュージック・オブ・ディズニー』が2019年7月10日(水)から全国32会場59公演が行われる。

 
日本人初のメンバーとして2000年からカンパニーを支え続け、今回がメインキャストとしては最後の出演となるパーカッショニストの石川直、ソリストとしても活躍するトランペットの米所裕夢、力強く美しい音色に定評のあるトロンボーンのリサ・ライザネック・チャペルの3人に公演にかける思いをたっぷりと聞いた。
入団して20年目、石川直の新たな決意
石川直
ーーまず、石川さんにお伺いします。今回は『ブラスト!』のメインキャストとしてはラストステージだということを発表されました。その決断に至った理由を教えてください。
 
石川:長年いろいろやってきて、『ブラスト!』との仲が一番長かったのですが、今まで培ってきたものを糧に自分が作っていきたいものがあって、そこに力を注いでいきたいという気持ちがありました。卒業なのか、最後なのか、どういう形になるのかは分からないのですが、ずっと自分が温めているものもあって……。それをいつ花開かせるのかと、ずっと長年考えてきたんです。それで、いいタイミングなのかなということで決めました。
ーー2019年を最後にしようと具体的に決断されたのはいつ頃のことなのですか。
石川:流れですね。
ーー入団して20年目という節目も関係ありましたか。
石川:気がついたら20年というところはありましたね。ふわっと、そうなった感じです。
ーー石川さんは、本公演後は「違う形で支える」ということですが、まだ具体的なプランはオープンにされていないのでしょうか?
石川:求められれば力になりたいという感じですかね。クリエイションなのか、指導なのか、はたまたパフォーマンスに関与する部分なのか、分からないですけど。
多くのお客様は僕を「『ブラスト!』の石川」として認識してくださっている方が多い。僕が『ブラスト!』と切り離されるとどうなってしまうのかなと思うんです。もちろん『ブラスト!』というのは僕の中でものすごく太い軸であり、柱でもあるのですが、「永遠にやり続けるかどうか」という質問を自分に投げかけた時に、必ずしも答えがYESではないことが多かった。
 
『ブラスト!』では非常にたくさんのものを学ばさせてもらったし、人間としてのたくさんのものを吸収させてもらえた環境でもありました。けれど同時に、それまでに出会ったものを自分が面白いと思う形に落とし込んで膨らませていきたいという気持ちもずっとあって。生半可で中途半端な状態ではできないので、一つの決意みたいなことが必要なのかなと思いました。
ーー20年を振り返っていただいて、一番の『ブラスト!』の大変だった思い出は?
石川:……それこそ20年前ぐらいの話ですが、舞台から落ちて、手を骨折したことがありました。思うように自分のパフォーマンスができなかったので、大変でしたね。片手にギブスをして、片手で叩いていました。
米所:え! 公演に出ていたんですか?
石川:うん。
米所:す、すごいですね。
石川:システムがまだ出来上がる前で、役代わりがいなかったんですよ。それ以上悪化させないで、頑張ってくれと言われて(笑)
「マーチングをやってきた年数の全てに直さんという存在がいた」
米所裕夢
ーー次に米所さんに伺います。石川さんが今回でラストと聞いた時の思いを教えてください。
米所:僕が直さんのことを初めて知ったのは中学生の頃でした。中学2年生の頃、初めて『ブラスト!』を見て、ああ、本当にすごいなと思ったんです。アメリカ人の中に、ただ一人の日本人がいて、しかもセンター。ただただすごかった。僕はミーハーなので「石川直さんだ! サインもらおう!」という状況からスタートしているんです。高校を卒業した翌年、僕は『ブラスト!』とはまた違う場所でお手伝いしていたのですが、そこに直さんがゲストで来て。そして『ブラスト!』に入って、ご一緒させてもらって。
 
小っ恥ずかしい部分もあるのですが、僕がマーチングをやってきた年数の全てに直さんという存在がいた。『ブラスト!』に入ってからは、いろいろなところで助けてもらいましたし、美味しいお酒もいっぱい教えてもらいました。公私ともに一緒にたくさん旅をしてきて、楽しい時間を過ごしました。
 
だから、事前に少しは聞いていたのですが、今回が直さんのラストだというニュースが流れた時、すごくショックがありました。でも、一緒に演奏できるのも今回が最後かもしれないので、今は楽しみたいな、一緒に盛り上がりたいなという気持ちが強いです。
ーー米所さんにとって、石川さんはどんな存在ですか? お兄さんのような存在ですか?
米所:色々教えてもらいましたし、色々助けてもらいましたし……お兄さんと言っていいですかね?
石川:いいよ(笑)
米所:よかった(笑)。プロモーションやリハーサルなど色々含めくると、半年近くご一緒させてもらうんです。真面目な話もたくさんしましたし、しりとりとか(笑)、くだらないことを一緒にしたり。たまに厳しいことを言っていただいたり。いろんな面で頼っています。
「パフォーマンス以外でも直の存在は大きかった」
リサ・ライザネック・チャペル
ーーリサさんはいかがですか?
リサ:直にとってラストツアーということで、とても悲しいです。直のドラムのソロの部分はパフォーマンスのコアな部分でもあります。『ブラスト!』といえば、直のドラムといっても過言ではないでしょう。そして、パフォーマンス以外の面で、直の存在は大きかった。アメリカ人キャストと日本人キャストの間の橋渡しといいますか、キーパーソンになってくれていて、言葉の壁を越え、スピーディーに色々なことをやってくれていました。なので、直がいなくなった時に、そういう部分はどうなるのか、ちょっと思いますね。
 
石川:リサ、もう一回言ってくれる?(笑)
ーーリサさんにとって、石川さんはどんな存在ですか?
石川:トラブルメーカー、かな?(笑)
リカ:尊敬していますよ。パフォーマーとしてはもちろんなのですが、プロモーション活動も含めてご一緒させていただくので、本当に大きな存在です。……そして、トラブルメーカーですね(笑)
前回をブラッシュアップさせた公演!「想像が膨らんで楽しみです」
石川直
ーーでは、改めてこの『ブラスト!ミュージック・オブ・ディズニー』は、初演作品(2016年)をどのようにブラッシュアップするのでしょうか?
石川:ブラッシュアアップされたものがどうなるのか、実はまだ僕らも分からないです。
ただ、曲順が入れ替わったり、新曲が入ったりはするでしょうね。2時間のプロダクションを一つの流れで見て、何を残し、何を入れ替えるのか。残す部分に関しても、初演から時間を経て、クリエイターたちもやる側も温めてきていることがあるでしょうし、想像でしかないですが、明らかによくなっちゃいますよね(笑)。想像が膨らんで楽しみです。
ーーディズニー版の初演の思い出を教えてください。
米所:骨組みからみんなで作っていく経験をさせてもらいました。本当にバタバタと進んでいった1ヶ月半で、気がついたら初演の日という感じです。受け入れてもらえるか不安もあったのですが、幕が開けると、お客さんがすごくテンション高く受け入れてくれて。終演後も「良かったです」という声をたくさんいただきました。すごく喜んでもらえてとても嬉しかったことを覚えています。
ーーリサさんは初めて日本公演に参加されたのは2012年。47都道府県を巡った経験もございますが、日本の観客の印象を教えてください。
リサ:アメリカと比べると礼儀正しいですね。アメリカはノリノリですが、日本のお客さんは静かに楽しんでいる印象です。
リサ・ライザネック・チャペル
ーー過去に印象的だった公演はありますか?
リサ:2017年に広島に行ったときですね。特別なパフォーマンスでした。
石川:そうですね。ちょうど原爆が投下された日に、広島で公演があったんです。日本人とアメリカ人が、『ブラスト!』という一つの幸せな空間を作るパフォーマンスをやった。リサもきっと感慨深かったのだと思います。
ーーリサさんは今、日本に住んでいらっしゃいますが、もう慣れましたか?
リサ:日本、大好き!(日本語で)
石川:ビールがでしょ?
リサ:あはは。人も文化も食事も大好きよ。
ーー今回の公演について楽しみにしていることや見どころを教えてください。
リサ:まず新しい曲が加わることにすごくワクワクしています。毎年バージョンアップして、ブラッシュアップして、いい公演になっていくと期待しています。
米所裕夢
ーー最後にどんな方に見てほしいか、一言お願いします!
石川:人間であれば誰しも見に来ていただきたい(笑)。来ていただいた皆様には、時空間を楽しんでほしいし、エネルギー活力を感じ取ってほしいです。皆様と時間空間を共有することで、いい相乗効果を生むことが僕らパフォーマー、エンターテイナーの使命だと思っています。その相手は誰でもいいですし、むしろ誰しもであるべきだと思うんです。ということで、人間であれば、全員集合!(笑)
米所:3回目のツアーに呼んでもらえるのが嬉しいので、頑張ります! いろいろ変わっているので、より日本人のお客さんに喜んでもらえるショーづくりになるのではないかなと思います。一度と言わず、何度も足を運んでもらえたらと思います!
リサ:『ブラスト!』のファンの皆様にはもちろん見にきていただきたいですし、初めて来られる方でも、本当に楽しいショーで、いろいろな楽器の見せ場があるのでそれらを堪能していただきたいです。とにかく皆さんに絶対楽しんでいただけると思いますので、ぜひ!
リサ・ライザネック・チャペル、石川直、米所裕夢(左から)

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