kyo(D'ERLANGER)

kyo(D'ERLANGER)

“こいつらとなら絶対にでかくなる”
という想いしかなかった

もともとのバンドのイメージがあって、それを変えるというのは入る側としても迎える側としてもすごく覚悟がいることだったのでは?

リスクのことを考えるような年齢じゃなかったのもあって、“こいつらとなら絶対にでかくなる”という想いしかなくて。失敗するイメージは何ひとつなかったんでしょうね。だから、よく“普通は逆じゃない?”って言われるけど、バンドの活動拠点だった京都に行くのも全然怖さはなかったし。やっぱり成功する夢しか見てなかったんだと思う。

そこは小さい頃から変わらない部分ですね。

思い込みの激しい子で良かった(笑)。あんまりマイナスなことって考えないもんね。慎重そうに見えて、慎重じゃないという。

努力は必要だったと思いますけど。

でも、ちゃんと努力をし始めたのはもうちょっとあとだったかな。その時は勢いだけで行けると思っていたというか。どちらかと言えば、“ロックなんだから練習なんかしてんじゃねぇよ”的な感じでしたもん(笑)。

(笑)。初めてD'ERLANGERとしてステージに立った時のことは覚えていますか?

ドキドキしましたね。大阪バーボンハウス(1990年に閉店)と目黒鹿鳴館でライヴをしたんですけど、大阪が先だったんですよ。僕は関東圏でしかライヴをしたことがなくて、大阪では初めてだった…要するに無名なわけで。でも、D'ERLANGERは有名なわけですよね。“どうなるんだろう?”って思っていたんだけど、結構温かく迎えられましたね。

D'ERLANGERは1990年にメジャーデビューするわけですが、よく覚えているエピソードはありますか?

BMGビクター(現在のソニーミュージックレーベルズ)からCDを出すことが決まって、レコーディングが始まるんですけど、プロデューサーがコンピューターを持って来ていたんですよ。“えっ? レコーディングなのに? あっ、空き時間にゲームをするんだな”って思ったのをすごく覚えています(笑)。当時は今みたいにレコーディングでパソコンを使ったりすることがあまりなかったんですよ。あとは、デビューをする時に全国ビデオコンサートでいろんなところを回ったんだけど、それがすごく印象に残ってる。駆け足であれよあれよという間に大きな渦に入って行って、浮足立っていた気がします。

そして、D'ERLANGERはその年末に解散。kyoさんはソロやいろいろなバンド活動を行なっていましたが、2007年にD'ERLANGERが再結成するまでの17年間を今改めて振り返るとどういった期間でしたか?

その時その時の全てが真剣だったし、ひと言で片付けちゃうと関わっていた人たちに対して失礼かもしれないんだけど、体力を付ける期間だったんだと思うな。自分がその先にもシンガーとして立っていくためだったりとか、“自分が理想とするバンドのシンガーになれるように”というのがどこかにあったんじゃないかなと。そういう意味ではDIE IN CRIESは成功しましたけども、どこか肩に力が入っている部分もあったし。でも、あそこでできた経験のおかげで自分の欲が広がったというか。今こうやって新しいアルバム『roneve』ができたことを考えると、ここに来るまでの体力を付けるために必要な期間だったのかな。それこそ、練習をし始めたのもその頃でしたね。

やはりバンドという形態に思い入れがあるのですか?

ありますね。ソロをやったから余計に思うけど、D'ERLANGERが解散してDIE IN CRIESをやって、そこも壊れて、やっぱ大変だなって。だから、もうちょっと自分のエゴだけで自由にやってみようって思ったのがソロだったんだけど、案外それだけでしかなかったんです。僕の場合は自分の音楽的才能をフルに発揮するためのソロじゃなくて、欲張りにミュージシャンをチョイスしたものだったんですね。だから、そこで知らなかった音楽を知るっていうプラスになるものがいっぱいありましたけど、やっぱりバンドで音を出すことに対する憧れのほうが強かったです。ソロの最後の作品(2001年5月発表のアルバム『SUPER CREEPS』)は、その時のツアーのメンバーと曲を持ち寄って合宿をしてレコーディングをしたんですけど、根本にある“ロックはバンドだ”という意識の表れだったんじゃないかと思いますね。

OKMusic編集部

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