『LINDBERG III』から考察する
LINDBERGの軌跡とその勝因
作品に宿る彼女たちの意気込み
《誰もがみんな口を揃えて/無駄なことだと 白い目で僕を見るけど》《小さな翼は びくともしない/夜の向こうにある 未来探すよ》《小さな翼が 僕を呼んでる/涙の向こうに 未来探すよ/強い雨の日も びくともしない/明日を信じて 飛び続けるよ》(M1「LITTLE WING ~Spirit of LINDBERG~」)。
バンド名の由来でもある、1927年に大西洋単独無着陸飛行に成功したCharles Augustus Lindberghになぞらえながら、周りからどう見られようと前へ進もうとする決意がそこにある。しかも、それは能天気でノープランな挑戦ではなく、《夜の向こうに》や《涙の向こうに》とあることから、挫折を理解した人の弁であることも分かるし、そこまでの彼女たちの歩みを重ねると実に味わい深い歌詞である。さらには──。
《6月の雨さえ いつかあがるから》《It's A Rainy Day 明日こそは/靴音はずませ 天気になる/あの子の心も 天気になる/私の瞳も 天気になる》(M12「RAINY DAY」)。
と、アルバムのフィナーレで“いつか雨はあがる”と言っているのも清々しいところだ。
《忘れないで授業ぬけだし/二人で見た限りない空/忘れないで負けそうなとき/臆病にならないで》(M10「忘れないで」)。
《Ready Go! 普段着で/今すぐに/行けるよ 夢の向こうに!》(M11「READY GO!」)。
ロストラブソングと思しきM9「SILVER MOON」がある一方で、上記のようなポジティブシンキングがLINDBERGの特徴であると言えるが、それもM1「LITTLE WING ~Spirit of LINDBERG~」に見出せる、わずかな後ろ向き──言わば1パーセント以下のネガティブさがあることで余計に溌剌とした印象になっているのだろうし、だからこそ多くのリスナーの心に響いたのだろう。