IL DEVU インタビュー オリンピアン
との夢の共演が実現『JOCオリンピッ
ク教室校外編 IL DEVU & オリンピア
ン スポーツと音楽の祭典』

JOCオリンピック教室校外編として、オリンピックに出場したアスリート(オリンピアン)と、人気急上昇中の男性オペラ歌手ユニットIL DEVUが夢の共演を果たすコンサート『JOCオリンピック教室校外編 IL DEVU & オリンピアン スポーツと音楽の祭典』が、7月27日(土)東京都文京区の文京シビックホール 大ホールで開催される。
JOCオリンピック教室は、オリンピックに出場したアスリート=オリンピアンが講師役を務め、中学2年生を対象に2011年に始まった。運動と座学の2時間を通じて、自らの経験やオリンピックの価値を伝えると共に、オリンピックに出場することが全てではなく、目標や夢に向かって諦めずに努力するその過程の大切さを伝える、オリンピック・ムーブメント事業として展開されている。
今回はその校外編として、総重量500㎏の5人のオペラ歌手&ピアニストのユニットが繰り広げるダイナミックな歌唱、あたたかいハーモニーが喝采を集めている「IL DEVU」のコンサートと、水泳の伊藤華英、バレーボールの大山加奈、フィギュアスケートの小塚崇彦、陸上競技の髙平慎士といったオリンピアンの、オリンピックの見方を変える熱いトークとが融合する、大注目の企画となっている。
そんなオリンピアンとの共演を前に、「IL DEVU」のメンバー、テノールの望月哲也と大槻孝志、バリトンの青山貴、バス・バリトンの山下浩司、ピアノの河原忠之が、スポーツと音楽の祭典出演への意気込み、またそれぞれのオリンピックの思い出などを語ってくれた。
■オリンピアンに感じる尊敬とシンパシー
ーーオリンピアンと共にというコンサートの話を聞いていかがでしたか?
山下:普段一緒にお話できる機会のない方達とご一緒できるというのはとても素敵なことで、構成などについてはこれからなのですが、とてもワクワクしています。
青山:まだ実感が湧かないと言いますか、自分に何ができるのか、一生懸命歌うことしかできないのですが、滅多にない機会だと思いますので精いっぱい頑張りたいと思います。
大槻:何故僕たちにお声をかけていただけたのだろう、五輪だから五人の僕たちなのかな?(笑)と思ったり、僕たちNHKの番組で五人で違う色の羽織を着て歌ったことがあるので、もしかしたらそれが原因で選んで頂けたのかな? と(爆笑)。でもとても光栄なことだと思っています。
望月:背負っているものは違うのですが、我々もオペラ歌手として、夢は世界を相手に闘いたい。例えばヨーロッパの劇場で外国人の人たちと一緒に同じ舞台に立って、共演して、音楽で勝負ではないですが対話をし、同じように創っていくことをしていると、アスリートの方達が国を背負ってやられている精神状態と、自分の気持ちとしては通じるところがあるのではないかと。舞台に懸ける想いや、思い入れのある役、そういったものをやる時にはとても神経を遣いますので、そんな緊張感にはオペラ歌手とアスリートの方達とに共通するところもあるのかな? と思っています。
ーーご出演されるオリンピアンの方で、特に思い入れのある方はいらっしゃいますか?
河原:今、望月が言ったことにも重なるのですが、我々も日々鍛錬を続けていても、本番の一瞬で結果が出てしまう世界なんです。もちろん音楽は点数化されるものではないのですが、舞台で良い声を出すか出さないかで、評価が分かれてしまう。そういった意味ではおこがましいのですが、通じるところがあるなと。でも僕たちにはアスリートの方達に比べたらすごく甘いところもあって、良い声、良い音を出す為には「食べなきゃ!」と(笑)自分に都合の良いように甘くしてしまうのですが(笑)、そういった面でもアスリートの皆さん、いま参加が決定しているお三方共に素晴らしい方達だと思います。中でも個人的に僕たちの世界に近いな、と思うのが芸術点のあるフィギュアスケートなんです。技術点と共に芸術点でバッと点数が上がる。あれはクラシック音楽で良い声を出して、良いオーケストラで大きな拍手がいただけることと似ているのかなと思います。ですからフィギュアスケートは昔から良く観ていましたし、ファンでもあるので小塚崇彦さんのお話は是非伺いたいですし、それによってこちらも襟を正したいと思います。
青山:僕は運動なども全然しないですし、できないのですが、スポーツをテレビで観るのは大好きで、オリンピックもよく観ています。その中で僕もフィギュアスケートにとても興味がありまして、特に数年前から歌詞のついた歌で滑っても良いという風にルールが変わったので、それによって何か影響があるのか、ですとか、音楽の盛り上がったところでジャンプ等をすることを、どういう感じでやっていらっしゃるのかをお訊きしたいです。

■世界情勢に関わりなく人と人がつながれる音楽とスポーツ
ーーお話にも次々に出ていますが、皆さんも日々の鍛錬で音楽を極めている方達として、オリンピアンの皆さんに共感する点、またこれまでのオリンピックで印象的な思い出などはありますか?
望月:冬のオリンピックの話に集中してしまうようで申し訳ないのですが、2010年バンクーバーオリンピックをやっていた時に、浅田真央選手がトリプルアクセルを決めるか決めないか、という大きな注目が集まっていましたよね。僕もちょうど2010年の3月に初めて、自分の中で長い間の憧れだったプッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』のロドルフォ役に挑戦したんです。それまでにも何度かオファーはあったのですが、2時間を通して満足する声が出るまではやってはいけないと思っていたので、いよいよ挑むとなった時に、僕はテノールですから高い音でひっくり返ってしまったりしたら一瞬でお客様はガッカリされてしまう。その緊張感を、ジャンプひとつを成功させたら拍手喝采ですし、転んだらお客様が失望してしまうプレッシャーを抱えている浅田さんに重ねていたなということを、今回の機会に改めて思い出しました。
大槻:1998年の長野オリンピックの時に、世界5都市で同時にベートーヴェンの「第九」を歌ったんです。その時僕はメイン会場で、小澤征爾さん指揮の合唱で歌っていて。ですから2020年の東京オリンピックでもそういったスペシャルなイベントがあるのではないかな? と楽しみにしています。
青山:小さい頃からオリンピックのテーマ曲をすごくよく覚えていて。1984年のロサンゼルスオリンピックでジョン・ウィリアムズのテーマ曲に大変感動し、こんなに感動を与えられる音楽って凄いな! と思いました。それから僕は東京都の府中市に住んでいるのですが、1964年の東京オリンピックでの「50キロ競歩」の折り返し地点の記念碑が建っているんです。その前をいつも通りながら過ごしていたので、2020年の東京オリンピックでもまたこうした、新たな歴史が創られるんだなと思うと感慨深いです。
山下:開会式の色々なことを覚えています。1992年のバルセロナオリンピックの時にアーチェリーの矢を飛ばして聖火が点火された時のことや、2012年のロンドンオリンピックでロンドン交響楽団とローワン・アトキンソンさん演じる「Mr.ビーン」が出ていた時のことなどが強烈に記憶にあります。そして、アスリートの皆様は例えばジャンプの角度や、走る時の身体の角度など、とても細かいところを日々考えながらやっていらっしゃると思います。それは歌も一緒で、この音を出す時にはこうというものが、どんな時にも自然にできるように訓練していくところが、共通点なのかなと漠然とですが思っています。
河原:僕たちのレパートリーに三好達治さん作詞、木下牧子さん作曲の「鴎」という曲があります。その中で「ついに自由は彼らのものだ」という歌詞が繰り返されていて、そうとは書かれていませんが、戦争のことが語られていると言われています。僕たちもそういう気持ちで歌っていて、イル・デーヴのレパートリーとして僕は素晴らしいと思っているのですが、その曲を色々な合唱団が集まって歌うという現場で、中国の人が歌ったんです。しかも暗譜で。もちろん彼らはそれがどういう意味かわかっていると思いますし、いま、近隣諸国との関係が何かと不安定な状態のなかで、とても伝わるものがあって泣いてしまいました。やはりスポーツと音楽だけは、世界情勢がどうであろうとも、誰しもがつながれるものなのではないかと思います。どこのオリンピックを観てもそれはいつも感じますし、韓国と北朝鮮とが共に入場行進をしているのを観ても、人と人、国と国とがつながれるものなんだと感じています。
ーーそうした、音楽とスポーツの方達が出会う素晴らしい機会ともなりますが、最後に改めて意気込みを。
河原:僕たちは活動して8年目に入るのですが、今までにやったことのないコンサートですし、オリンピックで活躍されてきた方達のお話が聞けるというのは凄いことだと思います。その中で我々がどう絡んでいけるのか不安もありますが、多くの方達に音楽の素晴らしさを知っていただけるチャンスでもあると思うので、心して頑張りたいと思っています。
IL DEVU
現在、「春に」「いのちの歌」「見上げてごらん夜の星を」「スマイル」「栄光の架け橋」「バルセロナ」等の歌唱が予定されている(追加、変更の可能性あり)IL DEVUのコンサートと、発表されているオリンピアン3人の他にもアスリートが出演予定で、2020年東京オリンピックに向けて、ますます期待の高まる催しとなりそうだ。

取材・文・撮影=橘 涼香

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