L→R 大武茜一郎(Vo&Gu)、良原涼太(Dr&Cho)、戸田源一郎(Ba&Cho)、カニユウヤ(Gu)

L→R 大武茜一郎(Vo&Gu)、良原涼太(Dr&Cho)、戸田源一郎(Ba&Cho)、カニユウヤ(Gu)

【突然少年 インタビュー】
僕らがやんちゃしているところに
人を巻き込んでいきたい

日常の喜怒哀楽や
心が動いた瞬間をとらえたい

今作が出来上がってみての心境はいかがですか?

カニ
もちろん全力を注いで作ったんですけど、やっぱり音源に100パーセント満足できることは一生ないって思ってるんで、いかに近付けるかっていうことをやりたくて。音楽を聴くのは好きだけど、自分が作ったのを聴く時は純粋な聴き方ができないから、客観的に“どんな聴き方をしてくれるのかな”っていうのが楽しみですね。
良原
今しか出せない一枚が完成したと思います。友達ができたりとか、そういうバンドの流れも詰め込むことができました。
大武
これまで出した音源はあんまり日常で聴くことがなかったんですけど、初めて自然と聴いてます。自信というか、自分にとっての希望というか。これまでやってきたことと、これからに向けて “よし、やっていこう”って思えるものが完成したのは良かったなって。今まで出会った人に手紙を渡すみたいに届けたいし、ライヴで今の自分たちを観てもらいたいっていうのは変わりがないので、この手紙を受け取って初めてライヴに来てくれる人がいたら素敵だなって。そういうことを思い浮かべています。
戸田
今回は大阪の四ツ橋LMスタジオで、エンジニアの須田一平さんと一緒にレコーディングをしたんですけど、僕らのいろんな想いに応えてくれたので、考えていることをすごく丁寧に表現できたと思います。“こんなにやってくれるの?”ってくらい、お父さんのようにサポートしてくれて。やりたいことは日に日に増えていく一方なんですけど、このアルバムができるまでに自分たちが考えてきたことを一平さんと話し合うことで落とし込めました。

戸田さんが作詞作曲を手掛けた曲がたくさんありますよね。日記を読んでいるような歌詞だなと思いました。

戸田
僕たちはまだバンドだけで食っていけないので、夜勤のバイトをしたりしているんですけど、そういう毎日の中で関わる人がたくさんいて。夜勤って個性的な人が多いんですよ。

「50歳」もそうですよね。

戸田
はい。この曲は悪さばっかりしているバイトの先輩のことです。みんな訳があって働いている人が多いので、考えることがすごくいっぱいありますね。そういう人たちにやさしくしてもらったこととか、“なんであんなに怒られたんだろう?”とか、そういう喜怒哀楽や心が動いた瞬間をとらえたいんです。現状で言葉にできることを表現できたんじゃないかなと思います。

曲作りはどんな流れでやっているんですか?

戸田
僕がコードと歌詞を持って行って、スタジオでメンバーと細かくかたちにしていってます。僕が食材を用意して、それを調理してもらっているような感覚。いい料理になるために、なるべく新鮮でいいものを持って行かないとって思ってます。

「サマータイムストレンジャー」の言葉にできないもやもやした気持ちは最後まで続いているように感じたんですけど、これを1曲目に選んだ理由はあるんですか?

戸田
何事も人それぞれの考え方があると思ったら、ありふれすぎてて迷うことばかりだけど、それってバンドをやってたらずっと直面することなんだなって。死ぬまで答えを探していく、それをずっと楽しくてやっていきたいなと思ってます。だから、自分が何を感じているのかも、この子のことが好きなのかも分からないってことも、何も分からないっていう気持ちを書いた「サマータイムストレンジャー」を1曲目に選びました。

“理由は分からないけど、胸は高鳴っている”状況を曲にするのって突然少年の真骨頂でもありますよね。ライヴでずっとやってきた「火ヲ灯ス」も入っていますが、新鮮味がある楽曲もたくさんあって、特に「(ぼくの)町」では最後のフェードアウトするところが意外だなと思ったり。

カニ
一発録りで曲を通してやった時に自分のエフェクターが踏みっぱなしで、何となくフレーズがつながっちゃったんですけど、その時にみんながセッションで合わせてくれて。“こんな感じもカッコ良いから、やってみようか”みたいな。結果として期待を裏切るから、至らない終わり方、解決し切れない音になったんじゃないかなと思いました。

途中の独唱っぽいメロディーにも驚きました。大武さんは歌ってみてどうでしたか?

大武
新鮮味はめちゃくちゃありました。それにどの曲もフレッシュで。人の日記って読んじゃいけないけど、すげぇドキドキするじゃないですかとだげん (戸田の愛称)の歌詞にはそんな気持ちがあって、どんな曲なのかなって考えながら歌いました。とだげん自身じゃない誰かがたくさん出てくるんですけど、会ったこともないのに一曲一曲人物が頭に浮かんできて。その人に向けてだったり、その人になり切って歌うのは今までになかったことなので、最初はそれにどう気持ちを乗せていいのか考えたりもしたんですけど、自分でイメージするようになってできるようになりました。
戸田
自分に関わる人を登場人物にするのは、今表現したいことに近かったりするからってだけで。例えば僕と「50歳」のおじさんの関係なんて全然理解してほしいと思っていなくて、もちろんその人自身にも“ありがとう”って伝えたいんですけど、似たような人に出会ったり思い浮かぶことがあればいいなって思いますね。

サウンド面の鋭さは変わらずにありつつも攻撃的ではなくて、周りを巻き込もうとしている感じがするんですけど、今後“こんなバンドになりたい”っていうイメージはありますか?

カニ
川の下流のゆっくりした流れみたいな、小さい子供でも入れるし、おじいちゃんが釣りをしに来ることもできるっていう存在にもなりたいし、鉄砲水みたいな突拍子もないこともできるバンドになりたいですね。
良原
とだげんが料理に例えて話してたんですけど、一種類しかないラーメン屋だったとしても、日によって素材の配分を少し変えてみたりとか、土台はシンプルにしながらも観るたびに違いを感じられて、発見があるようにしたいですね。
大武
ライヴが終わったあとの悔しい気持ちとか真っ白になるくらい呆然とした感じを、たまにお客さんも同じように感じてくれているんじゃないかなって思う時があって。そういう巻き込み方をしたいというか、一喜一憂する感じ…ライヴって楽しいだけじゃないから、その日その日の感情に関わった人たちを巻き込んでいけるバンドであり続けたいと思っています。
戸田
ずっと変わらないものを探していきたいなって。僕らのバンドは高1からずっとやってるんですけど、“それ以前の小さい頃から変わらないものってなんだろう?”っていうのもずっと探していきたいし。あとは、“ずっと楽しくやりてぇな”っていうのしかないなって気持ちもあります(笑)。みんなでふざけたりやんちゃするのって楽しいけど、他の人が馬鹿騒ぎしたりやんちゃしてるのに僕らは入れないんですよ。横から混じって主導権を僕らが取ることはできないけど、自分たち4人のやんちゃしてる感じをどんどんいろんなところで浸透させていきたいなって思います。一緒に巻き込んで、何が楽しいのかを考えていきたいなって。それを見て楽しいって思ってくれる人がいたら最高だし、そんなふうにずっと遊んでいたいっていうのがありますね。

取材:千々和香苗

アルバム『Thank you my Friend and my Family』2019年4月17日発売 P-VINE
    • PCD-18030
    • ¥1,944(税込)

ライヴ情報

『SEMENTOS presents「サンキューガッツ」』
4/20(土) 東京・新宿NINE SPICES
w)SEMENTOS、MEAT EATERS、quizkid

『TOASTED TWO』
4/26(金) 静岡・TOAST BRO
w)qujaku 、DJ:ジミー山下(MIND JIVE)

『泣き虫戦隊エノシマックス』
4/28(日) 神奈川・江ノ島オッパーラ
w)ニトロデイ、betcover!!、Mom、リツキ、クレマチス

『1st ED 『ヴァージン・スーサイズ』発売記念♡東京初期衝動処女達の春休み』
4/29(月) 東京・下北沢SHELTER
w)東京初期衝動

『Higher Ground』
5/03(金) 高知・CARAVAN SARY
w)マタノシタシティー、Bomb Head-307、SAFARI-LiFE

突然少年 プロフィール

トツゼンショウネン:2012年に高校の軽音楽部で結成されたロックバンド。全国各地でアツいライヴを展開しながら、時にはマラソンに挑戦したり、米農家で田植え&稲刈りをするなど音楽以外の活動で身も心も鍛え続ける。『FUJI ROCK FESTIVAL』の新人登竜門ステージ『ROOKIE A GO-GO』で勝ち抜き、『FUJI ROCK FESTIVAL '19』のメインステージに出演。20年7月に岩本斗尉(Dr)の加入を発表した。突然少年 オフィシャルHP

「22歳のやくそく」MV

OKMusic編集部

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