天月-あまつき-「みなさんと出会えて
本当によかった」 全国ツアーファイ
ナル・片柳アリーナ公演をレポート

Loveletter from Moon~Winter Tour 2018-2019~

2019.3.30 東京・片柳アリーナ
天月-あまつき-(以下、天月)が、昨年末からスタートした全国ホールツアー『Loveletter from Moon~Winter Tour 2018-2019~』のファイナル公演を、東京・片柳アリーナにて開催。総動員数2万人という過去最大規模のツアーの最後に、単独では初めてアリーナに立った天月は、正真正銘のエンターテイナーだった。
「今日はここでしか見られない物語を、一緒に歌って踊って楽しむぞー!」
『Loveletter from Moon』と題し昨年8月に行った初の日本武道館公演と同じく、天月考案のキャラクター・正宗くんのアナウンスから、ファンタジー映画のようなオープニングムービーへ。今回は、どんな胸躍る展開が待ち受けているのだろうか。
ステージ中央、ナポレオンジャケットをまとった天月が後ろ向きのまま歌い出したのは「アストロスト」。武道館公演と今回のツアーを経て得たものがたくさんあるからこそ、その歌声も、「今夜、君の世界を変えに来た!」という言葉も力強く響く。
と、ここまでは武道館公演と同じ流れだったが、以降の構成は大幅にチェンジ。「きみだけは。」では、<ねえ、連れだして>というフレーズをオーディエンスが大きく叫んで、「ツアーファイナル、素敵な日になる予感がしています!」と笑顔を見せる天月。大きな会場いっぱいに詰まったオーディエンスが持つペンライトに灯る、天月のイメージカラー・赤の色もとてもきれいだ。
天月-あまつき-
なかなかどうして手紙を書くことができない、というコメディタッチの映像をはさみ、白と黒のストライプジャケットに着替えた「かいしんのいちげき!」からは、ダンサー6名と一緒になって、歌う天月も軽やかにステップを踏んだり、チアのポンポンを振ったり、ダンサー陣と連なってのイモムシダンスやラインダンスで沸かせたり。「変なタイトルのシングルを(笑)、ツアー中に発売しまして……たくさんの方に手に取っていただくことができて本当にありがたいです!」と前置きして歌った、自己最高となるオリコン週間シングルランキング2位を獲得した「恋人募集中(仮)」のカップリング曲「恋に溺れて」では、ダンサーがコミカルなパフォーマンスで楽しく彩ったり。天井と壁面の上部に青空が描かれた開放的な会場に、賑やかで華やかなショウがよく似合う。同じく「恋人募集中(仮)」のカップリング曲であるアッパーな「STARTRAiN」が新たな風を吹き込み、「小さな恋のうた」で恒例の大合唱が巻き起これば、一体感がどんどん増していく。
一転、正宗くんのアナウンスからオーディエンスがペンライトを消して聴き入ったのは、紗幕に影絵が映し出された「僕のことなら忘れてくれていいよ」。オーディエンスそれぞれが好きな色をペンライトに灯して心をつないだ「ツナゲル」、10個の球体が弧を描くようにステージを飾った「Flight Light ~星くずとBoeing~」にしても然り、現実から離れて没入できる空想感や幻想感、歌や言葉ににじむ人を想う温かな優しさまた、天月らしさだ。
そして、たったひとりで生放送を始めたころの純粋な気持ちを忘れたくないという想い、ファンへの愛と感謝と誓いを込めて、ピアノを弾きながら歌った「キミトボク」。何度歌ったって天月が気持ちをあふれさせるから、こちらも何度聴いたって心が動いてしまう。
かと思うと、レーザーライトが飛び交った「マリオネットラヴァーズ」、赤のライトにステージが染まった「ヒロイックシンドローム」では、先ほどとはまるで別人のようなアグレッシブモードに。彼の多彩な表現力と表現欲がぎゅぎゅっと詰まったワンマンライブは、とても刺激的だ。
天月-あまつき-
さらには、“クリスマススペシャル”と銘打ったツアー初日の神奈川・相模女子大学グリーンホール公演の脚本を担当し、今ツアーにゲスト出演もしている盟友・はしやんが登場して、「ロキ」へ。鋭すぎるラップをたたみかけたり、歌詞に合わせてセルフィーを撮ろうとしたりと奔放なはしやんとのかけ合いを楽しむ天月。楽曲内歌詞にある“声が出ません”どころかとんでもないハイトーン&ロングトーンで圧倒する天月に、はしやんが「出てる!」とツッコんだり、なんて息ぴったりなんだ! その後のMCでははしやんが即興ラップを披露、ムチャブリされた天月もオーディエンスから「かわいい!」をもらうなど、実にスペシャルな時間となった。
その上で、「僕はこれからも、求めてくれるみなさんに向けて歌っていきます」と決意して本編最後に届けてくれた、「イデア」と「君が僕の心に魔法をかけた」。「歌が好きでよかった。君に出会えたから!」という心からの叫びにしても、彼の歌や言葉には混じりけがないから胸を打たれる。
アンコールでは、「恋人募集中(仮)」で天月がトロッコに乗ってアリーナ通路をぐるりと周るサプライズ演出も。銀テープが弾け飛び、オーディエンスの大きなクラップ&シンガロングに包まれた「ホシアイ」にしても、そこに満ちていたのは多幸感だ。
また、マナーを守りお互いを気遣いながら楽しむオーディエンスに敬意を表し、親交のある同志たちや信頼するバンドメンバーとの縁と絆をしみじみと語った天月。人や人の想いを大事にするから、天月は多くの人を惹きつけ、愛されるのだろう。
「みなさんと出会えて本当によかった。ありがとう! これからもっともっと僕は楽しいことをしたいと思うので、よかったらまた一緒に遊びましょう!」
晴れやかな笑顔であらためて感謝を口にし、再びの大合唱が重なった「Hello,My story」でツアーをしめくくった天月。4月下旬リリースのあほの坂田。(浦島坂田船)のソロアルバム『キミに伝えたいこと-Message for you-』に曲提供し、6月23日に埼玉・メットライフドームにて開催されるまふまふ主催の『ひきこもりたちでもフェスがしたい!~世界征服I@メットライフドーム~』に出演、6月26日には両A面シングル「スターライトキセキ/Ark」をリリースするなど、ますます貪欲な彼は、今年もたくさんの嬉しいニュースを届けてくれるに違いない。

文=杉江優花 撮影=川崎龍弥

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